セグノサウルス Segnosaurus

名前の由来

のんびりしたトカゲ

科名

テリジノサウルス科

分類

双弓亜綱、竜盤類、獣脚類

生息地(発見地)

モンゴル

時代

約9300万年前(白亜紀後期)

全長

約6.5m

体重

約3〜10トン

食性

植物食

解説

恐竜の研究史において、発見当初に研究者たちを大いに悩ませ、学会に衝撃を与えた「謎の恐竜」が存在します。

白亜紀後期(約9300万年前)のモンゴルに生息していたこの恐竜は、肉食恐竜のグループに属しながら、なぜか植物食恐竜のような特徴をいくつも兼ね備えていました。
あまりに矛盾したその姿から、一時は「竜盤類でも鳥盤類でもない、独立した第三のグループではないか」という奇説まで飛び交ったほどです。

学会を揺るがした「分類不能」な骨格の謎

セグノサウルスが発見された際、古生物学者たちは頭を抱えました。
その骨格には、当時の常識では考えられないような「矛盾」が混在していたからです。

竜盤類なのに「鳥盤類」の骨盤?

恐竜は骨盤の形によって、ティラノサウルスなどの「竜盤類」と、トリケラトプスなどの「鳥盤類」に大きく分けられます。
セグノサウルスは獣脚類(竜盤類)の特徴を持っていましたが、骨盤の「恥骨」と「坐骨」が両方とも後ろを向いていました。
これは本来、「鳥盤類」に見られる特徴なのです。

このため、彼らは「竜盤類のフリをした鳥盤類」だと言われたり、「独立した『第三の恐竜グループ』の末裔ではないか」と疑われたりしました。

絶滅したはずの「古竜脚類」に似ている?

さらに混乱を招いたのが、頭部や歯の特徴です。
長めの頭骨に並ぶ小さく貧弱な歯は、はるか昔(三畳紀〜ジュラ紀初期)に絶滅したはずの「古竜脚類(プラテオサウルスなど)」に酷似していました。
これにより、「白亜紀後期まで奇跡的に生き残っていた古竜脚類の子孫である」という説も真剣に議論されました。

※現在ではこれらの説は否定され、「植物食へと二次的に進化した獣脚類(テリジノサウルス類)」であることが判明しています。
独特な骨盤は、植物を消化する巨大な内臓を支えるために進化した結果と考えられています。

肉食と草食のハイブリッド?つぎはぎだらけの奇妙な体

セグノサウルスを含むテリジノサウルス類は、まるで異なる恐竜のパーツをつぎはぎしたようなユニークな姿をしています。

鋭い爪と貧弱な歯

体には肉食恐竜的な部分と、草食恐竜的な部分が混在していました。

前肢

肉食恐竜のなごりである、鋭く長い3本のカギ爪を持つ。

口元

鉛筆のような小さく貧弱な歯が48本並び、先端は植物を摘むクチバシ状になっている。

かつてはこのカギ爪で魚を捕っていたという「魚食性説」もありましたが、現在では歯の形状や体の構造から、完全な植物食だったとされています。

珍しい「4本指」の足

足の構造も独特です。
多くの獣脚類が3本の指で立っているのに対し、セグノサウルスは幅の広い「4本の指」をすべて地面につけて歩いていました。
後肢は幅広く頑丈ですが短く、これは走るためではなく、重い体重を支えるための特徴です。

名前は「のんびり屋」:テリジノサウルス類での位置づけ

学名の意味と生態

セグノサウルスという学名は、ラテン語で「のんびりしたトカゲ」という意味を持ちます。
骨盤は幅広く、胴体は樽のように太く膨らんでいました。
彼らはその名の通り、どっしりとした体で大地を踏みしめ、スローモーに動きながら植物を食べていたのでしょう。

グループを代表する中型恐竜

全長は約6.5m。
全長11mに達するテリジノサウルスに比べれば小柄ですが、グループ内では比較的大きめのサイズであり、代表的な種の一つです。
テリジノサウルス類という名称が定着する前は、この仲間たちが「セグノサウルス類」と呼ばれていたこともありました。

全身骨格はまだ見つかっておらず、依然として多くの謎を秘めています。
今後決定的な化石が発見されれば、彼らは再び古生物学界の「台風の目」となるかもしれません。

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