コリトサウルス Corythosaurus

名前の由来

コリント人のヘルメットのトカゲ

科名

ハドロサウルス科

分類

双弓亜綱、鳥盤類、鳥脚類

生息地(発見地)

アメリカ、カナダ

時代

約7700万~7650万年前(白亜紀後期)

全長

約9〜10m

体重

約3トン

食性

植物食

解説

コリトサウルスは、白亜紀後期(約7700万~7650万年前)の北アメリカ大陸に生息していた大型の鳥脚類(ハドロサウルス類)で、「カモノハシ竜」の中でも特に有名な恐竜です。
その名は「コリント人のヘルメットのトカゲ」を意味し、頭部にある大きなトサカが、古代ギリシャの都市コリントの兵士たちが被っていた兜(かぶと)に似ていたことから名付けられました。

ヘルメット型のトサカ:その驚くべき機能

コリトサウルスの最大の特徴は、頭頂部にそびえ立つ、扇状(アーチ状)の立派なトサカです。

特徴的なトサカ

特徴的なトサカ

このトサカは、そのユニークな見た目とは裏腹に、非常に高度な機能を持っていました。

トサカは硬く、中空の構造をしており、内部には鼻につながる管状の仕切りが鼻の穴まで続いていました。
その構造は管楽器のフレンチホルンによく似ています。

このトサカには、主に以下の4つの役割があったと考えられています。

共鳴器

トサカを持つ恐竜の多くがそうであったように、コリトサウルスも大きな音を出せたことが科学的に証明されています。
ふくらみの内部にある管が鳴き声を共鳴させ、1994年の調査では、トロンボーンのような低音(汽笛のような音)を発していた可能性が示されました。
この音は、仲間とのコミュニケーションや他のオスを威圧するために使われたと考えられています。

嗅覚の増幅

トサカの中身は鼻腔(びくう)に直結しており、嗅覚を増幅させるツールとして使用されていたとされています。

空気の調節

トサカの内部を空気が通ることで、肺に取りこむ空気に適度な湿り気を与えていたと思われます。

ディスプレイ

ヘルメットのような形状的な特異性は、異性を惹きつけたり、視覚的に仲間を区別したりするのに使われたと考えられています。
特に高く盛り上がったトサカは成体のオスのものであったとされ、この説を強く裏付けています。

発見の歴史と研究の進展

コリトサウルスの化石が初めて発見されたのは1911年(記載は1914年)。
ティラノサウルスの発見者としても名高い「バーナム・ブラウン」が、カナダ・アルバータ州のレッドディア川で発見しました。

最初の標本

この時発見された保存状態の良い化石(尾の一部と前肢のみが欠損)に「コリトサウルス・カスアリウス」と命名されました。
種小名は、同じようなトサカを持つヒクイドリの学名に由来しています。

豊富な標本

その後、アメリカとカナダで20頭分以上の頭部化石を含む多くの骨格標本が見つかっています。
これらの標本には、オス、メス、子供と様々な個体が含まれており、非常に研究が進んでいる恐竜の一つです。

雌雄と成長の違い

これらの標本から、雌雄の違いや成長の度合いによって、トサカの形状が大きく異なることがわかりました。
ふくらみは、幼いころには発達しておらず、成長するに従って大きく膨らんできたようです。

貴重な皮膚の化石

さらには、皮膚の化石が残った全身骨格まで発見されており、コリトサウルスが生きていた頃の姿を具体的に知る上で、非常に貴重な情報源となっています。

体格と生態

コリトサウルスは、ハドロサウルス類の中ではかなり大型で、全長は約9m〜10m、体重は3トンほどに及びました。

食性

彼らは草食恐竜で、口には600本以上の歯が並んでおり(デンタルバッテリー)、硬い植物を磨り潰して食べていました。
実際に、針葉樹、種子、小枝が腹部に残った化石も見つかっています。

祖先

彼らの祖先は、有名なイグアノドンであるとされています。
イグアノドン自体にはトサカはありませんが、体形はよく似ており、子孫であることを裏付けています。

尾の特徴

尾椎は骨質の腱に固められており、可動性は乏しかったと考えられています。

尾の可動性は乏しかったと考えられている

尾の可動性は乏しかったと考えられている

近縁種との関係

白亜紀後期の北アメリカには、コリトサウルスとよく似た頭の仲間であるランベオサウルスパラサウロロフスが生息していました。

ランベオサウルスとの見分け方

コリトサウルスとランベオサウルスは、トサカの形状によって見分けることができます。
ランベオサウルスのトサカはリーゼントヘアのように少し前に突き出していますが、コリトサウルスはアーチ状に膨らんでいます。

このように、コリトサウルスは学術的な意味でも非常に重要な恐竜であり、今日に至るまで多くの研究者を魅了し続けています。

ジュラシック・パーク/ジュラシック・ワールド Jurassic
Park / World
シリーズ登場恐竜

  • ジュラシック・パーク における活躍

    劇中では、生体ではなくビジターセンターのレストランの「絵画」としてカメオ出演している。

    コンプソグナトゥスと同様、後にインジェン・リストの15種に含まれていたことが公表された。
    しかし、この1作目の時点でのDNAは不完全だったらしく、後に1998年前後にウー博士によって完全に復元され、第3作『ジュラシック・パークIII』で晴れて生体が映像作品に登場した。

  • ジュラシック・パークIII における活躍

    『ジュラシック・パークIII』においてシリーズ初登場を果たした鳥脚類であり、本作が彼らにとっての代表作と言えるでしょう。

    序盤、飛行機がイスラ・ソルナ島の上空を通過する際、印象的なBGMと共にその姿が確認できますが、映画を鑑賞した方々にとって最も記憶に残っているのは、ヴェロキラプトルから逃げるアラン・グラント博士一行が遭遇した群れの場面ではないでしょうか。

    彼らのテリトリーであった高原で休息していたところ、グラント博士たちが慌てた様子で突っ込んできました。
    その後、背後からヴェロキラプトルが迫っていることに気づき、群れ全体がパニックになって逃走を開始します。
    登場シーンは実質的にこの場面のみですが、グラント博士たちと並走して逃げる、特徴的な縞模様の巨体は、観客に大きな印象を与えました。

    興味深い点として、同じ鳥脚類のパラサウロロフスと共同生活を送っているかのように描かれており、劇中ではパラサウロロフスの群れの中に何頭も混じり、休息場所(寝所)を共にしていました。

    まるで種を超えた絆で結ばれているかのようでしたが、いざ肉食恐竜に追われると、パラサウロロフスによって突き飛ばされる(小突かれる)場面もあり、その関係性はさほど強固なものではなかった様子もうかがえます。

    裏設定によれば、コリトサウルスは第1作『ジュラシック・パーク』の時点でインジェン社のリスト(15種)に含まれていました。
    その後、『ジュラシック・ワールド(第5作)』の裏設定において、移送先のイスラ・ヌブラル島で絶滅したとされており、本作がシリーズにおける最後の登場(遺作)になる可能性が示唆されていました。

    しかし、21年後の『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』に関連する「ディノトラッカー」の情報では、パラサウロロフスと共にロンドンにて群れが発見されたことが確認されています(ただし、映画本編への登場はありませんでした)。

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