アンキロサウルス Ankylosaurus 名前の由来 癒合したトカゲ科名 アンキロサウルス科分類 双弓亜綱、鳥盤類、装盾類生息地(発見地) アメリカ、カナダ時代 約6800万〜6600万年前(白亜紀後期)全長 約10m体重 約6~8トン食性 植物食解説アンキロサウルスは、白亜紀後期の北アメリカに生息していた鎧竜(アンキロサウルス類)の代名詞です。 その名は「癒合したトカゲ」または「連結したトカゲ」を意味し、全身を覆う重厚な装甲と、尾の先の巨大なハンマーがトレードマークです。重厚な装甲と尾の先の巨大なハンマーがトレードマーク鉄壁の防御と最強の武器アンキロサウルスの最大の強みは、その徹底した防御力にあります。 背中には甲冑のような硬い骨質の盾(皮骨)があり、その上には無数の角が突き出ていました。 頭部の骨も分厚く、さらにまぶたの上にもシャッターのような骨の装甲があったため、弱点となる部分がほとんどありませんでした。 この鉄壁の防御力は、まるで「難攻不落の動く要塞」のようでした。難攻不落の動く要塞成長した個体であれば、ティラノサウルスのような大型肉食恐竜であっても攻撃をためらったと考えられています。さらに、アンキロサウルスの尾の先端には、巨大な骨の塊、通称「テールクラブ」と呼ばれるハンマーがありました。 尾の後半部の骨は互いに癒合して硬い棒のようになり、ハンマーを振るうための持ち手となっていました。 これにより、尾の付け根の柔軟な筋肉を使って、ハンマーを強力なスピードで左右に振り回すことが可能でした。ハンマーを強力なスピードで左右に振り回すことができた2009年の研究によると、このハンマーの一撃は最大で364〜718MPa(メガパスカル)にも達し、これはティラノサウルスの脚の骨をも粉砕するのに十分な破壊力でした。 尾の高さはちょうどティラノサウルスの膝に相当する高さであり、命中すれば深いダメージを与えることができました。 アンキロサウルスは、重い体ゆえに歩く速度が遅いという弱点を、この硬い装甲と強力な武器で補い、数百万年もの間繁栄を続けることができたのです。謎多き全身像とユニークな食性これほど有名なアンキロサウルスですが、現在に至るまで全身骨格は発見されておらず、未だに謎の多い恐竜です。 私たちが知るアンキロサウルスの姿は、頭骨や装甲といった断片的な化石と、より化石記録が豊富な近縁種であるエウオプロケファルスの研究データを基に復元されたものです。アンキロサウルスは草食動物で、鼻先は鳥のくちばしのような形状をしていました。 歯は小さく貧弱だったため、硬い植物を噛み砕くことはできず、幅広いくちばしで刈り取った植物をほぼ丸呑みに近い形で食べていたようです。 2017年の研究によると、1日に約60kgのシダ植物が必要だったと推定されています。1日に約60kgのシダ植物が必要だったと推定されている驚くべき頭部の秘密と繁栄の歴史アンキロサウルスの頭骨をCTスキャンした結果、鼻の内部が非常に複雑に入り組んでいることが判明しました。 鼻の奥にある空気の通り道は8つの小部屋に分かれており、吸い込んだ空気を温めたり湿らせたりする「エアコン」のような役割や、大きな鳴き声を出すための「共鳴室」として機能したのではないか、という興味深い説が提唱されています。アンキロサウルスは、白亜紀の終わりを飾る最も有名な恐竜の一つですが、一世紀以上にもわたって全身骨格が発見されない理由の一つとして、元々個体数が少なかったのではないかという説があります。 この説が正しければ、彼らは全盛期の時点で限られた個体数で細々と生きていたことになります。 その証拠に、アンキロサウルスの化石は白亜紀末期からは一切発掘されておらず、彼は数少ない「大絶滅の瞬間を見られなかった」恐竜の一種だと考えられています。 PREV アンタークトペルタ この恐竜を見た人はこんな恐竜も見ています ノミンギア Nomingia 分類獣脚類 特徴雑食恐竜羽毛恐竜 時代白亜紀 アロサウルス Allosaurus 分類獣脚類 特徴肉食恐竜 時代ジュラ紀 ウナイサウルス Unaysaurus 分類竜脚形類 特徴草食恐竜 時代三畳紀 プテロダクティルス Pterodactylus 分類空の爬虫類 特徴肉食恐竜羽毛恐竜 時代ジュラ紀 スポンサーリンク スポンサーリンク
