ノアサウルス Noasaurus

名前の由来

アルゼンチン北西部のトカゲ

科名

ノアサウルス科

分類

双弓亜綱、竜盤類、獣脚類

生息地(発見地)

アルゼンチン

時代

約7000万年前(白亜紀後期)

全長

約1.5〜1.8m

体重

約15kg

食性

肉食

解説

白亜紀後期のアルゼンチン。
巨大な恐竜たちが闊歩していた南米大陸の片隅に、全長1.5mほどの非常に小柄な肉食恐竜が生息していました。

その恐竜の名は「ノアサウルス」。

一見するとよくある小型獣脚類に見えますが、この恐竜は発見当初、ある特徴から北半球のラプトル(ドロマエオサウルス科)と混同され、進化の不思議を示す存在として注目を集めました。

「ノアの方舟」ではない?名前の由来

ノアサウルスという学名は、一見すると聖書の「ノアの方舟」に関係があるように思えますが、実は全く関係ありません。

アルゼンチン北西部(NOA)

この名前は、化石が発見された場所である「アルゼンチン北西部」に由来しています。
スペイン語で「アルゼンチン北西部」を意味する「Noroeste Argentina」の頭文字(NOA)を取り、それにトカゲを意味する「サウルス」を組み合わせて命名されました。
つまり、直訳すると「アルゼンチン北西部のトカゲ」という意味になります。

古生物学界を惑わせた「カギ爪」のミステリー

ノアサウルスを語る上で欠かせないのが、ある「鋭いカギ爪」の化石にまつわるエピソードです。
この爪が体のどこに付いていたかの解釈を巡って、復元図は劇的に変化することになりました。

かつての定説:南半球のラプトル?

1980年にジェイミー・パウウェルとホセ・ボナパルテによって記載された際、発見された鎌のような鋭いカギ爪は、「後肢の第2指」に付いていたと考えられていました。

「後肢の鎌状の爪」といえば、北半球のドロマエオサウルス科(デイノニクスヴェロキラプトルなど)の代名詞です。
しかし骨格はアベリサウルス類に近く、系統が全く異なります。
そのため、「南半球にはラプトルがいないため、独自に足の爪を進化させた」と考えられ、長らく「南半球のラプトルのそっくりさん」として扱われていました。

最新の定説:爪は「手」にあった

ところが近年の研究により、この定説は大きく覆されました。
かつて後肢に付いていると思われていたそのカギ爪は、実は「前肢(手)」に付いていたことが明らかになったのです。

これにより、「ラプトルのように足の爪で切り裂く恐竜」というイメージは否定されました。
現在ではマダガスカルの近縁種「マシアカサウルス」に似た姿をしていたと推測されています。

分類と身体的特徴

小型のアベリサウルス類

ノアサウルスは、獣脚類の中でも原始的な「ケラトサウルス類」に属し、その中の「ノアサウルス科」という独自のグループに分類されます。
背骨などの構造は、同じ南米の大型肉食恐竜「アベリサウルス」によく似ています。

軽量で華奢な体

全長は約1.5〜1.8m。
巨大な頭部を持つアベリサウルスとは異なり、非常に軽量で華奢な体つきをしていました。

生態と食性:小動物を狙うハンター

生前は肉食で、狩りを行って生活していたと考えられています。
しかし体が小さいため、ティラノサウルスのように大型恐竜を襲うことはありませんでした。

主な獲物

鳥類、トカゲ、他の恐竜の幼体(子ども)など。

狩りの方法

前肢(手)にある鋭いカギ爪を使って、すばしっこい小動物を捕獲したり、押さえつけたりしていたと考えられます。

発見の歴史

ノアサウルスの化石は、アルゼンチン北西部の白亜紀後期の地層から発見されました。
1980年の記載以降、足の爪だと信じられていたものが手の爪だったという驚きの再評価を経て、彼らは「独自の進化を遂げた小型アベリサウルス類」として、その真の姿を取り戻したのです。

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