ガリミムス Gallimimus
名前の由来
ニワトリもどき
科名
オルニトミムス科
分類
双弓亜綱、竜盤類、獣脚類
生息地(発見地)
モンゴル
時代
約7000万年前(白亜紀後期)
全長
約4〜6m
体重
約400kg
食性
雑食
Jurassic
Park / World シリーズ登場恐竜
ジュラシック・パーク における活躍
『ジュラシック・パーク』には、イスラ・ヌブラル島で再生されたとされる44頭のガリミムスが登場します。(裏設定によれば、年齢や性別によって肌の色が異なるとされていますが、劇中での外見上の判別は困難です。)
劇中での主な登場は、ティラノサウルスの襲撃から逃れ、九死に一生を得たアラン・グラント博士一行の前です。
広大な平野を大群で移動していた彼らは、グラント博士たち3人に向かって全力疾走で突進してきます。
その直後、茂みからティラノサウルスが乱入し、群れの中の一頭が襲われます。ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク における活躍
イスラ・ソルナ島に生息しているガリミムスの群れが登場します。
劇中では、インジェン社の恐竜ハンターたちによる大規模な捕獲作戦の対象となり、群れで逃げ惑う姿が描かれました。
その内の数頭はハンターチームによって確保され、キャンプの檻に収容されてしまいます。
物語中盤、サラ・ハーディングとニック・ヴァン・オーウェンによって檻から解放されると、他の恐竜たちと共にハンターたちのキャンプ(アジト)内を混乱させながら走り回りました。ジュラシック・ワールド における活躍
アトラクション「ジェントル・ジャイアンツふれあい動物園」および専用エリア「ガリミムス・バレー」に生息している、数十頭ものガリミムスの個体が登場します。
「ガリミムス・バレー」のアトラクションでは、彼らの群れがゲストの乗ったツアー用トラックの周りを一緒に走り回り、その姿でゲストたちを大いに楽しませました。
第1作や第2作とは異なり、今作では捕食者(敵)に襲われるシーンはなく、ただツアー専用の車と一緒に走っているだけの平和な描写でした。ジュラシック・ワールド/炎の王国 における活躍
パーク最速の俊足を誇る恐竜であり、前作『ジュラシック・ワールド』では展示範囲内の主要な恐竜の一つとして登場しました。
本作では、これまでよりも出番が増えたことで、ある意味で非常に印象的な存在となっています。
イスラ・ヌブラル島の火山噴火による崩壊シーンでは、かなりの数の個体が群れを成して必死に逃げる姿が確認できます。
しかし、その出番の多さは、同時に悲惨な目に遭う描写の多さでもありました。
噴火から逃れるために海中へ飛び込んだ1頭が、降り注ぐ火山弾の直撃を受けて死亡(撃沈)する衝撃的なシーンが描かれています。
また、イーライ・ミルズに雇われた恐竜ハンター(傭兵)たちによる捕獲シーンでも、その受難は続きます。
捕獲された1頭が、傭兵によって首を絞められながら必死でもがく様子など、痛々しい描写もなされました。
その後、捕獲された個体たちはアメリカ本土の「ロックウッド・エステート」の地下へ監禁されますが、物語の終盤、他の恐竜たちと共に屋敷からの脱出に成功。
その後は誰にも知られることなく、ひっそりと野生化していったものと思われます。


































解説
ガリミムスは、白亜紀後期(約7000万年前)のモンゴル大陸に生息していた恐竜です。
その名は「ニワトリもどき」を意味しますが、実際にはダチョウのようなほっそりとした体つきと、スレンダーでたくましい脚を備えていたことから、一般に「ダチョウ恐竜」(オルニトミモサウルス類)と呼ばれています。
ガリミムスは、ティラノサウルスなどと同じ獣脚類に分類されますが、獰猛な肉食ハンターではありませんでした。
その特異な進化と俊足で、白亜紀後期のモンゴルで繁栄した、最もよく発掘される恐竜の一つです。
驚異的なスピードと身体構造
ガリミムスは、オルニトミモサウルス類の中ではデイノケイルスに次ぐ大型種で、体長は4mから6mにも及び、立ったときの頭の高さは2m以上に達しました。
体の大きさはダチョウの倍以上はありますが、骨格の作りが軽量であったため、推定体重は400kgほどでした。
俊足の秘密
その俊敏そうな見た目通り、ガリミムスは非常に足が速い恐竜でした。
軽い身体に力強く発達した後肢をもち、その最高速度については諸説ありますが、時速45〜60km以上、一説にはチーター並みの時速110kmに達したとも言われています。
