ケルベロサウルス Kerberosaurus 名前の由来 ケルベロス(地獄の番犬)のトカゲ科名 ハドロサウルス科分類 双弓亜綱、鳥盤類、鳥脚類生息地(発見地) ロシア時代 約6600万年前(白亜紀後期)全長 約9m食性 植物食解説恐竜時代のフィナーレを飾る白亜紀最末期(約6600万年前)。 現在のロシア極東、アムール川流域の広大な大地に、ギリシャ神話に登場する「地獄の門番」の名を持つ恐竜が生息していました。その名は「ケルベロサウルス」。魔犬ケルベロスに由来する恐ろしい響きとは裏腹に、その実態は水辺で植物を食べる穏やかな草食恐竜でした。「地獄の番犬」の正体:名前は怖いが穏やかな植物食恐竜9mのカモノハシ竜ケルベロサウルスは、全長約9mに達する大型の植物食恐竜です。 分類は「ハドロサウルス科」、いわゆるカモノハシ竜に属しており、平らなクチバシで効率的に植物を食べていました。 現在は頭骨の化石のみが発見されています。なぜ「ケルベロス」なのか?これには諸説ありますが、彼らが生きていたのが白亜紀の最後、つまり恐竜絶滅という「地獄のような時代」の入り口に立っていた番人である、という意味合いが込められていると言われています。 名前の響きは凶暴な怪物を連想させますが、実際は絶滅直前の生態系を支えていた重要な草食恐竜でした。北米からアジアへ!大陸を渡った「旅人」ケルベロサウルスを語る上で最も重要なキーワードが「大陸間移動」です。陸続きだった大陸化石の研究から、ケルベロサウルスは北アメリカに起源を持つグループの子孫であることが分かっています。 当時のアジアと北米は陸続き(ベーリング陸橋など)でした。 彼らの祖先は北米で進化し、その後、陸路を辿ってユーラシア大陸(ロシア・東アジア)へと渡ってきた「旅人」だったのです。 この発見は、進化したハドロサウルス類が北米からアジアへ進出したことを示す決定的な証拠の一つとされています。揺れる分類:カムイサウルス(むかわ竜)の親戚?ケルベロサウルスは、その分類を巡って見解が変わってきた恐竜でもあります。初期の分類:サウロロフス族当初は、約7500万年前の北米にいた「プロサウロロフス」などに近い、やや原始的な特徴を持つ「サウロロフス族」と考えられていました。近年の分類:エドモントサウルス族しかし近年の研究では、北米の「エドモントサウルス」や、日本の北海道で発見された「カムイサウルス(むかわ竜)」などが属する「エドモントサウルス族」に分類されることが多くなっています。この新説によれば、ケルベロサウルスはカムイサウルスに近い親戚ということになります。 北米で生まれたグループがアジアへ渡り、それぞれ各地で独自の進化を遂げたという壮大なドラマが浮かび上がってきます。アムール川のほとりでの共存ケルベロサウルスが発見されたのは、ロシアの「ツァガヤン層」です。 かつてアムール川の氾濫原だった場所です。ここでは、同じハドロサウルス科の「アムロサウルス」という恐竜も見つかっています。 アムロサウルスは頭にトサカを持つタイプ(ランベオサウルス亜科)であり、トサカを持たないケルベロサウルスとは見た目が大きく異なっていました。 恐竜時代の黄昏時、ロシアの大地では「地獄の番犬」と「トサカを持つ竜」が共存し、静かに植物を食べていたのでしょう。 PREV コリトサウルス クリンダドロメウス NEXT この恐竜を見た人はこんな恐竜も見ています テラトフォネウス Teratophoneus 分類獣脚類 特徴肉食恐竜 時代白亜紀 ウエルホサウルス Wuerhosaurus 分類装盾類 特徴草食恐竜 時代白亜紀 マイプ Maip 分類獣脚類 特徴肉食恐竜 時代白亜紀 エイニオサウルス Einiosaurus 分類周飾頭類 特徴草食恐竜 時代白亜紀 スポンサーリンク スポンサーリンク
解説
恐竜時代のフィナーレを飾る白亜紀最末期(約6600万年前)。
現在のロシア極東、アムール川流域の広大な大地に、ギリシャ神話に登場する「地獄の門番」の名を持つ恐竜が生息していました。
その名は「ケルベロサウルス」。
魔犬ケルベロスに由来する恐ろしい響きとは裏腹に、その実態は水辺で植物を食べる穏やかな草食恐竜でした。
「地獄の番犬」の正体:名前は怖いが穏やかな植物食恐竜
9mのカモノハシ竜
ケルベロサウルスは、全長約9mに達する大型の植物食恐竜です。
分類は「ハドロサウルス科」、いわゆるカモノハシ竜に属しており、平らなクチバシで効率的に植物を食べていました。
現在は頭骨の化石のみが発見されています。
なぜ「ケルベロス」なのか?
これには諸説ありますが、彼らが生きていたのが白亜紀の最後、つまり恐竜絶滅という「地獄のような時代」の入り口に立っていた番人である、という意味合いが込められていると言われています。
名前の響きは凶暴な怪物を連想させますが、実際は絶滅直前の生態系を支えていた重要な草食恐竜でした。
北米からアジアへ!大陸を渡った「旅人」
ケルベロサウルスを語る上で最も重要なキーワードが「大陸間移動」です。
陸続きだった大陸
化石の研究から、ケルベロサウルスは北アメリカに起源を持つグループの子孫であることが分かっています。
当時のアジアと北米は陸続き(ベーリング陸橋など)でした。
彼らの祖先は北米で進化し、その後、陸路を辿ってユーラシア大陸(ロシア・東アジア)へと渡ってきた「旅人」だったのです。
この発見は、進化したハドロサウルス類が北米からアジアへ進出したことを示す決定的な証拠の一つとされています。
揺れる分類:カムイサウルス(むかわ竜)の親戚?
ケルベロサウルスは、その分類を巡って見解が変わってきた恐竜でもあります。
初期の分類:サウロロフス族
当初は、約7500万年前の北米にいた「プロサウロロフス」などに近い、やや原始的な特徴を持つ「サウロロフス族」と考えられていました。
近年の分類:エドモントサウルス族
しかし近年の研究では、北米の「エドモントサウルス」や、日本の北海道で発見された「カムイサウルス(むかわ竜)」などが属する「エドモントサウルス族」に分類されることが多くなっています。
この新説によれば、ケルベロサウルスはカムイサウルスに近い親戚ということになります。
北米で生まれたグループがアジアへ渡り、それぞれ各地で独自の進化を遂げたという壮大なドラマが浮かび上がってきます。
アムール川のほとりでの共存
ケルベロサウルスが発見されたのは、ロシアの「ツァガヤン層」です。
かつてアムール川の氾濫原だった場所です。
ここでは、同じハドロサウルス科の「アムロサウルス」という恐竜も見つかっています。
アムロサウルスは頭にトサカを持つタイプ(ランベオサウルス亜科)であり、トサカを持たないケルベロサウルスとは見た目が大きく異なっていました。
恐竜時代の黄昏時、ロシアの大地では「地獄の番犬」と「トサカを持つ竜」が共存し、静かに植物を食べていたのでしょう。