ノトサウルス Nothosaurus
名前の由来
偽のトカゲ
科名
ノトサウルス科
分類
双弓亜綱、鰭竜類、偽竜目
生息地(発見地)
フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、中国
時代
約2億4000万~2億1000万年前(三畳紀後期)
全長
約1〜4m
体重
約90kg
食性
魚食
















名前の由来
偽のトカゲ
科名
ノトサウルス科
分類
双弓亜綱、鰭竜類、偽竜目
生息地(発見地)
フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、中国
時代
約2億4000万~2億1000万年前(三畳紀後期)
全長
約1〜4m
体重
約90kg
食性
魚食
解説
中生代三畳紀。
恐竜たちが陸上で絶対的な支配者となる少し前の時代、海には後の時代に繁栄する海生爬虫類の祖先とも言える生物が泳ぎ回っていました。
その名は「ノトサウルス」。
現代のアシカやワニのように陸と海を行き来し、太古の浅瀬を支配していたこの生物は、陸上生物から海生爬虫類への進化を知る上で極めて重要な存在です。
「偽り」の名を持つ水棲爬虫類
名前の由来と意味:「偽のトカゲ」
ノトサウルスは分類学上、恐竜ではありません。
その学名には、少し変わった意味が込められています。
学名の「ノト」とは、古代ギリシャ語で「偽り」や「偽」を意味します。
つまり、ノトサウルスとは「偽のトカゲ」、あるいは「偽竜」と訳される「見せかけのトカゲ」という意味を持っています。
一見トカゲのようでありながら完全な陸生でもなく、後の海生爬虫類ほど完全な水生でもない。
その名前は、二つの世界の狭間に生きた不思議な立ち位置を象徴しています。
種の多様性とサイズ
ノトサウルスは現在までに5種が確認されています。
体の大きさは種によって異なり、全長1mの小型種から、最大4mに達する大型種まで存在しました。
彼らは三畳紀の海で多様に分化し、それぞれの生態的地位に適応していたのです。
進化の証:陸と海の狭間で適応した身体
ノトサウルスは一度陸上で進化した祖先が、再び海に戻り魚のように泳げるようになった生物です。
その姿は水陸両生の「ハイブリッド」とも言える特徴を備えていました。
奇妙な頭部と「死の顎」
顔の形状
横から見るとワニのように細長いですが、正面から見ると平たく幅広です。
ワニのような顔
鼻孔の位置
なぜか目のすぐ近くに鼻孔がありました。
肺呼吸のため海面に顔を出す必要があった彼らにとって、謎めいた特徴です。
強力な歯
口内には鋭い歯がびっしりと並び、滑りやすい魚を串刺しにする長い牙も備えていました。
上下の歯が噛み合う「インターロッキング」構造は、一度噛み付いた獲物を逃がさない強力なトラップとして機能しました。
一度噛み付いた獲物を逃がさない歯
ヒレに残された「指」と遊泳方法
四肢はパドル状のヒレになっていましたが、その先端には陸上生物のような「長い指」と「頑丈な爪」が残っていました。
化石からは指の間に水掻きがあった痕跡も見つかっています。
遊泳の主役は、体の大部分を占める強力な尻尾でした。
これを左右に振って泳ぎ、指の残る四肢は泳ぎの補助や陸上歩行に使われていたと考えられています。
皮膚とカモフラージュ
皮膚は現代のイルカのように滑らかで、水の抵抗を減らしていました。
背中にはまだら模様があり、海中の岩場や光に紛れるカモフラージュの役割を果たしていたとされています。
生態:太古の海岸での生活
浅瀬のハンターと水陸両生生活
主な生息域は、かつての「テチス海」沿岸の浅瀬や海岸線です。
岩場でのひなたぼっこや、海中での魚狩りなど、現代のアシカやワニのような水陸両生の生活を送っていました。
繁殖についても、交尾は海中ですが、産卵はウミガメのように陸に上がって行っていたと考えられています。
驚異的な成長速度と短い寿命
化石の骨組織の研究から、驚くべき事実が判明しています。
ノトサウルスが成体になるまでにかかる時間はわずか3年。
そして寿命は意外にも短く、6年程度であったと考えられています。
この急速な成長は、彼らが「代謝の高い動物」だった可能性を示唆しています。
進化の系譜と絶滅
首長竜の偉大なる祖先
パドル状のヒレや長い首を持つノトサウルスは、後の時代に海を支配する「首長竜(プレシオサウルス類)」の祖先、あるいは近縁種と考えられています。
ノトサウルス自体は絶滅しましたが、その身体構造や水棲への適応は、エラスモサウルスなどの次世代の覇者たちへと受け継がれていきました。
三畳紀の終わりと共に
三畳紀の終わりと共に、ノトサウルスは地球上から姿を消しました。
魚竜などの競合相手の増加や、三畳紀末期の大量絶滅が原因とされています。
発見の歴史
ノトサウルスの化石が初めて発見されたのは1834年のドイツです。
それから約2世紀。
三畳紀の海に生きたこの生物は、今もなお「陸から海へ」という進化のミッシングリンクを解き明かす鍵として、古生物学者たちを魅了し続けています。