カスモサウルス Chasmosaurus 名前の由来 穴の開いたトカゲ科名 ケラトプス科分類 双弓亜綱、鳥盤類、周飾頭類生息地(発見地) アメリカ、カナダ時代 約7650万〜7550万年前(白亜紀後期)全長 約5m体重 約2.5~3.6トン食性 植物食解説恐竜時代の終盤にあたる白亜紀後期。 現在の北アメリカ大陸、特にカナダのアルバータ州周辺は、多種多様な角竜たちが繁栄する楽園でした。 その中に、ひときわ目を引く巨大な「襟飾り(フリル)」を持つ恐竜がいました。その名は「カスモサウルス」。トリケラトプスの仲間であるカスモサウルス亜科の基準となる重要な恐竜ですが、そのフリルには一見すると弱点にも思える驚くべき秘密が隠されていました。「大きな孔のトカゲ」:フリルの80%が空洞?学名の由来「カスモサウルス」という学名は、ギリシャ語の「chasma(大きな孔、裂け目)」に由来し、「穴の開いたトカゲ」という意味を持っています。 なぜこのような名前がついたのか、それは彼らのアイデンティティであるフリルを見れば一目瞭然です。表面積の大部分が「穴」カスモサウルスのフリルは、幅1m以上、長さ1.5mに達する巨大な長方形ですが、トリケラトプスのような「一枚岩の盾」ではありませんでした。 左右には巨大な開口部がぽっかりと開いており、なんと表面積の80%以上が空洞(骨のフレームのみ)になっていたのです。フリルの80%が空洞になっていた巨大フリルの役割:軽量化とディスプレイ穴だらけの巨大なフリルは、一体何のために存在したのでしょうか。確実視される「軽量化」まず確実なのは「軽量化」です。 全てが分厚い骨だと重すぎて首を支えきれません。 極限まで骨を減らし穴を開けることで、巨大な飾りを維持しつつ軽快に動くことができたと考えられています。 ※生体では穴の部分は皮膚や筋肉で塞がれていました。最有力なのは「ディスプレイ説」現在最も有力なのは、フリルを「看板(ディスプレイ)」として使う説です。 皮膚には血管が通っており、興奮すると色を変えてライバルを威嚇したり、鮮やかな色で異性に求愛したりしていた可能性があります。防御説と「円陣」かつては防御用の盾と考えられていましたが、穴だらけのフリルは物理攻撃には脆すぎます。 しかし、集団戦では話が別です。 肉食恐竜に襲われた際、彼らはジャコウウシのように円陣を組み、子供を中心に匿いました。 成体が外側を向き巨大なフリルを並べることで、視覚的に巨大な「バリケード」を築き、敵を威圧していたと考えられています。角の謎と1000頭の群れ成長とともに消える角?カスモサウルスは額と鼻に3本の角を持ちますが、トリケラトプスほど発達していません。 近年では「上眼窩角(目の上の角)は成長とともに吸収されて短くなる」とする説や、性差(オスとメスの違い)であるとする説が議論されています。1000頭規模のボーンベッドカナダ・アルバータ州では、多数の化石が一箇所に集まった「ボーンベッド」が発見されています。 これは洪水などで群れごと流された跡であり、カスモサウルスが時には1000頭にも及ぶ巨大な集団を形成し、社会性を持って生活していたことを示唆しています。研究者を熱狂させた「子ども」の化石カスモサウルスは最も研究が進んでいる角竜の一つです。 その理由は化石の「質」と「量」にあります。皮膚、そして幼体の発見良質な化石が多く、ウロコの跡が残る「皮膚の化石」も見つかっています。 さらに研究者を喜ばせたのが、保存状態の良い「子どもの化石(幼体)」が複数発掘されたことです。 壊れやすい幼体の骨が残ることは稀であり、これにより成長に伴う体型の変化(頭身のバランスなど)を知る貴重な手がかりが得られました。分類の変遷と日本の博物館10種から2種への整理かつては個体差や成長段階の違いですべて別種とされ、10種以上が存在すると言われていました。 現在は整理が進み、以下の2種が主な有効種とされています。カスモサウルス・ベリ上眼窩角が短い。カスモサウルス・ラッセリ上眼窩角を持つ原始的な種。日本での展示事情日本の博物館でも復元骨格を見ることができますが、分類の変遷により名前が変わることがあります。 かつて福井県立恐竜博物館で「カスモサウルスの一種」とされていた骨格は、現在では「アルバータケラトプス」や「メデューサケラトプス」の可能性が高いとされるなど、研究とともに情報は常にアップデートされています。 PREV シノケラトプス エイニオサウルス NEXT この恐竜を見た人はこんな恐竜も見ています ヒプシロフォドン Hypsilophodon 分類鳥脚類 特徴草食恐竜 時代白亜紀 コンプソグナトゥス Compsognathus 分類獣脚類 特徴肉食恐竜羽毛恐竜 時代ジュラ紀 フクイラプトル Fukuiraptor 分類獣脚類 特徴肉食恐竜 時代白亜紀 スティラコサウルス Styracosaurus 分類周飾頭類 特徴草食恐竜 時代白亜紀 スポンサーリンク スポンサーリンク
解説
恐竜時代の終盤にあたる白亜紀後期。
現在の北アメリカ大陸、特にカナダのアルバータ州周辺は、多種多様な角竜たちが繁栄する楽園でした。
その中に、ひときわ目を引く巨大な「襟飾り(フリル)」を持つ恐竜がいました。
その名は「カスモサウルス」。
トリケラトプスの仲間であるカスモサウルス亜科の基準となる重要な恐竜ですが、そのフリルには一見すると弱点にも思える驚くべき秘密が隠されていました。
「大きな孔のトカゲ」:フリルの80%が空洞?
