サウロロフス Saurolophus

名前の由来

隆起のあるトカゲ

科名

ハドロサウルス科

分類

双弓亜綱、鳥盤類、鳥脚類

生息地(発見地)

アメリカ、カナダ、モンゴル

時代

約7000万〜6850万年前(白亜紀後期)

全長

約13m

体重

約1.9トン

食性

植物食

解説

恐竜時代の終盤にあたる白亜紀後期。
アジア(ユーラシア大陸)と北アメリカ大陸が「ベーリンジア陸橋」で繋がっていた頃、この二つの大陸を股にかけて繁栄した巨大な植物食恐竜がいました。

その名は「サウロロフス」。

全長最大13mにも達するこのカモノハシ竜は、有名なパラサウロロフスなどの名前の由来となりながら、自身も独特なトサカを持つ謎多き恐竜です。

「隆起のあるトカゲ」の正体:パラサウロロフスの元ネタ

学名の意味と影響力

サウロロフスという学名は、ギリシャ語で「隆起のあるトカゲ」を意味します。
この名前は、後に発見される多くのハドロサウルス科恐竜の命名基準となりました。
パラサウロロフス(サウロロフスに近い)」や「プロサウロロフス(サウロロフスの前のもの)」といった有名恐竜たちの名前は、すべてこの恐竜が元ネタなのです。

伝説の化石ハンターによる発見

最初の発見は1911年。
ティラノサウルスの発見者として有名なバーナム・ブラウンがカナダで全身骨格を発見しました。
その後1946年には、旧ソ連の調査隊がモンゴルのゴビ砂漠で別種を発見。
さらに近年(2013年)にはアメリカ・カリフォルニア州でも新種が見つかっており、彼らがかつて陸続きだった二つの大陸を広範囲に移動していたことが分かります。

トサカと「鼻風船」の謎:音を鳴らす仕組みとは?

中身の詰まった「無垢」なトサカ

最大の特徴は、頭頂部から後方へ突き出したスパイク状の長いトサカです。

頭頂部から後方へ突き出したスパイク状の長いトサカが特徴

頭頂部から後方へ突き出したスパイク状の長いトサカが特徴

パラサウロロフスのように中が空洞で音を共鳴させる構造だと思われていましたが、研究により「中まで骨が詰まった無垢の突起」であることが判明しました。
トサカ自体で音を響かせることは物理的に不可能です。
では、彼らはどうやってコミュニケーションをとっていたのでしょうか?

オーボエのような鳴き声?

その答えは「鼻」にあるかもしれません。
鼻骨の周りには大きな窪みがあり、ここにはゾウアザラシのように膨らませる巨大な皮膚の袋(鼻風船)があったと推測されています。
息を吐く際にこの袋を膨らませて音を増幅させ、木管楽器のオーボエのような音色を出していた可能性があります。
トサカは、この袋を支えるための付着点として機能していたのかもしれません。

巨体を支える体と「龍の墓」が語る集団生活

二足と四足のハイブリッド

全長13m、体重5トンの巨体ですが、運動能力は高かったようです。
基本は四足歩行ですが、緊急時には二足で走り回ることができました。

緊急時には二足で走り回ることができた

緊急時には二足で走り回ることができた

肉食恐竜に襲われた際は、武器を持たない代わりに自慢の健脚でひたすら逃げたと言われています。

100頭以上の大量死

モンゴルの「Dragon’s Tomb(龍の墓)」と呼ばれる発掘地からは、推定100個体以上ものサウロロフスが一度に発見されています。
これは彼らが巨大な群れで生活しており、災害などで一度に大量死した証拠です。
ヌーの大群のように、植物を求めて大陸を移動する壮観な光景が広がっていたことでしょう。

アジアの暴君タルボサウルスとの死闘

彼らの世界は決して安全ではありませんでした。
特にアジアに生息していたサウロロフスにとって、最大の脅威は大型肉食恐竜「タルボサウルス」でした。

モンゴルで発掘されたサウロロフスの上腕骨には、大型肉食恐竜に噛まれた生々しい傷跡が残されています。
成体になれば敵なしのサウロロフスも、幼体や弱った個体は獰猛なハンターの餌食となっていたという、食物連鎖の厳しい現実を物語っています。

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