解説
アンキロサウルスは、白亜紀後期の北アメリカに生息していた鎧竜(アンキロサウルス類)の代名詞です。
その名は「癒合したトカゲ」または「連結したトカゲ」を意味し、全身を覆う重厚な装甲と、尾の先の巨大なハンマーがトレードマークです。
重厚な装甲と尾の先の巨大なハンマーがトレードマーク
鉄壁の防御と最強の武器
アンキロサウルスの最大の強みは、その徹底した防御力にあります。
背中には甲冑のような硬い骨質の盾(皮骨)があり、その上には無数の角が突き出ていました。
頭部の骨も分厚く、さらにまぶたの上にもシャッターのような骨の装甲があったため、弱点となる部分がほとんどありませんでした。
この鉄壁の防御力は、まるで「難攻不落の動く要塞」のようでした。
難攻不落の動く要塞
成長した個体であれば、ティラノサウルスのような大型肉食恐竜であっても攻撃をためらったと考えられています。
さらに、アンキロサウルスの尾の先端には、巨大な骨の塊、通称「テールクラブ」と呼ばれるハンマーがありました。
尾の後半部の骨は互いに癒合して硬い棒のようになり、ハンマーを振るうための持ち手となっていました。
これにより、尾の付け根の柔軟な筋肉を使って、ハンマーを強力なスピードで左右に振り回すことが可能でした。
ハンマーを強力なスピードで左右に振り回すことができた
2009年の研究によると、このハンマーの一撃は最大で364〜718MPa(メガパスカル)にも達し、これはティラノサウルスの脚の骨をも粉砕するのに十分な破壊力でした。
尾の高さはちょうどティラノサウルスの膝に相当する高さであり、命中すれば深いダメージを与えることができました。
アンキロサウルスは、重い体ゆえに歩く速度が遅いという弱点を、この硬い装甲と強力な武器で補い、数百万年もの間繁栄を続けることができたのです。
謎多き全身像とユニークな食性
これほど有名なアンキロサウルスですが、現在に至るまで全身骨格は発見されておらず、未だに謎の多い恐竜です。
私たちが知るアンキロサウルスの姿は、頭骨や装甲といった断片的な化石と、より化石記録が豊富な近縁種であるエウオプロケファルスの研究データを基に復元されたものです。
アンキロサウルスは草食動物で、鼻先は鳥のくちばしのような形状をしていました。
歯は小さく貧弱だったため、硬い植物を噛み砕くことはできず、幅広いくちばしで刈り取った植物をほぼ丸呑みに近い形で食べていたようです。
2017年の研究によると、1日に約60kgのシダ植物が必要だったと推定されています。
1日に約60kgのシダ植物が必要だったと推定されている
驚くべき頭部の秘密と繁栄の歴史
アンキロサウルスの頭骨をCTスキャンした結果、鼻の内部が非常に複雑に入り組んでいることが判明しました。
鼻の奥にある空気の通り道は8つの小部屋に分かれており、吸い込んだ空気を温めたり湿らせたりする「エアコン」のような役割や、大きな鳴き声を出すための「共鳴室」として機能したのではないか、という興味深い説が提唱されています。
アンキロサウルスは、白亜紀の終わりを飾る最も有名な恐竜の一つですが、一世紀以上にもわたって全身骨格が発見されない理由の一つとして、元々個体数が少なかったのではないかという説があります。
この説が正しければ、彼らは全盛期の時点で限られた個体数で細々と生きていたことになります。
その証拠に、アンキロサウルスの化石は白亜紀末期からは一切発掘されておらず、彼は数少ない「大絶滅の瞬間を見られなかった」恐竜の一種だと考えられています。