フタロンコサウルス Futalongkosaurus

名前の由来

巨大な族長トカゲ

科名

ティタノサウルス科

分類

双弓亜綱、竜盤類、竜脚形類

生息地(発見地)

アルゼンチン

時代

約8700万年前(白亜紀後期)

全長

約26〜35m

体重

約29〜50トン

食性

植物食

解説

フタロンコサウルスは、白亜紀後期(約8,700万年前)の南米パタゴニア北部で化石が発見された、ティタノサウルス類に属する巨大な竜脚形類です。
その名は、マプチェ語で「巨大な族長トカゲ」を意味し、種小名のデュケイは、化石発掘を支援したデューク・エナジー社への献名です。

良好な保存状態が証明する「真の最大級」

フタロンコサウルスは、史上最大の恐竜とされるアルゼンチノサウルスに匹敵する、とてつもない大きさを誇っていました。

驚異的なサイズと信頼性の高さ

フタロンコサウルスの体長は26mから35m、体重は推定で29トンから50トンに達するとされています。
頭までの高さは4階建ての建物に相当するといわれています。

この推定値の最大の強みは、その信憑性の高さにあります。
多くの巨大竜脚形類は化石が断片的であるのに対し、フタロンコサウルスの化石は体全体の70%という非常に良い保存状態で発見されています。
全身骨格が揃っている恐竜の中では、「最大」の名にふさわしい存在であり、その大きさはアルゼンチノサウルスに匹敵すると考えられています。

他の巨大竜脚類との比較

推定全長50mのアンフィコエリアスなど、より巨大な推定値を持つ竜脚形類が知られていますが、これらは化石が部分的なものです。
フタロンコサウルスの発見は、全身骨格から巨大竜脚形類の姿を正確に現代に伝える上で、非常に重要な手がかりとなりました。

ユニークな身体的特徴と生態

2007年にアルゼンチンのニューケンで発掘されたフタロンコサウルスの化石から、そのユニークな生態が明らかになっています。

巨大な体を支える骨格の秘密

フタロンコサウルスは、ティタノサウルス科の一種と考えられています。
その腰回りの骨、特に坐骨、腸骨などが広くてよく発達しているのが特徴です。
また、胴体は太くどっしりとした身体のつくりをしており、腰骨の幅は3メートルもあるという特徴を持ちます。

アルゼンチノサウルスは脊椎にトゲのようなデコボコがありますが、フタロンコサウルスにはこの特徴がないこともわかっています。

首の長さと食性の適応

フタロンコサウルスは、高い木の葉を食べるために首が長く、幅広くずんぐりとした胴体でバランスを取っていました。
しかし、幼体の生態は成体と異なっており、首が短く枝まで口が届かなかったため、生まれて1年くらいまでは、やぶの中で丈の低い植物を食べていたと考えられています。

発掘された地層からは、魚やワニ類、そして裸子植物の化石が一緒に見つかっており、このあたりは蛇行した川があったと推測されます。

発掘の経緯と今後の研究

フタロンコサウルスは、2000年に初めて化石が出土されてから、2007年に正式に記載された比較的最近発見された恐竜です。
化石の発掘には、デューク・エナジー社からの金銭的な支援がありました。

まだ発見されて間もない恐竜であるため、これから研究が進むにつれて、どんな植物を食べていたのか、幼体の生態の詳しい部分など、さらに多くのことがわかってくるかもしれません。
フタロンコサウルスは、その良好な化石記録によって、史上最大の恐竜たちの姿を正確に現代に伝える、非常に重要な存在なのです。

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