モササウルス Mosasaurus

名前の由来

モサ(マース川)のトカゲ

科名

モササウルス科

分類

爬虫綱、有鱗目、鱗竜類

生息地(発見地)

オランダ、アメリカ、日本

時代

7900万~6500万年前(白亜紀後期)

全長

約12~13m

体重

約10〜40トン

食性

魚食

解説

モササウルスは、白亜紀後期に海に君臨した巨大な海生爬虫類です。

白亜紀後期に海に君臨した巨大な海生爬虫類

白亜紀後期に海に君臨した巨大な海生爬虫類

その名は化石が初めて発見された地名に由来し、「マース川のトカゲ」を意味します。
メディアでは恐竜として扱われることもありますが、厳密には海に戻った大トカゲの一種であり、恐竜ではありません。

凶暴なハンターの身体的特徴

モササウルスの体長は12〜13mにも達し、当時の海に生息していた生物の中では最大級でした。
同じモササウルス科に属するティロサウルスやハイノサウルスらと共に、白亜紀の海を支配した絶対的な王者です。

体は円筒形で、先端に向かって細くなった頭部と、獲物を切り刻む鋭い歯を備えていました。

獲物を切り刻む鋭い歯を備えていた

獲物を切り刻む鋭い歯を備えていた

後ろ向きに湾曲した歯は、一度捕まえた獲物を逃がさないためでした。
魚類やアンモナイト、さらには他の海生爬虫類まで、目についたものは何でも捕食していたと考えられています。

かつては陸上のトカゲのような尾を持っていたとされていましたが、近年の研究でサメやイルカのような尾びれがあったことが判明しました。
前後の足はヒレに変わり、体を左右にくねらせて高速で泳いだようです。

好戦的な性格と数奇な発見の歴史

化石には、他の生物に噛みつかれたような傷跡が多く残されています。
これは、モササウルスが一方的に捕食していただけでなく、同種を含めた他の生物との間で激しい縄張り争いや闘争を繰り広げていたことを示唆しています。

モササウルスが初めて発見されたのは1764年頃とかなり古く、その化石は軍の戦利品として強奪されたこともあり、「マーストリヒチアンの怪物」というあだ名で呼ばれました。
その後、1822年に古代の爬虫類であることが正式に認められました。

映画『ジュラシック・ワールド』で描かれた凶暴なハンターとしての姿は、その強烈な存在感から大きな人気を呼びましたが、日本でも複数の化石が発見されており、研究が進められています。

凶暴なハンター

凶暴なハンター

日本での発見と多様性

モササウルスの化石は世界各国で豊富に見つかっており、日本でも発見例があります。
モササウルス科には20種類以上もの種が存在するため、古生物学界では、モササウルスについて語る際にはどの種類かまで特定するのが一般的です。

その圧倒的な強さと、謎に満ちた生態は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

ジュラシック・パーク/ジュラシック・ワールド Jurassic
Park / World
シリーズ登場恐竜

  • ジュラシック・ワールド における活躍

    パークの目玉としてシリーズ初登場を果たしました。
    パーク内で飼育されている肉食動物としては最大の大きさを誇り、歴代シリーズにおいても最大の肉食動物とされています。その歯の本数は88本です。

    映画の予告編において、水中から豪快に飛び出しホホジロザメにかぶりつくシーンは、観客に強烈な印象を与えました。
    普段はパーク中央部の「ラグーン」と呼ばれる巨大プールの中に生息しており、湖エリアではイルカショーさながらの凄まじい捕食ショー(餌のホホジロザメに喰らい付くアトラクション)が催されています。

    劇中では1頭のみの登場でしたが、設定上は3頭が飼育されていました。
    一番大型の雌の個体は、飼育員によると性格は「シャイで恥ずかしがり屋」とのことです。
    餌を与えられる時以外は水中から出てこないことが多く、時たまプールから顔を出さない時もあるとされています。
    体内のインプラントの効果もあり、観客に襲いかかることはなく、ある程度人間に懐いている様子がうかがえます。

    彼女の生い立ちは2000年8月25日、インジェン社の研究者たちがモササウルスの標本からトレース可能なDNA断片を発見したところまで遡ります。
    主任研究者であったウー博士は、琥珀に閉じ込められた蚊以外からもDNAが採取できるのであれば、水生生物の再現も可能かもしれないと考え、研究を重ねてついにモササウルスを蘇らせることに成功しました。
    誕生した個体はジュラシック・ワールドでお披露目され、オーナーであるマスラニ氏からも大絶賛を受けました。
    モササウルスたちは、あの事件が起こるまではパークのプールでのんびりと過ごしていました。

    劇中では、ホホジロザメの捕食ショーのほか、事故でラグーン上空に飛来したプテラノドン、そしてそのプテラノドンに掴まれたザラ・ヤングを、まとめてダイナミックに捕食し、観客の度肝を抜きました。

    そして物語の終盤、ティラノサウルス(レクシィ)とヴェロキラプトル(ブルー)がインドミナス・レックスと死闘を繰り広げている最中、湖から突如として飛び出し、インドミナスの首に喰らい付きます。
    そのまま水中に引きずり込んで絶命させ、結果的にブルーたちの勝利に間接的ながら決定的な貢献を果たし、映画のクライマックスを飾る役割を担いました。

  • ジュラシック・ワールド/炎の王国 における活躍

    前作に続き、その圧倒的な巨大さと存在感で観客を魅了しました。

    パーク崩壊から6ヶ月が経過し、火山噴火の脅威が迫る中、依然としてラグーン(湖の施設跡地)で元気に生存していたことが明らかになります。

    物語の序盤、イーライ・ミルズの手下たちが小型潜水艇を用いて、ラグーンの底に沈んだインドミナス・レックスの骨を回収する作業を行っていました。
    モササウルスは彼らの背後から音もなく忍び寄り、手際よく潜水艇を襲撃し、乗組員たちを捕食しました。

    時を同じくして、島に上陸していた傭兵のジャックが、飢えたティラノサウルスに追われる事態が発生します。
    ジャックはヘリコプターから吊るされた梯子にしがみつき、何とかティラノサウルスから逃げ切ったかに思われました。
    しかし、彼が安堵の声を上げたその瞬間、モササウルスが水中から巨大な顎を開けて飛び出し、空中のジャックに食らいついて水中に姿を消しました。
    これぞモササウルスという、往年の捕食ショーを彷彿とさせる衝撃的なシーンでした。

    この襲撃の際、ジャックがゲート開閉用の端末を落として壊してしまったため、ラグーンと外洋を繋ぐ施設のゲート(鉄扉)が完全に閉まりきらず、開いたままの状態となってしまいました。

    これにより、モササウルスはラグーンから外洋(広い海)へと泳ぎ出すことに成功します。
    結果として、後にイスラ・ヌブラル島を襲う火山噴火の悲劇に巻き込まれることなく、いち早く島から脱出することとなりました。

    島を脱出した後は、故郷である島の崩壊や、アメリカ本土のロックウッド邸で起こった大事件には一切関与しませんでした。

    モササウルスが再び姿を現すのは、物語のエンドシーン(終盤)です。
    多くのサーファーで賑わうビーチの巨大な波の中にその巨大な影が現れ、波から転げ落ちたサーファーに迫る姿が描かれました。

    前作同様、全体的な出演時間は限られていましたが、要所要所で「おいしいところ」を持っていく圧倒的な存在感を見せつけ、観客に恐怖と興奮を与えました。

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