ヤンチュアノサウルス Yangchuanosaurus

名前の由来

ヤンチュアン(中国の地名)のトカゲ

科名

メトリアカントサウルス科

分類

双弓亜綱、竜盤類、獣脚類

生息地(発見地)

中国

時代

1億6830万〜1億6350万年前(ジュラ紀中期)

全長

約8〜10m

体重

約1〜3トン

食性

肉食

解説

北米のティラノサウルスアロサウルスが有名な一方で、ジュラ紀のアジア大陸にも、それらに匹敵する頂点捕食者が君臨していました。
「ヤンチュアノサウルス」です。

中国・四川省で発見されたこの大型獣脚類は、アロサウルスに似た姿と、1mにも及ぶ巨大な頭部を持っていました。

ダム工事現場での発見!中国を代表する標本

ヤンチュアノサウルスの発見には、中国のインフラ開発が深く関わっています。

「永川」のトカゲ

学名は発見地である四川省の「永川(ヤンチュアン)区」に由来し、「永川のトカゲ」を意味します。
1976年頃、上遊(シャンヨウ)ダムの建設工事中に、作業員が土の中から巨大な骨を発見しました。
専門家が調査したところ、それは頭蓋骨を含むほぼ全身の骨格でした。

研究が進んだ肉食恐竜

翌1978年に新属新種として発表され、その後も保存状態の良い化石が続々と発見されました。
不完全な部分を補うことでほぼ完全な姿が復元可能となっており、中国で最も研究が進んでいる肉食恐竜の一つとして重要な位置を占めています。

軽量化された「1mの頭部」とトサカ

全長約8〜10m(最大種は10m超)の巨体には、ハンターとしての機能美が詰まっていました。

巨大だが軽い頭骨

最大の特徴は長さ1mに及ぶ頭部です。

最大の特徴は長さ1mに及ぶ頭部

最大の特徴は長さ1mに及ぶ頭部

しかし、頭骨には大きな「空洞(開口部)」があり、驚くほど軽量化されていました。
この構造は嗅覚や呼吸機能の向上にも役立ち、鋭い感覚を持つ優秀なハンターだったことを裏付けています。

顔の装飾

顔つきはアロサウルスに似ており、鼻筋に沿って「2枚の低いトサカ」や、目の前に小さな角がありました。
これらゴツゴツした装飾は、仲間を見分けたり異性にアピールするためのディスプレイだったと考えられています。

背中にヒレ?スプリンター並みの筋肉

マッチョな足回り

頭骨の軽量化で重心バランスが最適化されていたことに加え、足回りには強靭な筋肉が備わっていました。

足回りには強靭な筋肉が備わっていた

足回りには強靭な筋肉が備わっていた

長い尻尾でバランスを取りながら強力な後肢で地面を蹴る、決して鈍重ではない「スプリンター」のような身体能力を持っていたと推測されます。

背中の盛り上がり

アロサウルスと異なる点として、背骨の突起が高く発達していました。
これにより背中から尾の付け根にかけて「筋肉の隆起(あるいはヒレ状の形)」を作っていた可能性があります。

背中から尾の付け根にかけて「筋肉の隆起」をもっていた

背中から尾の付け根にかけて「筋肉の隆起」をもっていた

これは強力な背筋を支える役割や、体温調節機能を持っていたかもしれません。

「恐竜の楽園」の支配者

彼らが生息していたジュラ紀の四川省(大山鋪層)は、多種多様な恐竜が暮らす「恐竜の楽園」でした。

巨大な獲物との戦い

同地域には、首の長い竜脚形類「マメンチサウルス」や、剣竜「トゥオジアンゴサウルス」などが生息していました。
ヤンチュアノサウルスは近縁種(シンラプトル等)より大きく強力な歯を持ち、柔軟な首を使ってこれらの大型草食恐竜を捕食していました。

スカベンジャーとしての一面

もちろん、常に狩りをしていたわけではありません。
機会があれば幼体や弱った個体、死肉(腐肉)も食べるなど、柔軟な食性を持っていたことが、アジア最強の座を盤石なものにしていました。

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