ブラキオサウルスは「意外に小食」だった?CO2濃度を再現した植物栽培実験が暴く、巨大恐竜の食卓

ジュラ紀の巨大な草食恐竜たちは、あの巨体を維持するために一体どれだけの食事を必要としていたのでしょうか?
特にブラキオサウルスなどの竜脚形類は、体重が最大50トンにも達したと考えられており、その代謝やカロリー摂取量については長年議論が続いてきました。
英国のリーズ大学などの研究チームが発表した論文は、この謎に対し「当時の大気環境を再現して植物を育てる」というユニークなアプローチで挑みました。
その結果導き出されたのは、彼らがこれまでの想定よりも「小食」で済んでいた可能性です。
本記事では、高濃度二酸化炭素環境での栽培実験と、そこから判明した驚きの栄養学について解説します。
50トンの巨体をどう維持したか?これまでの定説と謎
ブラキオサウルスやディプロドクスが生息していたジュラ紀後期の北米(モリソン層)からは、多数の巨大恐竜の化石が見つかっています。
しかし、彼らがどのようにして生命を維持していたのかは、常に議論の的でした。
「質より量」説の根拠
当時の地球の大気は、現在よりも二酸化炭素(CO2)濃度が高かったとされています。
一般的に、高CO2環境で育つ植物は成長が早い反面、栄養価は低くなると考えられてきました。
そのため、巨大恐竜たちは「低栄養な植物を大量に食べ続け、長い時間をかけて消化吸収する」ことで、辛うじて巨体を維持していたというのが従来の定説でした。
ジュラ紀の空気を再現!実際に植物を育ててみた
「本当に当時の植物は栄養がなかったのか?」 この疑問を解明するため、研究チームは大胆な実験を行いました。
実験環境と対象植物
実験では、当時の大気環境を模した「高濃度二酸化炭素(400〜2000ppm)」の生育室を用意。
そこで、ジュラ紀に存在した植物に近い現生種を実際に育て、その栄養価を測定しました。
- シダ植物: オオエゾデンダ、スギナ(トクサ)
- 被子植物: ミヤマキンポウゲ
- 裸子植物: メタセコイヤ、イチョウ、チリマツ
人工消化システムによる測定
さらに、育てた植物を「竜脚形類の消化器官を再現した装置」に投入しました。
消化液にはウシの胃液や酵素を使用し、どれだけのエネルギーが得られるかをシミュレーションしました。
実験結果:トクサなら1日51kg?意外な高効率
実験の結果は、これまでの予想を裏切るものでした。
高CO2環境下で育てても、植物の栄養価(代謝エネルギーや繊維質)は必ずしも低くならなかったのです。
植物の種類によっては、現在よりも高い栄養が得られるケースさえありました。
30トン級の恐竜でシミュレーション
体重30トンの恐竜が生命維持(1日280キロジュール必要と仮定)のために必要な食事量を試算すると、食べる植物によって大きな差が出ることが分かりました。
- チリマツ(高木の葉)の場合: 1日 約110kg 必要
- トクサ(地面の草)の場合: 1日 約51kg で十分
チリマツのような高い場所にある葉よりも、トクサのような低い場所に生える植物の方が、消化効率が良く高エネルギーである可能性が示されたのです。
恐竜の「人口密度」が変わる?研究の意義
この研究結果は、当時の生態系の見方を変える可能性があります。
ブラキオサウルスは首を下げていた?
ブラキオサウルスといえば高い木の葉を食べるイメージですが、栄養効率を考えると、足元の植物も重要な食料源だったかもしれません。

ブラキオサウルスは首を下げていた?
生息数の見直し
「植物の栄養価が低くない」ということは、それだけ少ない食事量で生きられたことを意味します。
これは、同じ面積の土地でより多くの巨大恐竜を養えた(生息密度が高かった)可能性を示唆しています。
モリソン層からアロサウルスなどの肉食恐竜も多く見つかるのは、獲物となる草食恐竜が豊富に存在できたからなのかもしれません。















