ヴェロキラプトル Velociraptor
名前の由来
すばしっこい泥棒
科名
ドロマエオサウルス科
分類
爬虫綱、竜盤類、獣脚類
生息地(発見地)
モンゴル、中国
時代
約7000万~6500万年前(白亜紀後期)
全長
約2m
体重
約15kg
食性
肉食
Jurassic
Park / World シリーズ登場恐竜
ジュラシック・パーク における活躍
『ジュラシック・パーク』の施設では、4頭のヴェロキラプトルが管理されていました。
うち1頭は生まれたばかりの赤ちゃんですが、残る3頭(キム、ランディ、ビック・ワン)は、すでに完全に成熟した個体でした。
彼らの危険性は、飼育管理担当者のマルドゥーンが「8か月で我々の手に負えなくなる」と評するほど極めて高く、パークから離れた専用の厳重な収容施設で、高圧電流フェンスによって封じ込められていました。
しかし、ネドリーが仕掛けたハッキングによりパークのシステムがダウン。
システムを復旧するために一時的に全機能がシャットダウンされたその瞬間、ラプトルたちはついに檻からの脱出に成功します。
解き放たれた彼らは、その高い知性と獰猛な本能を即座に発揮。
まずシステム復旧に向かったアーノルドを捕食し、続いて育ての親であるマルドゥーンも血祭りにあげました。
特にマルドゥーンを倒すシーンでは、1頭が囮(おとり)となって正面から注意を引きつけ、もう1頭が側面から奇襲するという、高度な連携プレイ(作戦)が実行されていました。
生体が登場する前から、グラント博士のお墨付きを得ているほど非常に高い知能を持った恐竜として描かれており、ドアノブを触っただけでドアの開閉方法を理解し、ドアを開けるシーンも見られました。
最終的にはグラント博士一行をビジターセンターまで追い詰め、絶体絶命の窮地に立たせました。ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク における活躍
『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』に登場するヴェロキラプトルは、前作の灰色の体色から、黒い縦縞模様が入った茶褐色の皮膚へと外見が変更されています。
これは、原作小説の描写により近い設定と言えます。
彼らはイスラ・ソルナ島の最深部、研究所周辺の茂みを縄張りとしていたようです。
今作においても、その鋭い爪と高い機動力を武器に、劇中で最も多くの人間を死に至らしめた恐竜として描写されています。
特に、自らの縄張りに侵入した恐竜ハンターたちを集団で襲撃し、そのほとんどを容赦なく惨殺する場面は、彼らの凶暴性を強く印象付けました。
しかしながら、その知能については、シリーズを通して見ると著しく低く描写されており、前作の個体が見せたようなドアノブを開けるといった知性的な行動はできず、マルコム博士が逃げ込んだ車や建物のドアを開けることができませんでした。
それに憤慨して強引に突破しようとしたり、サラ・ハーディング博士の策略によって仲間と衝突すると、すぐに仲間同士で激しく争い始めるなど、知性よりも本能や力に任せた行動が強調されています。ジュラシック・パークIII における活躍
今作ではデザインが大きく変更されており、同じイスラ・ソルナ島出身の個体群でありながら、前作(『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』)とは姿かたちが大きく異なっています。
また、オスとメスの形態にも明確な差異が見られますが、なぜこれほどの違いが生じているのか、その理由は作中では明確にされていません。
今作では、序盤にアラン・グラント博士の悪夢の中に姿を見せた後、イスラ・ソルナ島に生息していた個体群が本格的に登場します。
前作同様、研究所の廃墟周辺を縄張りとしており、そこに足を踏み入れたグラント博士一行に襲いかかります。
しかし、今作における彼らの執拗な追跡は、単なる狩猟本能によるものではなく、人間側の一人(ビリー)が盗み出した彼らの卵を取り返すという明確な動機に基づいています。
