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【三畳紀とは】恐竜は「脇役」だった?酸素濃度11%の過酷な地球と主役交代のドラマ

【三畳紀とは】恐竜は「脇役」だった?酸素濃度11%の過酷な地球と、主役交代のドラマ

地球の歴史において、中生代の幕開けを飾るのが「三畳紀(さんじょうき)」です。
約2億5100万年前から1億9960万年前まで続いたこの時代は、「恐竜が初めて現れた時代」として知られています。

しかし、その実態は希望に満ちたものではありませんでした。
地球史上最悪の大量絶滅から始まるこの時代は、現代なら即座に高山病になるほどの「低酸素」と乾燥に支配された過酷な世界であり、恐竜たちは生態系の隅で生きる「脇役」に過ぎなかったのです。
本記事では、恐竜時代のプロローグである三畳紀について、過酷な環境と、ライバルたちとの生存競争について解説します。

地球史上最悪の「リセット」から始まった

三畳紀の始まりは、決して穏やかなものではありませんでした。

95%が死滅した「P-T境界」

三畳紀の直前(ペルム紀末)には、「P-T境界」と呼ばれる地球史上最悪の大量絶滅が発生しました。
この出来事で生物種の約95%が死滅。
生態系は壊滅状態に陥りました。
三畳紀は、この廃墟のような状態から生命が再び繁栄を取り戻すまでの「再生の物語」であり、多様性の回復には約1000万年もの時間を要しました。

酸素濃度11%!現代なら「高山病」になる過酷な環境

当時の地球環境は、現代の生物にとっては地獄のような場所でした。

息苦しい「低酸素」の世界

P-T境界の変動により、大気中の酸素濃度は激減しました。
ペルム紀の約30%から、最低時には約11%まで低下(現在は約21%)。
現代人が当時の低地に降り立てば、即座に高山病にかかるレベルです。
この低酸素状態はジュラ紀まで約1億年も続きました。

超大陸パンゲアの砂漠

気候は高温で乾燥が著しく、北極から南極まで一つに繋がった超大陸「パンゲア」の内陸部には、広大な砂漠や荒野が広がっていました。

恐竜はわずか5%?真の支配者は「ワニの祖先」

「三畳紀=恐竜の時代」と思われがちですが、実態は異なります。

恐竜は「無名の脇役」

初期から中期にかけて、恐竜が生態系に占める割合はわずか5%程度でした。
当時の恐竜はまだ小型で種類も少なく、生態系の片隅でひっそりと暮らしていました。

真の支配者「クルロタルシ類」

恐竜に代わって陸上を支配していたのは、ワニの祖先を含む「クルロタルシ類」やリンコサウルス類といった爬虫類です。
また、絶滅を生き延びた単弓類(哺乳類の祖先など)も勢力を保っており、当時の地球はワニの親戚たちが覇権を握る群雄割拠の世界でした。

逆転劇の始まり:恐竜の誕生と3大グループ

三畳紀後期に入ると、過酷な環境に適応できなかった動物が姿を消し始め、その隙間(ニッチ)に入り込む形で恐竜が進化を始めました。

3大グループの成立

この時期に、現在の恐竜分類の基礎となる3つのグループが出揃いました。

パンゲア大陸の恩恵

大陸が一つ(パンゲア)で海に隔てられていなかったため、誕生したばかりの恐竜たちは世界中に生息域を一気に拡大することができました。

海・空・哺乳類も!進化の実験場

三畳紀は恐竜以外の生物にとっても、進化の実験場でした。

哺乳類

単弓類のキノドン類から、ついに「最初の哺乳類」が誕生。

爬虫類の一部が空へ進出し、「翼竜」が登場。

「魚竜」や「首長竜」、アンモナイトなどが繁栄。

陸上

巨大トンボなどは姿を消したが、チョウやガの仲間(鱗翅目)が出現。

ライバルの消滅:第4の大量絶滅と「黄金時代」へ

三畳紀の終わり(約2億年前)、火山活動などが引き金となり4度目の大量絶滅が発生しました。
これにより、支配者だったクルロタルシ類(ワニ類以外)や多くの単弓類が絶滅。

強力なライバルが一斉に消えたことで、生き残った恐竜たちの前に競争相手のいない世界が開かれました。
こうして、過酷な下積み時代を耐え抜いた恐竜たちは、続くジュラ紀白亜紀での爆発的な繁栄(黄金時代)へと突入していくのです。

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