デイノニクス Deinonychus

解説

デイノニクスは動きが速く、すばしっこいハンターで、獣脚類の中でも進化したグループ、ドロマエオサウルスの仲間です。
この仲間は、「手でつかむ者」として知られているように、鋭い爪のある、強力な前肢をもっていました。
さらに、後肢の2番目の指には、鎌のような爪が備わっていて、鋭さを保つために、地面から離れるように指がそり返っていました。
この爪は、獲物を切り裂く強力な武器でした。

足の人差し指のカギ爪は、普段はもち上げて歩いていました。
狩りのときは獲物の体に突き刺し、回転させ、深く食い込ませて致命傷を与えることができました。

歯は、肉食恐竜に典型的なのこぎりのような形をしていて、皮膚と肉を切り裂くのに効果的でした。
力強いあごの筋肉で、獲物に噛みつきました。

ほっそりとした鳥のような首をしていて、頭を自由自在に動かすことができました。

大きな目は前を向いていて、獲物を立体的にとらえることができ、獲物までの距離も正確に測ることができました。

長い尾の先には、うちわのような羽をもっていました。
これは、バランスをとるのに役立ったようです。

長い尾の先には、うちわのような羽をもっていた。

1頭のテノントサウルスの化石の周りから何頭ものデイノニクスの化石が発見されたことから、デイノニクスは群れで狩りをしていたのかもしれないと考えられています。

群れで狩りをしていた可能性がある

1960年代の後半、恐竜学者ジョン・オストロムが、デイノニクスは動きの素早い、賢い恐竜で、おそらく内温性の動物だったと発表しました。
それは、恐竜はノロマで頭の悪い、外温性のトカゲのような動物だというそれまでのイメージを覆すものでしたが、今ではほとんどの恐竜学者が、オストロムに賛成しています。

オストロムの発表に触発された弟子バッカーは、のちに「恐竜温血説」を提唱し、それまでの恐竜観を一変させました。