インロン Yinlong

名前の由来

隠れた龍

科名

レプトケラトプス科

分類

双弓亜綱、鳥盤類、周飾頭類

生息地(発見地)

中国

時代

約1億5800万年前(ジュラ紀後期)

全長

約1m

体重

約15kg

食性

植物食

解説

インロンは、ジュラ紀後期(約1億6,000万年前)にアジアで発見された、最初期の角竜です。
その名は、発見地付近で撮影された映画『グリーン・デスティニー』にちなみ、「隠龍」と名付けられました。
白亜紀の地層から見つかることが多い角竜の中で、ジュラ紀の地層から発見された数少ない貴重な存在です。

角竜と堅頭竜をつなぐ「モザイク」

インロンは、パキケファロサウルスなどの堅頭竜類と角竜類が分岐した直後に現れた、最も原始的な角竜です。
その頭骨は、両グループの特徴を併せ持つ、まさに進化の「ミッシングリンク(失われた環)」と呼べる驚くべき構造でした。

角竜類の特徴

上顎の先端には、後のトリケラトプスに繋がる、角竜特有の嘴骨(しこつ)がありました。

堅頭竜類の特徴

一方、頭の後ろにある鱗状骨(りんじょうこつ)には、堅頭竜類に見られるこぶ状の装飾がありました。

さらに、より原始的な鳥盤類が持つ、長く鋭い牙のような歯も備えていました。
これらの特徴は、角竜と堅頭竜が非常に近縁であり、共通の祖先から分かれて進化したことを示す、動かぬ証拠となりました。

雑食性の可能性と胃石の発見

インロンは、鋭い部分も残る歯を持っていたことから、純粋な植物食恐竜ではなかったと考えられています。
お腹があった場所からは、飲み込んだ石である胃石(ガストロリス)が見つかっています。
これは、硬い植物を胃の中で効率よく消化していたことを示しています。
これらのことから、インロンは植物を主食としながらも、昆虫や小動物なども食べる雑食性であった可能性が高いと考えられています。

2006年に発見されたインロンの化石は、角竜の進化を解き明かす上で非常に重要なポイントとなっています。

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