パラサウロロフス Parasaurolophus

名前の由来

サウロロフスに似たトカゲ

科名

パラサウロロフス科

分類

双弓亜綱、鳥盤類、鳥脚類

生息地(発見地)

アメリカ、カナダ

時代

8300万~6600万年前(白亜紀後期)

全長

約10m

体重

約2.7〜3.6トン

食性

植物食

解説

パラサウロロフスは、白亜紀後期の北アメリカに生息していた、恐らく世界で最も有名な鳥脚類です。
その名は、先に発見されたハドロサウルス類「サウロロフス」に似ていることから名付けられましたが、実際には遠縁の恐竜です。
頭から後方に突き出した、トロンボーンのような形をした長大なトサカは、一度見たら忘れられない強烈なインパクトを放ち、恐竜界のスターダムにのし上がりました。

謎のトサカ:スターダムへの切符

長さ1.8mにも及ぶこのユニークなトサカの具体的な役割については、長年さまざまな説が提唱されてきましたが、現在もはっきりとは解明されていません。

長大なトサカをもっていた

長大なトサカをもっていた

共鳴器説

トサカの中は空洞で、鼻の穴とつながっていました。
模型で再現したところ、現在のゾウのように数km先にまで届くような、非常に大きな音を出していたことが判明しました。
音の高さはトサカの長さで決まり、種によって音の高さを使い分けていたと考えられています。

もし音でコミュニケーションを取っていたのなら、森の中で暮らしていた彼らにとって、音で会話をするのは良い方法だったかもしれません。

嗅覚拡張装置説

遠くの匂いを嗅ぎ分けるための、嗅覚を拡張する装置だったという説も有力です。

ディスプレイ説

トサカの形は個体や雌雄によって差異があったため、交尾の際のディスプレイや、仲間同士で見せ合い地位を競うために使用されていた可能性もあります。

かつてはシュノーケルとして使われていたという説もありましたが、先端に開口部がなかったことから、現在は否定されています。

驚くほど少ない化石と生態

パラサウロロフスは、ランベオサウルスの仲間の中でも大きな体をしており、ずんぐりとした足と、がっしりとした肩と腰をしていました。

ずんぐりとした足と、がっしりとした肩と腰をしていた。

ずんぐりとした足と、がっしりとした肩と腰をしていた。

背骨から上に骨が伸びていて、背中が高く盛り上がっていました。

エドモントサウルスマイアサウラのような他のハドロサウルス類は大量の化石が発見されているのに対し、パラサウロロフスの化石の発見数は非常に少ないです。
このことから、パラサウロロフスは最も生息数が少なかった恐竜の一つであり、おそらく群れではなく、単独で生活していたのではないかと推測されています。

食事と行動

パラサウロロフスは、四足歩行と二足歩行を使い分けることができましたが、大きな体をしていたため、素早くは動けませんでした。

ハドロサウルスの仲間は、デンタルバッテリーとよばれる、小さな歯が何列にも密集して並んだ特殊な歯を持っていました。
アヒルのような幅の広いくちばしで植物を噛み切り、奥歯で消化しやすいようにすり潰していました。

近年、中国でもパラサウロロフスに似た恐竜が見つかり、唯一無二の存在ではなくなってしまいましたが、その神秘的なトサカと謎に満ちた生態は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

ジュラシック・パーク/ジュラシック・ワールド Jurassic
Park / World
シリーズ登場恐竜

  • ジュラシック・パーク における活躍

    現時点(2024年11月)で、パラサウロロフスは生体としてシリーズ全作品に登場を果たした唯一の恐竜であり、これはティラノサウルスやヴェロキラプトルといった主要な恐竜たちでさえ成し得なかった稀有な記録です。(なお、骨格標本など生体以外の登場を含めれば、ステゴサウルスも該当します。)

    しかし、その輝かしい記録とは裏腹に、劇中での活躍は限定的です。
    シリーズを通しての主な登場シーンは、ブラキオサウルスと共に遠景で湖の水を飲む姿や、群れで移動する背景として描かれることが中心でした。

  • ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク における活躍

    前作『ジュラシック・パーク』にも登場し、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』ではイスラ・ソルナ島に生息していた個体が登場します。

    前作では遠景にわずかな時間映るのみでしたが、今作ではパキケファロサウルスと共に、見所の一つである「恐竜ハンターによる捕獲シーン」が描かれました。
    劇中ではその特徴的なトサカから「エルヴィス・プレスリーのような頭」と表現され、「エルヴィス」というニックネームで呼ばれています。

    ハンターチームに追われた後、首にロープをかけられ苦しそうにもがきますが、最終的には別のロープで足元をすくわれ、その場に転倒させられてしまいます。
    しかし、この捕獲で命を落としたわけではなく、後にサラ・ハーディングとニック・ヴァン・オーウェンが解放した恐竜たちが暴れ回るシーンにも、混乱の中で姿を見せています。

    残念ながら、物語の後半ではティラノサウルスに捕食された後の死骸として発見され、その最期が描かれました。

  • ジュラシック・パークIII における活躍

    イスラ・ソルナ島の生態系の一部として複数の場面で登場します。

    劇中では、コリトサウルスと共に野原で休息していたところ、アラン・グラント博士一行が逃げ込んできたため、彼らを追うヴェロキラプトルの群れに遭遇し、パニックになって逃げ惑うことになります。

    その後、川岸のシーンでも遠方で草を食べている姿が確認できるほか、序盤で若いティラノサウルス(T-REX)が捕食していた死骸もパラサウロロフスのものとされています。

  • ジュラシック・ワールド における活躍

    パークで飼育されている恐竜の一種として登場します。

    主な活躍の場は、アトラクション「ジャイロスフィア」が運行されているエリアです。
    劇中では、トリケラトプス、ステゴサウルス、アパトサウルスら他の草食恐竜たちと一緒に草原で過ごしており、恐竜見物を楽しんでいたザックとグレイの前にもその姿を見せました。

    なお、本作におけるパラサウロロフスは、劇中に登場する個体のカラーリングと、公式サイトに掲載されているCGデザインの個体とで、体色が異なっています。

  • ジュラシック・ワールド/炎の王国 における活躍

    パークに生息する唯一のカモノハシ竜(ハドロサウルス類)として登場します。
    前作『ジュラシック・ワールド』では展示範囲内の主要な恐竜の一つでしたが、本作では出番が増えたガリミムスとは対照的に、その登場シーンは極めて限定的でした。

    劇中では、ウィートリー率いるロックウッド財団の恐竜ハンター部隊によって数頭が捕獲されます。

    イスラ・ヌブラル島での主な出番は、捕獲された個体が運搬されているシーンに一瞬だけ映り込むという形でした。
    その後、他の恐竜たちと同様に船に乗せられ、アメリカ本土にある「ロックウッド・エステート」の地下へと運び出され、収監されてしまいます。

    本作における主な活躍の場は、ロックウッド邸の地下です。
    狭いスペースに捕らわれた他の恐竜たちと押し合いへし合いしながら、身動きが取れずにもがいている様子が描かれました。

    何の前触れもなく画面の端に現れたため、その登場に驚いた観客もいれば、恐らく気づかないまま見過ごしてしまった人の方が多かったと思われるほど、控えめな出演でした。

    物語の終盤、最終的にそれらの個体は屋敷からの脱出に成功し、他の恐竜たちと共に闇夜のどこかへと姿を消していきました。

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