ファブロサウルス Fabrosaurus

名前の由来

ファーブル(生物学者)のトカゲ

科名

ファブロサウルス科

分類

双弓亜綱、鳥盤類

生息地(発見地)

レソト、南アフリカ共和国

時代

約1億9900万〜1億8900万年前(ジュラ紀前期)

全長

約1m

体重

約18kg

食性

植物食

解説

『昆虫記』で世界的に有名なアンリ・ファーブルにちなんで名付けられた恐竜をご存じでしょうか。
ジュラ紀前期のアフリカに生息していた「ファブロサウルス」です。

トリケラトプスなどの遠い祖先にあたる重要な種ですが、現在、この恐竜は「名前が消滅してしまうかもしれない」という複雑な事情を抱えています。

昆虫学者に捧げられた「ファーブルのトカゲ」

珍しい名前の由来

ファブロサウルスという学名は、1964年にフランスの古生物学者レオナルド・ギンズバーグによって命名されました。
その由来は、フランスの博物学者・昆虫学者であるジャン・アンリ・ファーブルです。
直訳すると「ファーブルのトカゲ」となり、恐竜の名前が昆虫学者に由来する非常に珍しいケースとして知られています。

わずかな化石

この名前が付けられた根拠となる化石は、数本の歯が備わった「下顎の骨」の一部など、非常に断片的なものでした。
これが後述する「名前の消滅」の引き金となっています。

最大の謎:レソトサウルスと同じ恐竜?

ファブロサウルスを語る上で避けて通れないのが、同時期・同地域(レソトなど)に生息していた「レソトサウルス」との関係です。

瓜二つの存在

両者は外見や生態的特徴が非常によく似ています。
しかし、化石が断片的なファブロサウルスに対し、レソトサウルスは保存状態の良い化石が多数発見されています。

名前が消える可能性

現在、多くの研究者が「ファブロサウルスとレソトサウルスは実は同じ恐竜(シノニム)ではないか」と考えています。
ファブロサウルスの化石があまりに貧弱で、独自の特徴を証明しきれないためです。
もし同一種と断定されれば、標本が充実している「レソトサウルス」の名が優先され、ファブロサウルスという名前は疑問名(無効な学名)として消えてしまう可能性があります。

人間の子供サイズ!「哺乳類のような脚」を持つランナー

分類上の危機にある彼らですが、その身体能力は当時の環境に特化した優れたものでした。

敏捷な逃走者

全長約1m、体重約18kg。
高さは人間の子供の背丈ほどしかなく、骨には空洞が多く軽量化されていました。
当時のアフリカにはメガプノサウルスなどの肉食恐竜がいましたが、彼らは武器を持たず、ひたすら「逃げること」で身を守っていました。

特徴的な脚の構造

二足歩行を行う彼らの後肢は、爬虫類のように横に張り出すのではなく、哺乳類のように胴体の真下に垂直に伸びていました。
この効率的に走れる脚の構造と、バネのような長い後肢、バランスを取る尾を駆使して、かなりのスピードで疾走していたと考えられています。

原始的な鳥盤類:頬がなく「噛む」のが苦手

ファブロサウルスは、後の時代に繁栄する鳥盤類(植物食恐竜)の極めて初期のグループです。

頬がない

後のカモノハシ竜などのように、植物を溜め込む「頬」が発達していませんでした。

単純な歯

小さく尖った単純な歯しかなく、顎を上下させて植物を「断ち切る」ことしかできませんでした。

彼らは地面に生えている植物を噛み切って、そのまま飲み込むというシンプルな食事スタイルをとっていたようです。

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