メトリオリンクス Metriorhynchus

名前の由来

ほどよい長さの鼻

科名

メトリオリンクス科

分類

双弓亜鋼、クロコダイル形類、中鍔類、主竜形類

生息地(発見地)

イギリス、フランス、チリ

時代

約1億5700万〜1億5400万年前(ジュラ紀中〜後期)

全長

約3m

体重

約300kg

食性

魚食

解説

恐竜が陸を支配していたジュラ紀、海の世界へ進出し、完全な水生生活に適応したワニがいました。
「メトリオリンクス」です。

現在のワニのようなゴツゴツした姿ではなく、イルカや魚のような流線型の体を持っていた彼らは、「唯一、完全に水生適応した主竜類」とも言われています。

流線型のボディと「ほどよい鼻先」

メトリオリンクスの最大の特徴は、陸生のワニとはかけ離れた、水中生活に特化したその姿です。

魚のような姿への変貌

陸上のワニに見られる重厚な装甲やウロコはなくなり、水の抵抗を減らすために体は滑らかになっていました。

装甲やウロコはなくなり、水の抵抗を減らすために体は滑らかになっていた。

装甲やウロコはなくなり、水の抵抗を減らすために体は滑らかになっていた。

四肢は歩くための脚から、水をかくための「ヒレ(パドル)」へと劇的に変化しており、前肢よりも後肢のヒレが大きく発達していました。
さらに、長い尾の先端は下へ折れ曲がり、皮膚の膜が張ることで魚のような「垂直な尾ビレ」を形成していました。

名前の由来と頭骨

学名は古代ギリシャ語で「ほどよい長さの鼻」を意味します。
近縁種に比べて口先が極端に長くも短くもなかったことに由来します。
また、頭骨は非常に軽く作られており、これは浮力調整や水中での素早い動きに適応した結果だと考えられています。

ジュラ紀の海での狩りと弱点

メトリオリンクスは、当時の海において優秀なハンターでした。

多様な食性

細長い口に並ぶ鋭い歯で素早い魚を捕らえていました。
また、ワニ特有の顎の力でアンモナイトを殻ごと噛み砕いたり、他の海生爬虫類を襲ったりすることもありました。
海面近くの翼竜をジャンプして捕食していた可能性も指摘されています。

捕食されるリスク

一方で、彼らには弱点もありました。

肺呼吸

頻繁に海面へ上がる必要があった。

サイズ

全長約3mと、同時代の巨大な首長竜などに比べると小柄。

泳ぐスピードもそれほど速くなかったと推測されており、大型の捕食者から逃げ切るのは難しかったと思われますが、広い生息域を持っていたことから、何らかの生存戦略があったのかもしれません。

最大のミステリー:「卵」か「赤ちゃん」か?

メトリオリンクスに関して最も議論されているのが「繁殖方法」です。
主竜類(恐竜、ワニ、鳥類)は基本的に「陸上で卵を産む」生物ですが、完全に海に適応した彼らはどうだったのでしょうか。

説①:ウミガメスタイル(卵生)

かつては、現生のウミガメのように産卵時だけ砂浜に上陸していたと考えられていました。

説②:驚異の「胎生」説(有力)

近年の研究では、腰の骨やヒレ状の手足の構造から「陸上を歩いて体を支えるのは困難だった」という見方が強まっています。
もし上陸できないなら、海中で直接赤ちゃんを産む「胎生(たいせい)」を獲得していたことになります。
主竜類での胎生は進化的ハードルが非常に高い「奇跡」ですが、彼らが完全水生適応を果たした証拠として注目されています。

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