プロケラトサウルス Proceratosaurus

名前の由来

原始のケラトサウルス

科名

プロケラトサウルス科

分類

双弓亜綱、竜盤類、獣脚類

生息地(発見地)

イギリス

時代

ジュラ紀中期

全長

約3〜4m

食性

肉食

解説

プロケラトサウルスは、ジュラ紀中期のイギリスに生息していた小型の肉食恐竜です。
その名は「原始のケラトサウルス」を意味しますが、この名前は古生物学界における分類の混乱と、その後の驚くべき発見の歴史を象徴しています。

発見と「ケラトサウルス」という誤解

プロケラトサウルスの歴史は、1910年にイングランドで貯水池を掘っていた際に、頭骨のみが発見されたことから始まります。
これが、現在に至るまでに発見された唯一の化石です。

当初の分類と早合点

発見当初、この化石はメガロサウルスの一種として位置付けられました。
その後、唯一見つかっている頭骨の鼻先に角のような突起が確認されたことが注目されます。
この特徴から、ジュラ紀後期の北米大陸に棲息したケラトサウルスの祖先だと早合点され、「プロケラトサウルス」という名前が付けられました。

分類の混乱

このため、プロケラトサウルスはコエルロサウルス類に属しながらもケラトサウルスと近縁とされ、ケラトサウルスは大型化したコエルロサウルス類と見なされるなど、分類は長らく混乱していました。

最新研究が明かす「ティラノサウルスの祖先」という真実

20世紀後半になると、ケラトサウルス類が獣脚類の中でも原始的な系統であることが判明し、より進化したコエルロサウルス類であるプロケラトサウルスとはかなり遠縁であることが解りました。

その後、2000年代後半に中国でグアンロンなどの近縁種が発見されたことで、状況は急変します。

ティラノサウルス上科への分類

2010年の研究発表で、プロケラトサウルスはコエルロサウルス類の中でも、ティラノサウルス上科に属することが明らかになりました。

グアンロンとの酷似

良好な全身骨格が見つかったグアンロンに対し、頭骨しかなかったプロケラトサウルスですが、両者の頭骨は酷似しており、互いに近縁であることは明らかでした。

最古のティラノサウルス類

グアンロンの骨格がティラノサウルスと多くの形質を共有していたことから、プロケラトサウルスもまたティラノサウルスに比較的近かったことが判明し、ティラノサウルス上科では最古の恐竜の一つであるという現在の立ち位置が確立されました。

謎に包まれた全体像

現在までに発見されている化石は頭骨のみであるため、その全体像は多くが謎に包まれています。

サイズ

頭骨を基に推測すると、全長は約3〜4mほどと、グアンロンと同じくらいの大きさだったとされています。
一説には、この個体は亜成体とされており、成体はもっと大きくなった可能性もあります。

鼻先のトサカ

名前の由来となった鼻先の突起ですが、頭骨の頭頂部が欠損していることから、実際はグアンロンなど多くの近縁種のような一枚のトサカが発達していたのではないかとする説が有力となっています。

プロケラトサウルスは、その断片的な化石から1世紀弱にわたり属する種が変わり続けましたが、最新の科学力によって、後の時代の最強恐竜ティラノサウルスの遠い祖先であるという、驚くべき正体が明らかになったのです。

ジュラシック・パーク/ジュラシック・ワールド Jurassic
Park / World
シリーズ登場恐竜

  • ジュラシック・パーク における活躍

    生きた姿で登場することはなく、その存在は名前だけで示されました。

    劇中での登場は、デニス・ネドリーが恐竜の胚を盗み出す「胚保存室」のシーンです。
    彼が強奪する胚の1つとしてラベルに名前が記載されており(標識は頭骨)、当時は知名度が低かったため、メトリアカントサウルスと並んで、多くの観客に『謎の恐竜』という印象を与えました。

    本作の時点でパドックも造られていたという設定がありますが、後に公開されたイスラ・ヌブラル島に生息していた恐竜の一覧には名前が含まれていません。
    これは、パークが稼働する前にハリケーンの影響でDNAが失われてしまったため、復元に至らなかったとされています。

    結局、ネドリーが強奪した遺伝子(胚)も泥の中へと沈んでしまいました。

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