スコミムス Suchomimus
名前の由来
ワニもどき
科名
スピノサウルス科
分類
双弓亜綱、竜盤類、獣脚類
生息地(発見地)
ニジェール
時代
1億2500万〜1億1200万年前(白亜紀前期)
全長
約9〜11m
体重
約4〜6トン
食性
肉食
Jurassic
Park / World シリーズ登場恐竜
ジュラシック・パークIII における活躍
同じくスピノサウルス科であるバリオニクスと同様に、生体としての登場はなく、ビリー・ブレナンの台詞の中にのみ名前が登場します。
劇中では、本作の主要な脅威であるスピノサウルスの巨大さを際立たせるための比較対象として、ビリーによってその名前が言及されるという役割に留まりました。ジュラシック・ワールド における活躍
パークで飼育されている個体という設定のみ登場し、劇中でその姿が映ることはありません。
『ジュラシック・パークIII』では名前だけが登場し、その存在が示唆されていました。
本作の公式リストにも掲載されており、こうした点にスタッフの細かなこだわりがうかがえます。
しかし、映像に登場しないという点では、同じくリストに載っているバリオニクスと全く同様の扱いとなっています。















































解説
スコミムスは、白亜紀前期のアフリカ、ニジェールに生息していた巨大な肉食恐竜です。
1997年にアフリカのニジェールで発掘され、そのワニによく似た吻部(ふんぶ)から「ワニもどき」と命名されました。
全長9〜11m、体重4〜6トンという巨体は、当時のアフリカでは最大級の捕食者でした。
有名なスピノサウルスの祖先と見なされることもありますが、厳密にはメガロサウルス科から進化した独自の分岐点であり、スピノサウルスとは独立した種と考えられています。
ワニの口と筋肉質の巨体:スコミムスの身体的特徴
スコミムスは、近縁種のバリオニクスを大きくしたような体形ですが、さらにがっしりした体をしていました。
がっしりした体をしていた
スコミムスの最大の特徴は、スピノサウルスと同様に鼻面が長く、全体的に細長い形状をしたワニのような口です。
最大の特徴はワニのような口
頭骨はバリオニクスより長く、この長い顎には、捕えた獲物を逃さないようにやや後ろに傾斜した100本近くの鋭い歯(かぎ爪状の太い歯)が並んでいました。
きりのように噛み合うこれらの歯は、円錐形の歯をしているスピノサウルスとは大きく異なっています。
体格
先代の「ワニ恐竜」であるバリオニクスより首がやや短かったものの、代わりに筋肉が体中を覆っていたとされています。
背中の突起
スコミムスの脊椎の棘突起はやや長く伸びており(高さは60cmくらい)、背骨に沿った隆起もバリオニクスより高く、背中には太い神経棘が通っていました。
背中には太い神経棘が通っていた
これは筋肉の隆起という説や体温調節のためという説があり、スピノサウルスほどではないにせよ、背に低い帆を持っていたのではないかと考えられています。
強力な前肢
獣脚類の恐竜としては手が長く、この長い手を水中に入れて魚などの獲物を捕まえていたのではないかと考えられています。
四肢には三本ずつ、湾曲した強力なかぎ爪を持っていました。
長い手を水中に入れて魚などの獲物を捕まえていたのではないかと考えられている
食性:魚食か? 水辺の生態系
骨格の特徴から、スコミムスは魚を主食にしていたと考えられています。
この説は、魚食が確定しているバリオニクスと身体的特徴が酷似していること、そしてスコミムスの化石が当時、水辺であったとされる場所(魚を含めた水生生物が豊富な河原)で発見されている事が根拠となっています。
(ただし、化石から直接的な証拠が見つかったわけではありません。)
魚を主食にしていたと考えられている
サルコスクスとの共存
同環境には、スコミムスより遥かに巨大なワニ『サルコスクス』が生息しており、彼と衝突していたと考えられていましたが、歯の形状が違った事から「棲み分け」はしっかり出来ていたとされています。
他の獣脚類との共存
同じ時代のニジェールにはエオカルカリアやクリプトプスなどの獣脚類が生息していましたが、前述のようにスコミムスは魚や水棲動物を捕食することで彼らとの競合を避けていたと考えられます。
発見と分類:スピノサウルス科研究の鍵
スコミムスは1997年にポール・C・セリーノ氏によって発見され、1998年に記載された、比較的新顔の恐竜です。
今日に至るまでに発見された化石はいくつかあるものの、未だ全身骨格は見つかっておらず、その詳しい素性についてはよく分かっていません。
しかし、スコミムスの化石は現在発見されているスピノサウルス科の仲間の化石の中で最も保存状態が良いため、バリオニクスやイリテーターなど、他の近縁種を深く理解する上で非常に貴重な資料となっています。