エルケトゥ Erketu

名前の由来

力の神

分類

双弓亜綱、竜盤類、竜脚形類

生息地(発見地)

モンゴル

時代

白亜紀後期

全長

約15m

食性

植物食

解説

恐竜時代には様々な巨体を持つ竜脚形類が存在しましたが、その中でもひときわユニークなプロポーションを誇るのが「エルケトゥ」です。

2006年にアメリカ自然史博物館のマーク・ノレル氏によって記載されたこの恐竜は、モンゴルの地層から発見されました。
その学名は「力の神」という意味を持っています。

胴体の2倍の首を持つ「力の神」

規格外のプロポーション

エルケトゥの最大の特徴は、なんといってもその極端に長い首です。
竜脚形類といえば首が長いのが一般的ですが、エルケトゥの長さは群を抜いていました。
なんと、首の長さだけで胴体の2倍ほどもあったとされています。

重心を保つための重い体

これほど極端に長い首を持つと、体の重心バランスをとるのが非常に難しくなります。
そのため、エルケトゥは前方に伸びた長い首とのバランスを取るために、体(胴体部分)の体重はかなり重かったようです。
この重い胴体がアンカーとなり、長い首を支えていたと考えられます。

「吊り橋」と同じ構造で支える進化の妙

では、この異常なまでに長い首を、彼らはどのようにして物理的に支えていたのでしょうか。
その秘密は、背骨の特殊な構造にありました。

二股に分かれた「神経棘」

一般的な竜脚形類では、脊椎骨から上に伸びた突起である「神経棘(しんけいきょく)」は1本であることが多いです。
しかし、エルケトゥの場合、首の部分から後ろにある神経棘が二股に分かれているという特徴的な構造をしていました。

靭帯を利用したケーブル構造

この二股に分かれた神経棘の間には、太い靭帯が走っていました。
この靭帯がケーブルのような役割を果たし、長い首をしっかりと引っ張り上げて支えていたと考えられています。

この骨と靭帯による支持システムは、今日私たちが利用している「吊り橋」の構造と驚くほどよく似ています。
エルケトゥは、長い首を効率よく支えるために、自らの体の中に吊り橋と同じ力学的な仕組みを進化させていたのです。
モンゴルの大地で見つかった「力の神」は、その名にふさわしい力強い骨格と、驚くべき進化の妙を見せてくれる恐竜です。

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