マジュンガサウルス Majungasaurus

名前の由来

マジュンガ(地名)のトカゲ

科名

アベリサウルス科

分類

双弓亜綱、竜盤類、獣脚類

生息地(発見地)

マダガスカル

時代

約8300万~7100万年前(白亜紀後期)

全長

約6m

体重

約2〜5トン

食性

肉食

解説

アフリカ東の巨大な島、マダガスカル。
白亜紀後期のこの島は、大陸とは異なる進化を遂げた恐竜たちの実験場でした。
この隔絶された世界を支配していたのが、あまりにも奇妙で凶暴な肉食恐竜です。

「マジュンガサウルス」。

頭には謎のコブがあり、極端な短足で、仲間さえも食らう――。
堅頭竜(石頭恐竜)と間違われるほど異様な頭部を持つマジュンガサウルスの特徴や、化石に刻まれた「共食い」の証拠、そして鈍足でも頂点捕食者になれた理由について解説します。

マジュンガトルスと同じ恐竜?軍医が見つけた化石の歴史

マジュンガサウルスの発見には、少し変わった歴史的背景があります。

1895年の発見と命名

最初の化石は1895年、マダガスカルに侵攻したフランス軍の軍医フェリックス・サレテスによって発見されました。
発見地のマジュンガ州(現マハジャンガ州)にちなんで命名されましたが、当時はメガロサウルスの一種とされるなど正体は不明でした。

堅頭竜「マジュンガトルス」の正体

1979年、分厚く盛り上がった頭骨が見つかり、パキケファロサウルスのような堅頭竜の新種「マジュンガトルス」と名付けられました。
しかしその後の研究で、これは堅頭竜ではなくアベリサウルス科の肉食恐竜であり、なんと「マジュンガサウルスと同じ恐竜」であることが判明しました。
つまり彼らは「堅頭竜と間違われるほど頭がゴツい肉食恐竜」だったのです。

コブのある「石頭」と極端な「短足」

マジュンガサウルスは全長約6m。
ティラノサウルスより小型ですが、アベリサウルス科特有のがっしりした体格をしていました。

ブルドッグのような頭部

頭骨は前後に短く、高さがあるブルドッグのような形状です。

頭骨は前後に短く、高さがあるブルドッグのような形状。

頭骨は前後に短く、高さがあるブルドッグのような形状。

頭頂部には太く短いコブがあり、頭骨自体が異常に分厚く肥厚していました。
これは種内競争のディスプレイや、頭突きに使われた可能性があります。

走れない?謎の短足

近縁のカルノタウルスは俊足ですが、マジュンガサウルスは極端に短く太い後肢をしていました。

極端に短く太い後肢をしていた

極端に短く太い後肢をしていた

前肢も退化しており、視力も良くなかった可能性が指摘されています。
「目が悪くて足も遅い」という、ハンターとしては致命的なスペックに見えますが、なぜ彼らは王になれたのでしょうか。

なぜ「鈍足」でも生き残れたのか?

彼らが生態系の頂点に君臨できた理由は、当時のマダガスカルの環境にあります。

獲物も「鈍かった」

孤島であるマダガスカルには、巨大な竜脚形類「ラペトサウルス」が生息していました。
獲物である竜脚形類の動きが非常に鈍かったため、捕食者も速く走る必要がなかったのです。
マジュンガサウルスはスピードではなく、強靭な顎で獲物に食らいつき、離さない「パワー」と「持久力」に特化していました。

禁断の味:確定した「共食い(カニバリズム)」

マジュンガサウルスを語る上で最も衝撃的なのが、「共食い」の習性です。

仲間を食べる痕跡

発見されたマジュンガサウルスの骨には無数の「噛み跡」があり、その形状は同種の歯と完全に一致しました。
肉食恐竜の共食いが明確な証拠として確認されたのは、これが世界初でした。

生きた仲間を襲ったのか、死体を食べたのかは不明ですが、閉ざされた島環境での食料不足や、激しい縄張り争いの結果として、仲間さえも貴重な食料として利用する貪欲な生存戦略を持っていたのです。

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