シノルニトミムス Sinornithomimus

名前の由来

中国のオルニトミムス(ダチョウもどき)

科名

オルニトミムス科

分類

双弓亜綱、竜盤類、獣脚類

生息地(発見地)

中国、モンゴル

時代

約9000万年前(白亜紀後期)

全長

約2m

食性

雑食

解説

中国の内モンゴル自治区、白亜紀後期の地層から、ダチョウに似た姿をした小型恐竜の化石が発見されました。

「シノルニトミムス」と呼ばれるこの恐竜は、全長約2mほどのオルニトミモサウルス類の一種です。
全身が羽毛で覆われていたと考えられる彼らは、その生態だけでなく、偶然が生んだユニークな「発見の経緯」でも知られています。

ペーパーウェイトから始まった大発見!日本人研究者の快挙

シノルニトミムスの研究史において最も有名なのが、まるで映画のような発見の経緯です。
それは、まさに偶然の産物でした。

記念に持ち帰った石の正体

1997年、当時ワニを研究していた学生(後の北海道大学教授・小林快次氏)が、発掘調査のおまけとして現地に参加していました。
彼は記念に持ち帰ろうとしていた石を、机の上でペーパーウェイト(文鎮)として使っていました。

しかし、ふとその石をよく見ると、そこには「あばら骨の跡」がついていたのです。
これこそが、シノルニトミムスの胃のあたりに詰まっていた「胃石(いせき)」の発見の瞬間でした。

科学誌『ネイチャー』に掲載された証明

当時、「胃石を持つ獣脚類」の存在は証明されていませんでしたが、この発見によって彼らが消化を助けるために石を飲み込んでいたことが判明しました。
胃石の特徴が植物食の鳥類のものと似ていたことから、彼らが植物(または植物傾向の強い雑食)を食べていたことが裏付けられ、この研究成果は世界的な科学誌『ネイチャー』で紹介されるほどの快挙となりました。

泥沼の悲劇が残した「恐竜の保育園」

シノルニトミムスのもう一つの大きな特徴は、発見される化石の状況にあります。
1997年や2001年の発掘では、10頭以上の個体が、泥に足を取られたような状態で、ものすごい密度で埋まっているのが発見されました。

子供たちだけの集団生活

不可解なのは、そこにあるのが幼体や若い個体ばかりだったことです。
成体(大人)の化石は見つかっていません。
このことから、大人は惨事から逃げ切ったか、あるいは最初から子供たちとは離れて暮らしていた可能性があります。

シノルニトミムスは、現代のペンギンに見られる「クレイシ(集団保育)」のように、子供たちだけで群れを作って生活していたのではないかと推測されています。

貴重なタイムカプセルとしての化石

原始的なアーケオルニトミムスに近いとされるシノルニトミムス。
若き恐竜たちが泥沼で迎えた悲劇的な最期は、数千万年の時を経て、彼らの食性や社会性を現代に伝える貴重なタイムカプセルとなりました。

ペーパーウェイトの中に隠されていた真実は、恐竜たちがどのように食べ、どのように育っていたのかという「失われた日常」を私たちに教えてくれています。

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