【最新発見】ウロコでも羽毛でもない第3の皮膚?全身トゲだらけの新種恐竜「ハオロン・ドンギ」

恐竜の皮膚といえば、ワニのような硬いウロコや、近年発見が相次ぐ鳥類のような羽毛を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、そのどちらにも当てはまらない、古生物学の常識を揺るがす「まったく新しい皮膚構造」を持つ恐竜が中国で発見されました。
白亜紀前期(約1億2500万年前)の地層から見つかった新種の植物食恐竜は、まるで現代のヤマアラシのように、全身が「中が空洞になったトゲ」で覆われていたのです。
2026年2月に学術誌『Nature Ecology & Evolution』で発表されたこの驚くべき新種「ハオロン・ドンギ(Haolong dongi)」について、特異なトゲの正体と考え得る役割を詳しく解説します。
奇跡の保存状態!細胞核まで見える化石の発見
この歴史的な化石は、羽毛恐竜など極めて保存状態の良い化石が多数産出することで世界的に有名な、中国北東部・遼寧省の「熱河層群(義県層)」から発掘されました。
国際研究チームが最新技術で分析した結果、この化石が「イグアノドン類」に属する新種の恐竜であることが判明し、ハオロン・ドンギ(「トゲのドラゴン」の意)と命名されました。
イグアノドン類は白亜紀を通じて世界中で繁栄した重要な植物食恐竜のグループですが、過去200年の調査の歴史の中で、このような皮膚の痕跡が見つかったのは史上初めてのことです。
皮膚の微細な内部構造が判明
今回発掘された幼体標本はほぼ完全な骨格が残っていただけでなく、驚くべきことに「皮膚細胞の核までが顕微鏡で識別できるほど」極めて良好な状態で保存されていました。
これまで想像するしかなかった恐竜の皮膚構造を細胞レベルで特定することに成功した、極めて資料価値の高い大発見です。
ウロコでも羽毛でもない「第3の皮膚組織」
ハオロン・ドンギの皮膚の化石を詳しく調べた結果、恐竜学の常識を覆す事実が判明しました。
首、背中、胴体、四肢の付け根、尾にかけての広い範囲に、無数の「トゲ状の突起」が後方に向かって生えていました。
多くは長さ2〜3mmですが、最大のものでは44mmを超える大型のトゲも存在していました。
骨ではなく「中空の皮膚組織」
さらに驚くべきことに、これらのトゲは骨ではなく「皮膚に由来する組織」であり、その内部構造は「中が空洞になった管のような構造(中空の円筒状)」でした。
外側は角質層で、内部には表皮組織が保存されていました。
これまで恐竜の体表は「爬虫類的なウロコ」か「鳥の先祖に見られる羽毛」のどちらかだと考えられてきました。
しかし研究チームは、ハオロンのトゲはウロコが尖ったものでも羽毛が変化したものでもなく、独自の多層構造を持つ「第3の組織」だと結論づけました。
羽毛の進化とは無関係の独自ルートで、皮膚を進化させていたのです。
なぜ全身トゲだらけ?食べづらい「面倒な獲物」になる生存戦略
では、ハオロン・ドンギは一体何のためにこの奇妙な中空のトゲを全身に纏っていたのでしょうか。
研究チームはいくつかの可能性を検討し、最も有力な仮説を導き出しました。
体温調節説(疑問視)
表面積を増やして体温調節を助けた可能性も考えられましたが、トゲの密集度が低いため高い保温効果は期待できないとみられています。
ディスプレイ・感覚器官説(疑問視)
色素細胞の痕跡がなく、感覚器官としては構造が大きすぎるため疑問視されています。
最も有力なのは「防御機能説」
現在最も有力視されているのが、現代のヤマアラシのように外敵を遠ざけるための「防御器官」だったという説です。
おとなしい植物食恐竜の幼体であるハオロンは、同地域に多数生息していた小型肉食恐竜にとって格好の標的でした。
このトゲは敵を刺し殺すほど致命的な武器ではありませんが、「噛みつきにくく、飲み込みにくい獲物」にするには十分な効果があったはずです。
捕食者に攻撃を躊躇させ、余計な時間と労力をかけさせることで、自分が食べられる確率を減らす役割を果たしていたと考えられます。
全身をトゲだらけの「面倒な獲物」にすることで、過酷な生存競争を生き延びようとしたのでしょう。
進化の尽きせぬ驚き
なお、今回発見されたハオロン・ドンギの標本は体長2.45mほどの「幼体」であるため、このトゲが成体になっても維持されたのか、成長過程で抜け落ちたのかは現時点では分かりません。
しかし、ハオロン・ドンギの発見によって、「中空のトゲ」というまったく新しい第3の皮膚構造が恐竜の歴史に加わりました。
恐竜の体表は、ウロコや羽毛の二元論で語れるほど単純なものではなく、私たちの想像をはるかに超えて多様で複雑だったのです。
地中深く眠る化石の中には、次の常識を覆す未知のヒントが今この瞬間も発見の時を待っています。