これは普段車道を走っている乗用車に匹敵する速さです。
この驚異的なスピードは、その独特な足の構造に秘密があります。
柔軟な足
祖先種と比べ、足の甲をつくる3本の骨の太さがそれぞれ異なっていました。
この構造は足に柔軟性をもたらし、走った際の衝撃を和らげる機能を果たしました。
速い動物の特徴
体の割合に対する脛骨の長さなど、速く走る動物の特徴を備えていました。
バランサー
体の半分以上を占める長い尾は、走るときのバランサーとして役立てられていたと考えられています。
長い尾は走るときのバランサーとして役立てられていたと考えられている。
身体的特徴と警戒行動
ガリミムスは頭部が非常に小さく、鳥のように細長い首と手足をもっていました。
ただし、ダチョウ恐竜の中では胴が長く、前肢は比較的短い方であったとされています。
視野
1988年の研究で、ガリミムスの眼球はあまり動かなかったことが示唆されました。
現生の植物食動物と同様、側面についた眼は視野を広げましたが、物を立体的に見ることは苦手でした。
そのため、首を動かさないと周りを見渡すことはできず、まるでダチョウや鳩のように、頭をくるくると回しながら捕食者からの攻撃を警戒していたのかもしれません。
知能
頭骨の化石から脳が大きかったことも分かっており、ガリミムスは比較的知能の高い恐竜であったと思われています。
群れでの生活
様々な成長段階の個体がまとまって発見されていることから、ガリミムスは年齢の異なるメンバーで構成される群れを作り、集団で生活していた可能性が高いと考えられています。
映画『ジュラシック・パーク』でティラノサウルスから群れで逃げ惑うシーンが印象的ですが、実際に群れで常に走り回っていたという決定的な証拠は未だ発見されていません。
謎に包まれた食性
ガリミムスは獣脚類に分類されますが、獰猛な肉食ハンターではありませんでした。
最大の特徴は口元にあり、顔は現生生物でいうカモのような形をし、口の中には歯が一切生えていませんでした。
顔はカモのような形をし、口の中には歯が一切生えていなかった。
このため、その食性については長きにわたる議論の的となっています。
雑食説(現在の主流)
現在では、特定の食べ物に特化していたというよりは、植物を中心に、昆虫や小動物なども食べる機会があれば口にする「雑食性」であったと考える研究者が多くなっています。
クチバシと前肢
口は歯のないケラチン質のクチバシで覆われており、細くて鋭く、昆虫や他の小動物、トカゲ、哺乳類などを捕らえるのに都合がよい形状でした。
また、他の恐竜の卵をつついて割り、中身を飲み干すのにも適していました。
腕の役割
腕は長く、地面に生えた植物や、哺乳類、トカゲ、その他の小さな獲物を容易につかみ取ることができました。
指先が異様に発達しており、この手をフックのように使って背の高い草や枝を自分の元へ引っ張り込んで食べるという器用なこともできたと考えられています。
植物食説
胃の部分から草をすりつぶすための胃石らしき物が発見されていることも、植物食であった可能性を支持します。
歯がなかったため、木の実などを丸呑みにし、胃の中の胃石で消化していたと考えられています。
ろ過食説
2001年の研究で、クチバシにくし状のフィルター(スリット)が備わっていたことが示唆され、これが恐竜では初の発見となりました。
このことから、湖や池などで水生の生物や微生物をろ過し、フラミンゴのように食べていた流動食説が大きな注目を集めました。
しかし、近縁種のストルティオミムスが水鳥よりはるかに大きかった例などから、水中の藍藻類や小動物だけでは十分な量を確保できなかったという反論があります。
羽毛と「翼」の発見
長い間、ガリミムスは映画『ジュラシック・パーク』に登場するような、ウロコに覆われた姿で描かれてきました。
しかし、近年の研究でそのイメージは一変します。
羽毛の痕跡
ガリミムス自体の化石から羽毛の痕跡は見つかっていませんが、ごく近縁のオルニトミムスから、羽毛の痕跡が発見されたのです。
「翼」の存在
特に驚くべきことに、大人のオルニトミムスの前肢には、羽軸のある本格的な羽毛で構成された「翼」があったことが分かりました。
この翼は飛ぶためのものではなく、求愛のディスプレイや、卵を温める際に使われたと考えられています。
この発見により、ガリミムスも成長すると、ダチョウのように体が羽毛で覆われ、前肢に翼を持っていたと考えるのが、現在の科学的な標準となっています。
尚、ガリミムスは「ガリミムス・ブラトゥス」と「ガリミムス・モンゴリエンシス」の2種が確認されています。