劇中の様子からは、1頭のメス個体を中心に数頭のオスが従う、高度な社会性を営んでいる様子がうかがえます。
仲間が助けを求めれば集結し、自身らが育ててきた卵を盗んだ相手に対しては強い執着心を見せて追跡するなど、歴代のラプトルの中でも特に仲間意識の強さが描かれています。
その知能もさらに高く描かれており、負傷した仲間を「生き餌」として使い、人間を罠に誘い込もうとする狡猾な場面も見られました。
草原を疾走するシーンが印象的ですが、公式の設定によれば走行速度は時速65km~72kmとされており、意外にも第1作のラプトルたち(最高時速100km)よりも抑えられています。
物語の終盤、グラント博士によって卵が返還された後、彼のラプトルの鳴き声の真似に混乱し、一行の前から立ち去りました。
なお、後の公式情報(ディノトラッカー)によれば、このイスラ・ソルナ島の個体群は本土に上陸し、その生存が確認されているようです。ジュラシック・ワールド における活躍
本作の最大の特徴は、これまでのシリーズとは異なり、人間によって高度に訓練された特定の個体が登場する点です。
本作では、その獰猛さゆえに一般公開はされておらず、人間によって厳重に管理された4頭のラプトルが登場します。
公式での呼び名は「ラプトル・スクワッド(The Raptor squad)」です。
彼女たちは、ヴェロキラプトルの行動を研究していたオーウェンによって、長女「ブルー」、次女「デルタ」、三女「エコー」、四女「チャーリー」と名付けられた4姉妹です。
孵化した頃からオーウェンに育てられたため、オーウェンにとっては実の娘同然の存在であり、人間を信頼するよう訓練を受けています。
飼い主の言うことを理解し実行する、非常に賢い個体たちとして描かれています。
名前の由来は英単語のB、C、D、Eから取られています。
ブルー以外は、アルファベットのNATOフォネティックコードと、群れを形成し順位制を有する動物の個体序列(生態学での呼び方)をダブルミーニングさせたものです。
実際のアルファベットの並びとは異なり、B(ブルー)、D(デルタ)、E(エコー)、C(チャーリー)となっています(オーウェンはA(アルファ)に当たります)。
マスラニ・グローバル社のオフィシャルサイトによると、彼女たちは2012年から始まったヴェロキラプトルの知能を研究する「IBRIS(Integrated Behavioral Raptor Intelligence Study)計画」の為に産み出されました。
ラプトルたちは、その戦闘能力や命令を理解する知能の高さを、恐竜を生体兵器として利用しようと目論むインジェン社のホスキンスに目をつけられていました。
「V-2」と呼ばれるヴェロキラプトルも誕生し、最初は5姉妹でしたが、V-2は攻撃的で危険だった為、安楽死処分とされました。
2013年には他にもこの計画で多くのヴェロキラプトルが産み出されましたが、様々な原因で死んでいます。
遺伝子操作と戦闘訓練により、以前のシリーズの個体よりも戦闘能力が高められています。
加えて過去作同様に高い知能を持ち、訓練者であるオーウェンの指示を聞き分けることができます。
物語の中盤、脱走したハイブリッド恐竜インドミナス・レックスに対抗するため、オーウェンと共に討伐作戦に赴くことになります。
なお、シリーズの他作品同様、映画に登場するヴェロキラプトルのモデルとなっているのは、実際のヴェロキラプトルではなく、デイノニクスなど、より大型の近縁種であるとされています。
ブルー
彼女はワールド3部作において最も重要な恐竜であり、オーウェンが関わる事案には必ず登場する、物語の中核を成す存在です。
ブルーは、ラプトル4姉妹の長女であり、リーダーを務める個体です。
グレーの体色を基調に、名前の由来となった青色のラインが背中に沿って伸びているのが特徴です。
妹達(デルタ、エコー、チャーリー)の名前が個体順位の頭文字をNATOフォネティックコードに置き換えたものであるため、本来彼女の名前は「ブラボー」となるはずでしたが、例外的に体色に着目した「ブルー」という名が与えられました。
