エイニオサウルス Einiosaurus

名前の由来

牛のようなトカゲ

科名

ケラトプス科

分類

双弓亜綱、鳥盤類、周飾頭類

生息地(発見地)

アメリカ

時代

約7500万年前(白亜紀後期)

全長

約6m

体重

約3~5トン

食性

植物食

解説

今から約7500万年前、白亜紀後期の北アメリカ大陸。
数多くの角竜たちが闊歩していたこの時代に、ひときわユニークな特徴を持つ恐竜が生息していました。
その名は「エイニオサウルス」。

体長約6mの中型ボディに、前方へ溶け出したような不思議な形状の角を持つこの恐竜は、化石から多くの興味深い事実が読み解かれています。

ネイティブアメリカンの聖地で発見:名前の由来は「牛」

モンタナ州限定の希少な恐竜

エイニオサウルスの化石は、現在のアメリカ合衆国モンタナ州で発見されました。
現在に至るまで、この恐竜の化石はモンタナ州でしか発見されていないという、非常に地域特有の存在です。

学名の意味:「角が前に曲がった、バッファローのような爬虫類」

特筆すべきは、最初の発見場所がアメリカ先住民であるネイティブアメリカンの居住区(聖地)であった点です。
この発見地に敬意を表し、学名には彼らの言葉が取り入れられました。

エイニオ

ネイティブアメリカンのブラックフット族の言葉で「牛(バッファロー)」を意味します。

つまりエイニオサウルスとは、ブラックフット族の言葉で「牛のようなトカゲ(バッファローのような爬虫類)」という意味を持ちます。
1995年に正式命名された学名「エイニオサウルス・プロカルヴィコルニス」は、「角が前に曲がった、バッファローのような爬虫類」という意味を含んでおり、その特徴的な姿と現地の文化が見事に融合した名前となっています。

※なお、実際の動作はバッファローよりずっと鈍く、激しく駆けることはできなかったと考えられています。

「巨大な缶切り」のような鼻角と独特な頭部

エイニオサウルスは、巨大な種も存在する角竜類の中ではやや小柄な部類に入りますが、その頭部には強烈な個性が備わっていました。

逆フック状に曲がった「鼻角」

最大の特徴は、鼻の上にある角の形状です。
なんと前方に向かって下向きにカールしており、ものの見事な「逆フック状」の弧を描いていたのです。
その形状は、まるで「溶けたソフトクリーム」のように前方に垂れ下がっているとも、あるいは「巨大な缶切り」のようであるとも形容されます。

「溶けたソフトクリーム」や「巨大な缶切り」等と形容される

「溶けたソフトクリーム」や「巨大な缶切り」等と形容される

防御力を高めるフリルのトゲ

頭部の後ろ側にあるフリル(襟飾り)には、大きく湾曲した角、あるいは長く鋭い2本の太いトゲがあり、これによって背面の防御力を高めていました。
頭骨自体のサイズは約1.5mと、同種の角竜(最大3m級)に比べるとコンパクトでした。

戦いには不向き?謎に包まれた「曲がった角」の役割

これほど極端に湾曲し、下を向いた角は、敵を突き刺す武器としては明らかに不向きです。
なぜこのような形になったのか、現在でも議論が続いており、主に以下の説が提唱されています。

用途に関する説

採食道具説

地面に生えた植物の根や地下茎を掘り起こすのに使われた。

防御説

形状としては不向きだが、敵から身を守る役目もあった。

ディスプレイ説

種族間の識別や、異性へのアピール(ディスプレイ)に用いられていた。

形成要因に関する説

奇形・変異説

遺伝的変異によってたまたま鼻が曲がった個体が生まれただけではないか。

化石の変形説

地層の中で圧縮された結果、化石自体が変形したのではないか。

実は、鼻づらがきれいな状態で残っている化石はこれまでに1つしか発見されていないため、真相は未だ謎のままです。

進化のミッシング・リンク説

かつては、この独特な角が進化の過程を示す「ミッシング・リンク」ではないかと考えられました。
鼻角が発達した「スティラコサウルス」から、角ではなく巨大なコブを持つ「パキリノサウルス」へと進化していく過程で、角が徐々に前方に曲がっていった中間種であるという推測です。

ボーンベッドが語る「群れ」での生活と社会性

洪水や干ばつによる集団死の痕跡

エイニオサウルスは、単独ではなく「群れ」を作って暮らしていたと考えられています。

単独ではなく「群れ」を作って暮らしていたと考えられている

単独ではなく「群れ」を作って暮らしていたと考えられている

その根拠となるのが、モンタナ州トゥーメディスン層の「ディノリッジ採石場」にあるボーンベッド(骨の密集地帯)です。
ここでは数百個、15体分以上の骨が一度に見つかっており、何らかの突発的な事故や災害(洪水や干ばつなど)に巻き込まれ、群れごと一気に死亡した可能性が高いとされています。

世代を超えた群れで身を守る

発見された化石には様々な年齢の個体が含まれており、大人から子供までを含む群れを形成していたことが分かっています。
当時の北米にはダスプレトサウルスなどの凶暴な捕食者が存在していました。
足の速くないエイニオサウルスにとって、群れを作ることは捕食者の襲撃を抑止する最良の生存戦略だったのでしょう。

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