バロサウルス Barosaurus

名前の由来

重いトカゲ

科名

ディプロドクス科

分類

双弓亜綱、竜盤類、竜脚形類

生息地(発見地)

アメリカ

時代

約1億5500万〜1億4500万年前(ジュラ紀後期)

全長

約23〜27m

体重

約20トン

食性

植物食

解説

恐竜時代の絶頂期であるジュラ紀後期の北アメリカ大陸。
全長20mを超える巨大な竜脚形類たちが闊歩する中で、一際異様な「首の長さ」を持つ恐竜がいました。

その名は「バロサウルス」。

学名は「重いトカゲ」を意味しますが、近年の研究で明らかになったその姿は、名前とは裏腹にスマートで軽量なものでした。

「重いトカゲ」という名のパラドックス:実は軽かった?

バロサウルスは、1890年に著名な古生物学者オスニエル・C・マーシュによって記載されました。
化石はアメリカのサウスダコタ州やユタ州などで発見されています。

名前と体重のギャップ

学名の由来はギリシャ語で「重いトカゲ」ですが、実際の推定体重は約20トン(ゾウ3頭分程度)です。
全長23〜27mにも達する巨大恐竜としては、この体重はかなり軽い部類に入ります。

軽量化された骨格

なぜこれほど軽いのかというと、彼らの骨格には隙間が多く、軽量化された構造になっていたからです。
同じディプロドクス科のアパトサウルス(重量級)に比べると、バロサウルスは胴体も足もほっそりとしており、名前はむしろ親戚の方に相応しかったのかもしれません。

ディプロドクスとの違いと驚異の「首」

バロサウルスは、有名なディプロドクスと非常によく似た近縁種ですが、プロポーションには明確な違いがあります。

首と尾の長さ

ディプロドクス

長い首と、非常に長い尾。

バロサウルス

ディプロドクスよりもさらに長い首と、逆に少し短い尾。

1mにもなる首の骨

最大の特徴である「首」を構成する骨(頚椎)は、一つひとつが非常に長く、長いものでは1mにも達しました。
この長い首に対し、頭部は体に対して非常に小さく、口には櫛(くし)状の貧弱な歯が並んでいました。

頭部は体に対して小さく、口には櫛(くし)状の歯が並んでいた。

頭部は体に対して小さく、口には櫛(くし)状の歯が並んでいた。

彼らは柔らかい植物を摘み取って丸呑みし、胃石ですり潰して消化していたと考えられています。

立ち上がれたのか?博物館の展示と論争

バロサウルスを語る上で欠かせないのが、「後肢で立ち上がることができたのか?」という議論です。
この議論のきっかけは、ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館の有名な復元骨格展示にあります。

博物館のドラマチックな展示

この展示では、バロサウルスが子供を守るため、後肢だけで立ち上がってアロサウルスを威嚇している姿が再現されています。
前肢が短く重心のバランス的に可能だったのではないか、もし立ち上がれば高さ15mの木の葉も食べられたのではないか、という説に基づいています。

科学的な疑問:血圧の問題

一方で、現在の研究ではこの「立ち上がり説」には否定的な意見も多く存在します。

血圧の問題

20m超の体で首を垂直にすると、脳まで血液を送るのに心臓に負担がかかりすぎる。

関節の構造

そもそも首を高く持ち上げられない構造だった可能性が高い。

そのため、実際には地面と水平に首を保ち、低い位置の植物を食べていたという説も有力です。

希少性と生態:群れと子育て

北米固有のレアな恐竜

ディプロドクスなどに比べて化石の発見例が少なく、比較的珍しい恐竜です。
かつてアフリカで見つかった同種とされる化石は、現在は「トルニエリア」という別種に再分類されたため、バロサウルスは北アメリカ固有の種と考えられています。

子育てはしない?

アロサウルスなどの天敵から身を守るために群れを作っていましたが、発見状況から「子育て(親が子の面倒を見る行動)」はしていなかったのではないかと言われています。
産み落とされた子供たちは自力で生き延び、運良く生き残ったものだけがあの巨大な成体へと成長できたのでしょう。

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