トルヴォサウルス Torvosaurus

名前の由来

残虐なトカゲ

科名

メガロサウルス科

分類

双弓亜綱、竜盤類、獣脚類

生息地(発見地)

アメリカ、ポルトガル

時代

約1億5300万〜1億4800万年前(ジュラ紀後期)

全長

約8〜10m

体重

約3〜5トン

食性

肉食

解説

ジュラ紀後期の北アメリカ大陸。
恐竜の黄金時代において、食物連鎖の頂点に君臨していたのは有名なアロサウルスだけではありませんでした。

彼らと肩を並べ、あるいはそれを凌駕するほどの巨体と破壊力を持った「もう一人の王」が存在しました。
その名は「トルヴォサウルス」。

学名が意味するのは「残虐なトカゲ」。
巨大な頭骨と長大な牙でジュラ紀の世界を震撼させたこの巨大肉食恐竜について、ライバル・アロサウルスとの比較や、最新の研究で明らかになった「真の強さ」について解説します。

「残虐なトカゲ」:名前の由来と発見の歴史

巨大なカギ爪からの発見

トルヴォサウルスの発見は、1971年にアメリカ・コロラド州で見つかった1本の巨大な「親指のカギ爪」から始まりました。
その後、本格的な発掘調査により1979年に新種として記載され、ラテン語で「残虐な(Torvus)」と「トカゲ(Saurus)」を組み合わせた「トルヴォサウルス・タンネリ」と名付けられました。

『ダイノトピア』に捧げられた新種

2000年代にはポルトガルでも化石が発見され、新種「トルヴォサウルス・グルネイ」と命名されました。
この種小名は、人間と恐竜が共存する絵本『ダイノトピア』の作者ジェイムズ・ガーニー氏に捧げられたものです。

アロサウルスを凌ぐ?ジュラ紀最大級の「パワー」

圧倒的な巨体

全長は8〜10m、体重は3〜5トンと推定されており、当時の獣脚類としては最大級です。
かつて別種とされた「エドマルカ」などが同種であれば、トルヴォサウルスの一部は後のティラノサウルスに匹敵するサイズを誇っていた可能性があります。

破壊力特化の「顎」と「牙」

最大の特徴は、長さ約1.2mにも達する巨大な頭部と凶悪な歯です。

長さ約1.2mにも達する巨大な頭部と凶悪な歯

長さ約1.2mにも達する巨大な頭部と凶悪な歯

その口には、同時期のアロサウルスの約3倍もの長さがある鋭利な歯が並んでいました。
肉を切り裂くアロサウルスに対し、トルヴォサウルスの歯は獲物の骨ごと砕く「杭」のような破壊力を持っていました。

筋肉質の上腕

前肢の上腕(二の腕)は非常に筋肉質で、第一指(親指)には巨大なカギ爪がありました。
これは獲物を押さえ込み、引き裂くための強力な武器でした。

「技」のアロサウルス vs 「力」のトルヴォサウルス

ジュラ紀後期の北米には、アロサウルスとトルヴォサウルスという二大巨頭が共存していました。
彼らはどのように棲み分けていたのでしょうか。

狩りのスタイルの違い

両者の決定的違いは「戦法」にあります。

アロサウルス(技の狩人)

足が速く、長い腕とカギ爪で獲物に抱きついて切り裂く「組み討ち」戦法。
広範囲を動き回る。

トルヴォサウルス(力の狩人)

足は遅いが、どっしりとした巨体と圧倒的な顎の力で致命傷を与える「一撃必殺」戦法。

直接対決の可能性

トルヴォサウルスは動きの鈍い竜脚形類や、カメなどの硬い獲物、あるいは死肉を狙っていたと考えられています。
基本的には棲み分けていましたが、アロサウルスの化石にトルヴォサウルスの歯型が残っていた例もあり、時には獲物を巡って「裏の王者」としてアロサウルスを威嚇し、圧倒していたのかもしれません。

原始的だが強力な血統:メガロサウルス科

重戦車の系譜

分類上はアロサウルス類ではなく、より原始的な「メガロサウルス科(スピノサウルス上科)」に属します。
彼らはジュラ紀において独自に進化した「重戦車」のような存在でした。

卵の発見

ポルトガルからは卵の化石も発見されており、1層構造の殻を持つ卵を産む卵生であったことが判明しています。
現代のワニのように卵を守ったのか、鳥のように子育てをしたのか、今後の研究が待たれます。

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