ノドグロオオトカゲとナイルオオトカゲのDNAを組み込まれて誕生したため、体には美しい青銀色の模様があります。
オーウェンからの評価は「ワガママな娘」「ワガママな女王様」だそうですが、オーウェンに対する信頼と愛情はラプトルの中で最も強く、彼の命令には素直に従い、彼が苦しそうな仕草を見せると心配して近寄るなど、一度認めた相手には一途な想いを見せる一面も持っています。
オーウェンも彼女を心の底から信頼しており、両者の関係はまさに種を超えた親子と言えるでしょう。
成長してオーウェンより大きくなると、反抗期になったのか気性が荒くなることもありますが、それでも何だかんだでオーウェンの言うことは理解し、耳を傾けます。
リーダーのアルファであるオーウェンはブルーに序列を覚えさせる為、餌を与える時は彼女には最後に与えるようにしています(肉を与えられるのは、末妹のチャーリーから「下から順」となっています)。
また、餌そのものも、妹たちの場合は肉の切り身ですが、ブルーだけはラットをまるごと与えられています。
パークが開園した当時は、過去に同じ島で問題を起こした個体がいたこともあり、島の端に設置された特殊な飼育場内、「ラプトル・リサーチ・アリーナ」と呼ばれる施設内で姉妹共々暮らしていました。
当初は平和に暮らしていましたが、インドミナス・レックスが逃げ出したことによりその状況が一変します。
ACUなどの特殊部隊が壊滅し、人間の手には負えないと判断された結果、ホスキンスの提案により、彼女たちはインドミナス討伐作戦へと駆り出されることとなりました。
しかし、インドミナスにはラプトルの遺伝子が組み込まれていたため、現場でインドミナスとコミュニケーションを取ってしまいます。
無理矢理駆り出されてストレスを溜めていたブルー達は、オーウェンの指示を確認するために振り返りましたが、これを謀反と誤解したホスキンス直属の部下が発砲。
人間側が彼女たちに発砲した事に驚き、人間たちに裏切られたと誤解してしまいます(この伏線は前半、警備員がラプトルを銃撃しようとした際、オーウェンが「銃撃すると信頼が崩れる」と言って制止するシーンで示されています)。
これにより、ブルーたちは人類の敵となり、末妹のチャーリーを殺害された復讐心も相まって、多くの討伐隊員を返り討ちにしました。
ブルーは育ての親の一人であるバリーにも襲いかかりますが、オーウェンが囮となったため対象を変更。
メインストリートに辿り着いたオーウェン達をデルタ、エコーと共に取り囲みますが、オーウェンの静止を聞き入れます。(なお、ラプトル4姉妹は人間に反撃した後も、オーウェンだけは襲っていません。)
インジェン社に取り付けられたヘッドギアを外してもらい和解したのも束の間、そこにインドミナスが現れます。
ブルーは果敢にインドミナスに立ち向かいますが、前肢の一撃で吹き飛ばされ動かなくなってしまいます。
残ったデルタとエコーも殺され、切り札として解き放たれたティラノサウルスのレクシィも劣勢に立たされます。
しかし、ブルーは死んでおらず、気を失っていただけでした。
ラプトルの鳴き声(仲間を呼ぶときの鳴き声)と共にインドミナスに再び飛びかかり、図らずもレクシィが反撃に転じる糸口を作ります。
以後、ブルーはレクシィと共同戦線を展開。
インドミナスの体を駆け登りながら戦うなど、その能力の高さを見せつけます。
2体の攻撃の前にインドミナスはパークの湖の側に追い詰められ、そこから飛び出してきたモササウルスの一撃によって最期を迎えました。
インドミナスが倒された後、劇中では最後まで生存し、姉妹3頭を失う悲劇に見舞われ天涯孤独の身となります。
レクシィはブルーを一瞥して人間たちの前から去っていき、ブルーはオーウェンを見つめます。
オーウェンが「島で暮らしてくれ」という意志を込めて黙って首を横に小さく振ると、ブルーはその意図を読み取り、名残惜しそうな一瞥をくれ、レクシィとは逆の方向へと走り去っていきました。
ブルーは仲間に対する同情心と、他のラプトルを従える統率力を持ち、ヘンリー・ウー博士も彼女の貴重な遺伝子に注目しています。
