アトロキラプトル Atrociraptor

名前の由来

野蛮な略奪者

科名

ドロマエオサウルス科

分類

双弓亜綱、竜盤類、獣脚類

生息地(発見地)

カナダ

時代

約6850万年前(白亜紀後期)

全長

約2m

体重

約15kg

食性

肉食

解説

アトロキラプトルは、白亜紀後期の北アメリカ大陸(現在のカナダ)に生息していたドロマエオサウルス科の獣脚類です。

その学名は「野蛮な略奪者」という意味を持っており、鋭い歯で獲物を切り裂くハンターだったと考えられています。

わずかな化石と「野蛮」な歯の特徴

現在、アトロキラプトルとして知られている標本は、ホロタイプである「RTMP 95.166.1」のみです。
これは上顎と下顎の先端部分だけで構成されており、全身の骨格は見つかっていません。
そのため、その詳細な姿や生態は未だ多くの謎に包まれています。

肉を切り裂く鋸歯(きょし)

限られた化石パーツからの情報ですが、近縁属であるサウロルニトレステスに似ていることが分かっています。
しかし、決定的な違いとして、アトロキラプトルの歯の鋸歯(きょし)はより大きく発達していました。

このノコギリ状のギザギザを持つ歯によって、獲物の肉を切り裂くことが非常に得意だったと考えられています。
これが「野蛮な略奪者」という名前の由来とも結びついています。

推定される大きさと体重

全身骨格は発見されていませんが、2010年のグレゴリー・ポールの推定によると、全長約2m、体重約15kgと、小型ながらもがっしりとした体躯を持つ捕食者であったと推測されています。

分類の変遷:ヴェロキラプトルとの関係

本種は記載当初、有名なヴェロキラプトルが含まれる「ヴェロキラプトル亜科」とされていました。

しかし、その後の研究によって分類の見直しが進み、2009年の系統解析では「サウロルニトレステス亜科」であるという結果が得られました。
この結果は2020年の系統解析でも支持されており、現在はサウロルニトレステスに近い種であると考えられています。

生息した時代と環境:ティラノサウルスとは会わなかった?

化石はカナダのホースシューキャニオン層で発見されました。
時代区分としては中生代の最終盤にあたる「マーストリヒチアン」と呼ばれる時代を生きた恐竜です。

ライバルや強敵との関係

白亜紀後期といえばティラノサウルスが有名ですが、アトロキラプトルはティラノサウルスよりも少し前の時代に繁栄していました。
そのため、彼らがお互いに顔を合わせることはなかったようです。

アトロキラプトルと同じ時代を生きた同期の肉食恐竜には、ティラノサウルスの祖先筋にあたるアルバートサウルスなどが存在しており、彼らと同じ環境下で生存競争を繰り広げていたと考えられます。

ジュラシック・パーク/ジュラシック・ワールド Jurassic
Park / World
シリーズ登場恐竜

  • ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 における活躍

    『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』にてシリーズ初登場を果たしたアトロキラプトル。
    映画の情報がまだ少ない段階から登場が発表されていた恐竜であり、予告編でオーウェンを執拗に追いかける姿から「今作のヴィラン枠」と予測され、その期待通り凶悪な活躍を見せました。

    お馴染みのヴェロキラプトルよりも大柄で、より凶暴かつ残忍な性質を持つ獰猛な肉食恐竜として描かれています。

    『ジュラシック・ワールド』におけるブルーたち「ラプトル四姉妹」のように、それぞれ体色の異なる4頭が登場し、個体名が付けられています。

    ・ゴースト(白)
    ・タイガー(虎柄)
    ・パンテーラ
    ・レッド(赤茶色)

    公式プロモーションサイト「Dinotracker」の情報によると、彼らは何らかの目的で生み出された「デザイン恐竜」であり、バイオシン社によって徹底的な遺伝子操作と調教が施されているようです。

    身体能力
    戦闘に特化させるため、遺伝子改造によって移動スピードに補正がかかっています。

    追跡能力
    発達した嗅覚で獲物を追跡するほか、前作『炎の王国』のインドラプトルのように、レーザーポインターで示された標的を殺すまで追い続けるよう訓練されています。

    作中では、メイジーとベータを攫ってきた報酬として、密売人のソヨナ・サントスに引き渡されました。
    サントスの指示(レーザー照射)によってオーウェンたちに襲いかかり、マルタ島の市街地にてバイクで逃げるオーウェンを執拗に追跡。
    障害物をものともしないスピードと殺意で、本作屈指のアクションシーンを繰り広げました。

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