学名の由来
「カスモサウルス」という学名は、ギリシャ語の「chasma(大きな孔、裂け目)」に由来し、「穴の開いたトカゲ」という意味を持っています。
なぜこのような名前がついたのか、それは彼らのアイデンティティであるフリルを見れば一目瞭然です。
表面積の大部分が「穴」
カスモサウルスのフリルは、幅1m以上、長さ1.5mに達する巨大な長方形ですが、トリケラトプスのような「一枚岩の盾」ではありませんでした。
左右には巨大な開口部がぽっかりと開いており、なんと表面積の80%以上が空洞(骨のフレームのみ)になっていたのです。
フリルの80%が空洞になっていた
巨大フリルの役割:軽量化とディスプレイ
穴だらけの巨大なフリルは、一体何のために存在したのでしょうか。
確実視される「軽量化」
まず確実なのは「軽量化」です。
全てが分厚い骨だと重すぎて首を支えきれません。
極限まで骨を減らし穴を開けることで、巨大な飾りを維持しつつ軽快に動くことができたと考えられています。
※生体では穴の部分は皮膚や筋肉で塞がれていました。
最有力なのは「ディスプレイ説」
現在最も有力なのは、フリルを「看板(ディスプレイ)」として使う説です。
皮膚には血管が通っており、興奮すると色を変えてライバルを威嚇したり、鮮やかな色で異性に求愛したりしていた可能性があります。
防御説と「円陣」
かつては防御用の盾と考えられていましたが、穴だらけのフリルは物理攻撃には脆すぎます。
しかし、集団戦では話が別です。
肉食恐竜に襲われた際、彼らはジャコウウシのように円陣を組み、子供を中心に匿いました。
成体が外側を向き巨大なフリルを並べることで、視覚的に巨大な「バリケード」を築き、敵を威圧していたと考えられています。
角の謎と1000頭の群れ
成長とともに消える角?
カスモサウルスは額と鼻に3本の角を持ちますが、トリケラトプスほど発達していません。
近年では「上眼窩角(目の上の角)は成長とともに吸収されて短くなる」とする説や、性差(オスとメスの違い)であるとする説が議論されています。
1000頭規模のボーンベッド
カナダ・アルバータ州では、多数の化石が一箇所に集まった「ボーンベッド」が発見されています。
これは洪水などで群れごと流された跡であり、カスモサウルスが時には1000頭にも及ぶ巨大な集団を形成し、社会性を持って生活していたことを示唆しています。
研究者を熱狂させた「子ども」の化石
カスモサウルスは最も研究が進んでいる角竜の一つです。
その理由は化石の「質」と「量」にあります。
皮膚、そして幼体の発見
良質な化石が多く、ウロコの跡が残る「皮膚の化石」も見つかっています。
さらに研究者を喜ばせたのが、保存状態の良い「子どもの化石(幼体)」が複数発掘されたことです。
壊れやすい幼体の骨が残ることは稀であり、これにより成長に伴う体型の変化(頭身のバランスなど)を知る貴重な手がかりが得られました。
分類の変遷と日本の博物館
10種から2種への整理
かつては個体差や成長段階の違いですべて別種とされ、10種以上が存在すると言われていました。
現在は整理が進み、以下の2種が主な有効種とされています。
カスモサウルス・ベリ
上眼窩角が短い。
カスモサウルス・ラッセリ
上眼窩角を持つ原始的な種。
日本での展示事情
日本の博物館でも復元骨格を見ることができますが、分類の変遷により名前が変わることがあります。
かつて福井県立恐竜博物館で「カスモサウルスの一種」とされていた骨格は、現在では「アルバータケラトプス」や「メデューサケラトプス」の可能性が高いとされるなど、研究とともに情報は常にアップデートされています。