過去作のラプトルが『絶対悪』として描かれてきたのに対し、今作のラプトル4姉妹は人間の思惑に翻弄される悲劇的な存在であり、旧作では恐怖の音だった「仲間を呼ぶときの鳴き声」も今作では全く別の印象を観客に与えました。
デルタ
ラプトル4姉妹の次女であり、チームのサブリーダーを務めるヴェロキラプトルです。
彼女は本来は三女でしたが、次女であった「V-2」が殺処分されたため、次女のポジションに繰り上げとなった経緯があります。
体色は美しい青緑色(青みがかったグリーン)で、四女のチャーリーとよく似ています。
他の姉妹が爬虫類の遺伝子を多く持つ一方、デルタは鳥の遺伝子を多く受け継いでおり、鳥に近い行動を見せます。
この遺伝的特徴により、チャーリーよりも少々濃いめの緑になっているという差別化が図られていますが、劇中の暗いシーンでは判別が困難です。
サブリーダーとしての責務を感じているのか、リーダーである長女ブルーには極めて従順です。
劇中でも、ブルーに目配せを行ったり、指示を仰ぐように彼女をチラ見したりする場面が多々見られ、4姉妹の中で最もブルーに忠実な様子が描かれています。
一方で、馴れていない人間を嫌う警戒心も持ち合わせており、物語中盤、ホスキンスに頭を撫でられた際には、露骨に不快感を示し唸り声を上げていました。
物語終盤、インドミナス・レックスの脱走騒動の最中、デルタはACU隊員をトラックの荷台で襲撃し殺害します。
その後、エコーと共にトラックを追走しますが、ザックとグレイの機転による電気ショックで撃退されました。
その後、インドミナス・レックスの影響を受け、オーウェンたちを追って研究棟(クリエイション・ラボ)に侵入。
自分を手懐けようと手を伸ばしたホスキンスに対し、かつてのバリーの台詞(「アンタを食べたいと思っている」)を回収するように襲いかかり、彼を殺害しました。
最終決戦ではオーウェンの説得に応じ、再び現れたインドミナス・レックスに立ち向かいます。
インドミナスの背中に飛び乗って攻撃を加えるも、レストランのグリルに向かって強引に投げ飛ばされてしまいます。
デルタはグリルの上に落下し、誤作動したバーナーの爆発に巻き込まれるかたちで焼死するという壮絶な最期を遂げました。
エコー
ラプトル4姉妹の三女にあたるヴェロキラプトルです。
体色はくすんだ橙色で、黄色いマダラ模様と黒い縞模様が特徴です。
飼育員からは「エルビス」という愛称でも呼ばれていました。
性格は非常に短気で、何かを主張する際は牙や爪を先に向ける、好戦的なタイプとして描かれています。
劇中でも、餌のブタを掻っ攫って飼育員を転落させたり、トラックに真横から突撃したり、追跡中に姉妹であるデルタを押しのけようとしたりするなど、アグレッシブな行動が目立ちます。
その攻撃性は長女ブルーにも向けられており、映画本編開始前に何度もリーダーの座を巡って抗争を続けていたとされています。
過去にブルーとの戦いに敗れた結果、右側の鼻先に傷跡が残っているほか、体には生傷や一部欠けた歯など、闘争の痕跡が見受けられます。
このように非常に攻撃的なエコーですが、仲間意識は強い一面も持っています。
オーウェンの号令に応じ、インドミナス・レックスに最初に飛びかかったのは彼女でした。
また、インドミナスによってブルーが吹き飛ばされた際は、真っ先に激怒して反撃に向かうなど、認めた相手に対する強い結束力も示しています。
物語終盤、インドミナスの影響下でACU隊員を襲った際は、隊員の一人を茂みに引きずり込み殺害しました。
デルタと共にトラックにも襲いかかりますが、車両の幅寄せによって樹木に叩きつけられ、追跡から脱落します。
最終決戦ではオーウェンの説得に応じ、再びインドミナス・レックスに立ち向かいました。
しかし、デルタが倒されたことでコンビネーションが崩れ、最期はインドミナス・レックスに噛み殺され、投げ飛ばされてしまいました。
チャーリー
ラプトル4姉妹の四女で、末っ子にあたる個体です。
グリーンイグアナの遺伝子を組み込まれて誕生したため、全身が濃い緑色と、トラのような黒い縞模様の体色が特徴です。
