アジャンキンゲニア Ajancingenia

名前の由来

モンゴル語で「旅人」を意味する「アジャンク」に由来して命名された

科名

オヴィラプトル科

分類

双弓亜綱、竜盤類、獣脚類

生息地(発見地)

モンゴル

時代

約7000万年前(白亜紀後期)

全長

約1.8m

体重

約20㎏

食性

雑食(貝、木の実、卵など)

解説

アジャンキンゲニアは、白亜紀後期(約7000万年前)のモンゴルに生息していたオヴィラプトル科の獣脚類です。
その名は、モンゴル語で「旅人」を意味する「アジャンク」に由来しており、特徴的な長い親指が、まるで旅人がヒッチハイクをしている姿を連想させることから名付けられました。

数奇な運命を辿った学名

この恐竜は、かつて「インゲニア」という名前で知られていました。
1981年に発見地であるモンゴルの地名にちなんで記載されましたが、後にこの属名が線虫の一種にすでに使用されていたことが判明しました。
生物の学名は世界で一つでなければならないという国際動物命名規約のルールがあるため、この属名は使えなくなりました。
その結果、発見から32年後の2013年に、現在の新しい属名「アジャンキンゲニア」に変更されるという、数奇な経緯を辿っています。

特徴的な身体と砂漠への適応

アジャンキンゲニアは、全長約1.8mと小型で、オヴィラプトル科の中でもトサカが比較的小さいか、もしくは無いグループに属しています。

生息環境

化石はモンゴルのバルンゴヨット層から発見されており、当時、砂丘や川が流れる半乾燥地帯、つまり砂漠のような厳しい環境に適応して生きていたと考えられています。

骨格

オヴィラプトル科の中では、がっしりとした短い前腕を持ち、骨格は全長の割に軽量で、俊敏な動作が可能だったと推測されています。

巨大な親指と謎めいた食性

アジャンキンゲニアの生態は、その特異な前肢と顎の構造から、雑食だったと考えられています。

巨大な親指

前肢の第一指(親指)の先端の骨が非常に大きく、第二指の約2倍もの長さがありました。
この頑丈な親指は、地面を掘って地中の獲物や植物の根を探したり、硬い木の実を割ったりするのに役立ったと考えられています。

顎と口

頭はとても短く、顎は深くカーブしています。
歯のないくちばしには、代わりに上下の顎に突起を持っていました。
これは、貝などの殻のようなかなり固いものを砕いて食べていたことを示す特徴です。

繁殖の秘密

アジャンキンゲニアは、巣の化石が発見されており、その産卵方法が明らかになっています。
卵は2個ずつ対になっており、それがさらに螺旋状に3段、24個ほど産み付けられていました。

アジャンキンゲニアのユニークな顎と産卵の痕跡は、オヴィラプトル類が多様な環境に適応し、厳しい砂漠環境を生き抜いた証拠を示しています。

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