クリンダドロメウス Kulindadromeus 名前の由来 クリンダ(ロシアの地名)のランナー分類 双弓亜綱、新鳥盤類、鳥脚類生息地(発見地) ロシア時代 約1億6000万年前(ジュラ紀中期~ジュラ紀後期)全長 約1.5m体重 約2kg食性 植物食解説クリンダドロメウスは、約1億6000万年前のジュラ紀中期から後期にかけて、ロシアのシベリア南東部に生息していた新種の恐竜です。 全長は約1.5m、体重約2kgの小柄な植物食恐竜ですが、2014年に記載されたこの恐竜の発見は、恐竜の「羽毛」に関する従来の常識を根底から覆す、革命的なものとなりました。恐竜進化の常識を覆した発見クリンダドロメウスの発見は、古生物学界に大きな衝撃を与えました。 その理由は、彼が羽毛の起源を大きくさかのぼらせる決定的な証拠となったからです。鳥類と遠い祖先「鳥盤類」に羽毛がこれまでに羽毛が確認されていた恐竜のほとんどは、ティラノサウルスなどが属する「獣脚類(竜盤類)」の仲間でした。 獣脚類は鳥類の祖先とされるグループです。しかし、クリンダドロメウスは鳥の祖先とは遠い関係にある「鳥盤類」に属します。 鳥盤類から羽毛がみつかったのは、このクリンダドロメウスが初めてでした。全恐竜「羽毛起源説」が有力にクリンダドロメウスの羽毛と獣脚類の羽毛が共通の祖先に由来することが確実になったことで、羽毛の起源は恐竜の進化史のさらに初期段階にまでさかのぼることが判明しました。この発見は、「恐竜が竜盤類と鳥盤類に分化する以前の最初の恐竜から羽毛が発生していた可能性が高い」という推論を結びつけました。 これは、「すべての哺乳類に毛が生えているのと同じく、すべての恐竜が何らかの羽毛を持っていたのではないか」という説に一気に現実味を帯びさせたのです。羽毛とウロコのモザイク構造クリンダドロメウスの化石が驚異的だったのは、その保存状態の良さです。 頭骨を含む数百個の骨格と共に、全身の様々な部位の皮膚が保存されていました。羽毛の痕跡と多様性クリンダドロメウスの化石には、少なくとも3種類の異なるタイプの羽毛が確認されています。頭部と胴体単純な糸状の綿毛のような羽毛で覆われ、主に体温を保つ断熱材の役割を果たしたと考えられます。すね(下腿)複数の繊維が束になった、複雑なリボン状の構造物が見られました。 これは仲間を見分けるためのディスプレイだった可能性があります。鱗との混在クリンダドロメウスの尾や後肢の先部分には羽毛は生えておらず、鱗が確認されています。 特に足首から先は、六角形の小さなウロコで覆われていました。 これは、羽毛と鱗という異なる表皮構造が一つの個体の中で混在していたことを示しています。生態と進化の意義クリンダドロメウスは、この羽毛によって体温を一定に保ち、植物食恐竜として活動的にジュラ紀の環境を生き抜いたと考えられています。化石保存の奇跡と進化上の鍵クリンダドロメウスの化石は、火山噴火による細かい灰に覆われることで、羽毛の痕跡という奇跡的な保存が実現しました。この発見は、「恐竜の祖先は羽毛の元となる構造を獲得しており、その後の進化で、あるグループは羽毛として発達させ、あるグループは二次的にウロコへと変化させた」可能性を示唆しています。 北海道大学の小林快次准教授を含む国際的な研究チームによって確認されたクリンダドロメウスの存在は、恐竜が単なる「鱗に覆われたトカゲ」ではない、という恐竜進化史における新たなページを開くことになりました。 PREV ケルベロサウルス カンタスサウルス NEXT この恐竜を見た人はこんな恐竜も見ています ショニサウルス Shonisaurus 分類海の爬虫類 時代三畳紀 ミクロラプトル Microraptor 分類獣脚類 特徴肉食恐竜羽毛恐竜 時代白亜紀 タレンカウエン Talenkauen 分類鳥脚類 特徴草食恐竜 時代白亜紀 スピノサウルス Spinosaurus 分類獣脚類 特徴肉食恐竜 時代白亜紀 スポンサーリンク スポンサーリンク