また、瞳孔も他の姉妹とは異なり円形をしています。
オーウェンは彼女が誕生してから、4姉妹の訓練を開始しました。
ヴェロキラプトルの中では比較的温厚な性格を持ち合わせており、劇中ではブルーとオーウェン両者に明確に敬意を表しています。
戦闘訓練で食料を得た際には真っ先にブルーに献上するなど、末っ子ながらブルーへの信頼と忠誠心は姉妹の中で最も強い様子が描かれます。
オーウェンから餌を与えられる順番は一番目(序列の低い順)でした。
ただし、この温厚さもあくまで「ヴェロキラプトルとしては」という意味であり、人間から見れば恐ろしい存在であることに変わりはありません。
事実、オーウェンからも4姉妹揃って「危険だ」と断言されています。
インドミナス・レックスの影響下に入った際は、インジェン社のACU隊員を本能の赴くままに殺害(捕食)する場面も見られました。
インドミナス討伐作戦中、オーウェンと対面したチャーリーは攻撃を躊躇し、指示を仰ぐかのように顔を傾けます。
しかしその直後、背後からACU隊員が放ったロケットランチャーの直撃を受け、爆死するという衝撃的な最期を遂げました。
彼女を殺害した兵士は、敵討ちに燃えるブルーに追跡されます。
チャーリーは頭部に装着したカメラモニターごと破壊されたため、コントロールルームでは彼女のモニター画面のみがブラックアウトしました。ジュラシック・ワールド/炎の王国 における活躍
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』において、物語の中核を成す極めて重要な存在として描かれます。
ブルー
本作のメイン恐竜となるブルーは、前作(4作目)に登場した「ラプトル四姉妹」の最後の生き残りであり、長女にして元リーダーです。
劇中では「人間に次ぐ賢さを持つ」と評され、ストーリー構成の中心を担います。
救出作戦のために島を訪れたオーウェンと再会を果たしますが、直後に現れた武装した傭兵たちによって麻酔銃で撃たれ、さらに凶弾に倒れてしまいます。
輸送中は昏睡状態に陥っていましたが、ティラノサウルスの血を輸血し、ジア・ロドリゲスが銃弾を除去したことで奇跡的に一命を取り留めました。
本土到着後、彼女は「ロックウッド・エステート」に運び出されます。
その目的は競売ではなく、新たなハイブリッド恐竜「インドラプトル」を生物兵器として完成させるためでした。
ラプトルの中でも特に社交性の高いブルーのDNAを組み込み、彼女を母親代わりとして利用することがウー博士の計画でしたが、ジアからT-REXの血を輸血されたことを知らされ、その計画は失敗に終わります。
その後、ジアとフランクリンによって解放されたブルーは、オーウェンたちと協力してインドラプトルと戦い、勝利を収めます。
オーウェンから「安全な場所へ連れて行く」と告げられますが、彼が檻に目配せをすると、ブルーは提案を断るかのようにその場を離れ、オーウェンを振り向きつつ野生へと去って行きました。
ヴェロキラプトル(チャーリー、デルタ、エコー)
前作の最終決戦にて命を落とした、ブルーの3頭の妹たちです。
本作では生体としてではなく、オーウェンが記録していた幼少期のビデオ映像の中でのみ登場します。
彼がブルー、デルタ、エコー、チャーリーら四姉妹を育てていた頃の、貴重な姿が描かれました。ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 における活躍
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』では、シリーズを通して重要な役割を担ってきたヴェロキラプトルの「ブルー」に加え、彼女の娘である「ベータ」が登場し、物語の核心に関わる活躍を見せます。
ブルー
第4作『ジュラシック・ワールド』より登場し、主人公オーウェンによって飼育・訓練されてきた雌のヴェロキラプトル。
青い模様が特徴的な「最強のヴェロキラプトル」であり、本作の時点で2012年生まれの10歳を迎えています。
