エクイジュブス Equijubus

名前の由来

馬のたてがみ(発見された場所の地名から)

科名

ハドロサウルス上科

分類

双弓亜綱、鳥盤類、鳥脚類

生息地(発見地)

中国

時代

約1億1000万年前(白亜紀前期)

全長

約8m

体重

約2.5トン

食性

植物食

解説

今から約1億1000万年前の白亜紀前期、アジアの緑豊かな大地に、恐竜の進化史における極めて重要な「鍵」を握る植物食恐竜が生息していました。

一見すると地味な存在に思えるその恐竜こそが、「エクイジュブス」です。

この恐竜は、異なる二つの大きなグループをつなぐ「架け橋」としての役割を担っています。

進化の狭間に立つ「中間的な存在」

エクイジュブスは、分類上は原始的なハドロサウルス類(カモノハシ竜)の一種とされています。
しかし、その身体的特徴を詳しく調べてみると、単なるカモノハシ竜ではないことが分かります。

彼らの体には、カモノハシ竜の特徴だけでなく、それよりも古いタイプである「イグアノドン類」の特徴も色濃く残されているのです。
つまり、エクイジュブスは「イグアノドン類」と「カモノハシ竜」という異なる二つのグループの中間的な特徴を併せ持っています。
これは、彼らがまさに進化の途中にあったことを示す「生きた証拠」であり、恐竜の進化プロセスを理解する上で欠かせない存在です。

「顔」はカモノハシ竜、「歯」はイグアノドン

エクイジュブスの持つ「中間的な特徴」は、特に頭骨の構造に顕著に表れています。
彼らの顔立ちは、新旧の特徴が入り混じったモザイクのような状態でした。

進化した顔立ち(カモノハシ竜の特徴)

まず、外見的な特徴である「頬」や「鼻先」の形に注目すると、これらは進化したカモノハシ竜によく似た形状をしていました。
この特徴から、エクイジュブスがハドロサウルス類の系統に属していることは間違いありません。
顔つきだけを見れば、彼らはすでに次世代の恐竜としての姿を獲得していたのです。

原始的な口内構造(イグアノドン類の特徴)

しかし、その口の中には古い時代の名残がはっきりと刻まれていました。

進化したカモノハシ竜の最大の特徴といえば、無数の歯が密集した「デンタル・バッテリー」と呼ばれる高度な咀嚼システムです。
これのおかげで硬い植物も効率的に食べられました。
ところが、エクイジュブスにはこのデンタル・バッテリーが備わっていませんでした。

歯の特徴

上下の顎の歯の大きさがほぼ同じ。

構造

原始的なイグアノドン類の歯と酷似。

顔の形は進化していても、植物を食べるためのシステムはまだ古いままだったのです。
このアンバランスさこそが、エクイジュブスが進化の過渡期にいたことを如実に物語っています。

アジアで起きた進化のドラマ

この「顔は近代的だが、歯は原始的」という特徴は、恐竜の進化史における重要な事実を示唆しています。

長年、イグアノドン類からカモノハシ竜への進化が「いつ、どこで」起こったのかについては議論が重ねられてきました。
約1億1000万年前のアジアに、このような中間的な特徴を持つ恐竜が生息していたという事実は、この重要な進化のイベントが「アジア」で生じた可能性が高いことを裏付けています。

エクイジュブスの存在は、イグアノドン類からカモノハシ竜への移行がアジアの大地で生まれ、そこから世界へと広がっていったことを示す重要な証拠なのです。

「馬のたてがみ」という名前の由来

最後に、この恐竜の少し変わった名前の由来について解説します。
学名である「エクイジュブス」は、ラテン語で「馬のたてがみ」という意味を持っています。

この名前を聞くと、「馬のようなたてがみを持っていたのか?」と想像するかもしれませんが、実際には彼らの姿が馬に似ていたわけではありません。
この名前は、化石が発見された場所の「中国語の地名」にちなんで名付けられたものです。

  • 発見地: 甘粛省の「馬鬃山(マゾンシャン)」
  • 地名の意味: 「馬のたてがみの山」

その姿形ではなく、発見された土地への敬意を表したその名前は、アジアの大地でこの重要な恐竜が発見されたことを今に伝えています。

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