サウロポセイドン Sauroposeidon

名前の由来

ギリシア神話の海神ポセイドンにちなんで命名された

科名

ブラキオサウルス科

分類

双弓亜綱、竜盤類、竜脚形類

生息地(発見地)

アメリカ

時代

約1億1200万年前(白亜紀前期)

全長

約27〜35m

体重

約50〜65トン

食性

植物食

解説

サウロポセイドンは、白亜紀前期(約1億1200万年前)に北アメリカに生息していた巨大な竜脚形類です。
その名は、ギリシャ神話の海神「ポセイドン」にちなんで2000年に名づけられました。
正式な学名「サウロポセイドン・プロテレス」は「終局前に完全となったポセイドンの爬虫類」を意味し、恐竜絶滅期に入る直前に竜脚形類が到達した巨大進化の頂点を示す存在として、その発見は大きな衝撃を与えました。

史上最も体高の高い恐竜をめぐる発見秘話

サウロポセイドンの最大の特徴は、その驚異的な体高にあります。
彼は北半球に生息していた竜脚形類の中でも最大級のサイズを誇っていました。

1.4メートルの頚椎が語る巨体

サウロポセイドンの体長は約27〜35m、体重約50〜65トンと推測されています。
この巨大な推定値の根拠は、1994年にアメリカのオクラホマ州で偶然発見された4個の頚椎(首の骨)の一部です。

頚椎のサイズ

見つかった首の骨は、なんと一つが1.4メートルもありました。
化石を受け入れた博物館の研究員は、最初、木の幹の化石ではないかと疑ったほどです。

史上最高の高さ

この頚椎の大きさから計算して、サウロポセイドンは首を高く上げるとその高さは推定17〜18mにも及び、これはビルの5〜6階の窓を覗き込むことができるほどの高さです。
サウロポセイドンは、史上最も体高の高い動物として知られています。

また、首が非常に長いことで知られるマメンチサウルスよりも、さらに首が長かった可能性があると言われています。

化石の拡がりと分類の変遷

最初に見つかったのは頚椎4個だけでしたが、その後、ワイオミング州などから更に多くの化石が見つかり全体像が分かりつつあります。
発見当初、サウロポセイドンは体高が高いブラキオサウルス科に近縁だと考えられていました。
しかし、近年の研究ではその分類が見直され、中国に生息していたエウヘロプスに近縁なティタノサウルス形類の仲間と扱われています。

生態の謎:体温論争と捕食者との攻防

サウロポセイドンは他の竜脚形類と同様にシダや針葉樹の葉を食べる植物食恐竜でしたが、その巨大な体を維持するための生態には、いくつかの謎があります。

体温論争と成長の秘密

サウロポセイドンの体重が55トンだと仮定すると、その巨大な体積に対して体温が48℃にもなってしまうため、代謝の観点から「もっと軽かったのではないか」という議論があります。
この論争は、竜脚形類の代謝や体温調節の仕組みを探る上で重要なテーマとなっています。

幼体の雑食性

多くの竜脚形類と同様、サウロポセイドンは孵化したての幼体は全長50cm前後と小型でした。
この大量の栄養を必要とする成長期においては、雑食だった可能性もあると推測されています。

アクロカントサウルスとの攻防

これほどまでに大きいサウロポセイドンは簡単には肉食恐竜にやられはしないと思われていますが、健康な成体のサウロポセイドンの敵ではなかったとされているデイノニクスアクロカントサウルスといった獣脚類も、弱った個体などを獲物にしていました。

群れでの生存戦略

テキサス州パルクシ川では、本種のものと思われる足跡化石が発見されており、ある程度成長した幼体と成体で構成された群れで行動していたとされています。
その足跡化石の中には、アクロカントサウルスに追いかけられた痕跡も見つかっており、弱った個体などがこれらの肉食恐竜の餌食となっていたようです。

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