前作の騒動後、ブルーはシエラネバダの麓を縄張りとして暮らしていました。
ティラノサウルスのレクシィと同様に地球最後の個体と思われていましたが、驚くべき事実が判明します。
彼女の遺伝子に組み込まれていたオオトカゲ科のDNAの影響により、前作から今作までの間に「単為生殖」を行い、娘であるベータ(赤ちゃんラプトル)を産んでいたのです。
劇中、娘のベータが何者かに攫われた際、ブルーは激しく動揺します。
なだめようとするオーウェンに対し、尻尾で攻撃を加えて掌に怪我を負わせるほど、強い母性と怒りを露わにしました。
ベータ
ブルーが単為生殖により生んだ娘(ヴェロキラプトルの赤ちゃん)です。
「ベータ」という名前は、メイジー・ロックウッドによって名付けられました。
母親同様、体には特徴的な青い模様がついています。
シエラネバダでブルーと共に行動していましたが、ある時、バイオシン社の手の者によって誘拐されてしまいます。
単為生殖で生まれた彼女は遺伝子的に非常に貴重な存在であり、同じく鍵となるメイジーと共に、バイオシン社に捕らわれることとなりました。








































解説
ヴェロキラプトルは、映画『ジュラシック・パーク』で機敏で知的なハンターとして一躍有名になった小型の肉食恐竜です。
その名は「すばしっこい略奪者」を意味するラテン語と英語の造語で、白亜紀後期のアジア大陸、主にモンゴルに生息していました。
映画とは違う、驚きの真実
映画の影響で、大きくがっしりした体つきで、集団で獲物を追い詰めるイメージが定着していますが、実はこれらはすべて映画で創作された設定です。
現実のヴェロキラプトルは、すらりとした外観を持つ敏捷な恐竜で、体長およそ2m、体重はわずか15kgほどしかなく、体高も人の股下程度しかありませんでした。
すらりとした外観を持つ敏捷な恐竜
これは現代のコヨーテや七面鳥と同じくらいの大きさで、映画の描写とは大きく異なります。
また、群れで狩りをしていたという証拠も現在まで見つかっていません。
発見される化石は単独のものが多く、映画で描かれるようなチームプレーは現実にはなかったと考えられています。
小型ながら残忍なハンター
映画の描写は架空のものですが、ヴェロキラプトルが無害な生き物だったわけではありません。
その姿は、小型ながら残忍なハンターであったことを物語っています。
細長い頭部に比例したワニのように長い口には、獲物を噛み砕くための細かく鋭利な牙がビッシリと並んでいました。
また、ドロマエオサウルス科特有の、両足に鎌のような形の鋭いカギ爪が生えており、獲物に致命傷を与えることができました。
両足に鎌のような形の鋭いカギ爪が生えていた
素早い動作が特徴で、その辺りの車道を走り回る普通自動車くらいのスピードは余裕で出せたとされています。
そのスピードを活かし、主に卵や幼い子供、そしてプロトケラトプスなどの自分より小さな恐竜を捕食していたと考えられています。
実際に、狩りの最中に命を落としたと思われる化石も見つかっています。
賢い脳と翼の痕跡
ヴェロキラプトルの脳は、体のサイズに比べて大きいものでした。
トロオドン類と並んで賢かったと考えられています。
また、視力が優れていたことからも、多くの動物にとって油断のならない存在でした。
最近の研究では、化石の腕の骨から風切羽が生える土台となる突起が発見され、前肢に翼をもっていたことが確かめられました。
前肢に翼をもっていた
ヴェロキラプトルは空を飛べませんでしたが、羽毛がビッシリ生えていたのではないかと考えられています。
世紀の発見:「闘争化石」
1971年、モンゴルのゴビ砂漠で、ヴェロキラプトルの全身骨格が、角竜プロトケラトプスの体に手足の爪を食いこませ、取っ組み合った状態のまま化石になっているのが発見されました。
この「闘争化石」は、およそ7300万年も昔の恐竜の激しい戦いを今に伝えています。
ヴェロキラプトルは、フィクションの世界だけでなく、現実の世界でも多くの謎とロマンを秘めた、魅力的な恐竜なのです。