解説
クリンダドロメウスは、約1億6000万年前のジュラ紀中期から後期にかけて、ロシアのシベリア南東部に生息していた新種の恐竜です。
全長は約1.5m、体重約2kgの小柄な植物食恐竜ですが、2014年に記載されたこの恐竜の発見は、恐竜の「羽毛」に関する従来の常識を根底から覆す、革命的なものとなりました。
恐竜進化の常識を覆した発見
クリンダドロメウスの発見は、古生物学界に大きな衝撃を与えました。
その理由は、彼が羽毛の起源を大きくさかのぼらせる決定的な証拠となったからです。
鳥類と遠い祖先「鳥盤類」に羽毛が
これまでに羽毛が確認されていた恐竜のほとんどは、ティラノサウルスなどが属する「獣脚類(竜盤類)」の仲間でした。
獣脚類は鳥類の祖先とされるグループです。
しかし、クリンダドロメウスは鳥の祖先とは遠い関係にある「鳥盤類」に属します。
鳥盤類から羽毛がみつかったのは、このクリンダドロメウスが初めてでした。
全恐竜「羽毛起源説」が有力に
クリンダドロメウスの羽毛と獣脚類の羽毛が共通の祖先に由来することが確実になったことで、羽毛の起源は恐竜の進化史のさらに初期段階にまでさかのぼることが判明しました。
この発見は、「恐竜が竜盤類と鳥盤類に分化する以前の最初の恐竜から羽毛が発生していた可能性が高い」という推論を結びつけました。
これは、「すべての哺乳類に毛が生えているのと同じく、すべての恐竜が何らかの羽毛を持っていたのではないか」という説に一気に現実味を帯びさせたのです。
羽毛とウロコのモザイク構造
クリンダドロメウスの化石が驚異的だったのは、その保存状態の良さです。
頭骨を含む数百個の骨格と共に、全身の様々な部位の皮膚が保存されていました。
羽毛の痕跡と多様性
クリンダドロメウスの化石には、少なくとも3種類の異なるタイプの羽毛が確認されています。
頭部と胴体
単純な糸状の綿毛のような羽毛で覆われ、主に体温を保つ断熱材の役割を果たしたと考えられます。
すね(下腿)
複数の繊維が束になった、複雑なリボン状の構造物が見られました。
これは仲間を見分けるためのディスプレイだった可能性があります。
鱗との混在
クリンダドロメウスの尾や後肢の先部分には羽毛は生えておらず、鱗が確認されています。
特に足首から先は、六角形の小さなウロコで覆われていました。
これは、羽毛と鱗という異なる表皮構造が一つの個体の中で混在していたことを示しています。
生態と進化の意義
クリンダドロメウスは、この羽毛によって体温を一定に保ち、植物食恐竜として活動的にジュラ紀の環境を生き抜いたと考えられています。
化石保存の奇跡と進化上の鍵
クリンダドロメウスの化石は、火山噴火による細かい灰に覆われることで、羽毛の痕跡という奇跡的な保存が実現しました。
この発見は、「恐竜の祖先は羽毛の元となる構造を獲得しており、その後の進化で、あるグループは羽毛として発達させ、あるグループは二次的にウロコへと変化させた」可能性を示唆しています。
北海道大学の小林快次准教授を含む国際的な研究チームによって確認されたクリンダドロメウスの存在は、恐竜が単なる「鱗に覆われたトカゲ」ではない、という恐竜進化史における新たなページを開くことになりました。