バリオニクス Baryonyx 名前の由来 重々しい爪科名 スピノサウルス科分類 双弓亜綱、竜盤類、獣脚類生息地(発見地) イギリス時代 約1億2500万~9400万年前(白亜紀前期~白亜紀中期)全長 約8〜10m体重 約1.5~5.5トン食性 肉食解説バリオニクスは、白亜紀前期のイギリスに生息していた肉食恐竜です。 その名は「重々しいツメ」を意味し、その名の通り、非常に発達した前肢の先にある大きなかぎ爪(長さ35cmに達する親指の爪など)が最大の特徴です。 体長は8〜10mで、川や湖のほとりで生活していたと考えられています。川や湖のほとりで生活していたと考えられている魚食恐竜のパイオニアと食性の謎バリオニクスの最大の謎は、その特異な食性にあります。 口の部分がワニのように細長く、タケノコのような形状の歯が上下合わせて96本も並んでいました。タケノコのような形状の歯が上下合わせて96本も並んでいた他の肉食恐竜のように肉を切り裂くギザギザがないことから、当初は大きな動物を攻撃して倒す能力はないと考えられていました。しかし、化石の胃の部分から半分消化された魚の化石が発見されたことで、バリオニクスは世にも珍しい魚を主食とした恐竜として注目を集めました。 同じ科に属するスピノサウルスなどと同様に、現代の熊と同じような方法で魚を捕らえて食べていたと考えられています。一方で、消化器官から未消化のイグアノドンの骨も発見されたことから、完全に魚食性ではなく、陸に住む植物食恐竜の肉も食べていたことが分かっています。 チャンスがあれば前肢の鋭いカギ爪で他の恐竜も襲っていたことでしょう。狩りのスタイルと身体的特徴バリオニクスの首と顎は長くほっそりしており、ワニの頭骨とよく似ていました。 細長くて水の抵抗の少ない鼻先で、素早く獲物に噛み付いたものと思われます。 このワニに似た長い吻部と歯の形状は、後に発見されるスピノサウルスやスコミムスといった近縁種を判別する上で重要な手がかりとなり、現在でもこれらの恐竜を研究する上で、バリオニクスの存在は欠かせないものとなっています。バリオニクスの前肢は獣脚類としては大きく、腕力も強かったようです。 大きく湾曲した親指のかぎ爪は、魚をひっかけて捕まえたり、獲物の腹を裂いたりするのに用いられたと考えられています。バリオニクスのカギ爪の化石未解明の全貌と今後の展望バリオニクスの化石は、1983年にアマチュア化石収集家のウィリアム・ウォーカーによって発見されました。 たった一つだけですが保存状態が良く、全身の骨の約70%が確認されています。 しかし、それでも全身骨格は揃っておらず、未だその全貌は明らかになっていません。近年、後輩にあたる恐竜の新たな研究が学会に衝撃を与えたことから、いずれバリオニクスも、我々の知らない新しい姿が明らかになる日が来るかもしれません。 PREV バンビラプトル ノミンギア NEXT この恐竜を見た人はこんな恐竜も見ています パラサウロロフス Parasaurolophus 分類鳥脚類 特徴草食恐竜 時代白亜紀 アクロカントサウルス Acrocanthosaurus 分類獣脚類 特徴肉食恐竜 時代白亜紀 クリンダドロメウス Kulindadromeus 分類鳥脚類 特徴草食恐竜羽毛恐竜 時代ジュラ紀 アトラスコプコサウルス Atlascopcosaurus 分類鳥脚類 特徴草食恐竜 時代白亜紀 スポンサーリンク スポンサーリンク
解説
バリオニクスは、白亜紀前期のイギリスに生息していた肉食恐竜です。
その名は「重々しいツメ」を意味し、その名の通り、非常に発達した前肢の先にある大きなかぎ爪(長さ35cmに達する親指の爪など)が最大の特徴です。
体長は8〜10mで、川や湖のほとりで生活していたと考えられています。
川や湖のほとりで生活していたと考えられている
魚食恐竜のパイオニアと食性の謎
バリオニクスの最大の謎は、その特異な食性にあります。
口の部分がワニのように細長く、タケノコのような形状の歯が上下合わせて96本も並んでいました。
タケノコのような形状の歯が上下合わせて96本も並んでいた
他の肉食恐竜のように肉を切り裂くギザギザがないことから、当初は大きな動物を攻撃して倒す能力はないと考えられていました。
しかし、化石の胃の部分から半分消化された魚の化石が発見されたことで、バリオニクスは世にも珍しい魚を主食とした恐竜として注目を集めました。
同じ科に属するスピノサウルスなどと同様に、現代の熊と同じような方法で魚を捕らえて食べていたと考えられています。
一方で、消化器官から未消化のイグアノドンの骨も発見されたことから、完全に魚食性ではなく、陸に住む植物食恐竜の肉も食べていたことが分かっています。
チャンスがあれば前肢の鋭いカギ爪で他の恐竜も襲っていたことでしょう。
狩りのスタイルと身体的特徴
バリオニクスの首と顎は長くほっそりしており、ワニの頭骨とよく似ていました。
細長くて水の抵抗の少ない鼻先で、素早く獲物に噛み付いたものと思われます。
このワニに似た長い吻部と歯の形状は、後に発見されるスピノサウルスやスコミムスといった近縁種を判別する上で重要な手がかりとなり、現在でもこれらの恐竜を研究する上で、バリオニクスの存在は欠かせないものとなっています。
バリオニクスの前肢は獣脚類としては大きく、腕力も強かったようです。
大きく湾曲した親指のかぎ爪は、魚をひっかけて捕まえたり、獲物の腹を裂いたりするのに用いられたと考えられています。
バリオニクスのカギ爪の化石
未解明の全貌と今後の展望
バリオニクスの化石は、1983年にアマチュア化石収集家のウィリアム・ウォーカーによって発見されました。
たった一つだけですが保存状態が良く、全身の骨の約70%が確認されています。
しかし、それでも全身骨格は揃っておらず、未だその全貌は明らかになっていません。
近年、後輩にあたる恐竜の新たな研究が学会に衝撃を与えたことから、いずれバリオニクスも、我々の知らない新しい姿が明らかになる日が来るかもしれません。