恐竜界の動く要塞「装盾類」:鎧とトゲに守られた進化の歴史

装盾類は、小型から超大型の装甲をまとい、前期ジュラ紀から恐竜時代の終わりまで全ての大陸で生息していた鳥盤類の一群です。
その名の通り、全身を覆う鎧のような皮骨を持っていたことが最大の特徴でした。
装盾類は主に、剣竜類(ステゴサウルスなど)と、

剣竜類(ステゴサウルスなど)
体が装甲に覆われた曲竜類(アンキロサウルスなど)で構成される、

曲竜類(アンキロサウルスなど)
防御のスペシャリスト集団です。
装盾類の特徴:防御と生存戦略
装盾類は、その重厚な装甲と独自の身体構造で、恐竜時代を生き抜きました。
全身の鎧(皮骨)
全ての装盾類は全身を覆う鎧のような皮骨を持っていました。
初期の種は単純な鱗状の皮骨でしたが、より進化した種は、尾の棍棒や防弾チョッキのような精巧な装甲を発達させました。
一部の種では喉の下まで皮骨でびっしり覆われていました。
食性・歩行
全て草食性で、体の大きさの割に頭は比較的小さく、堅牢に作られていました。
初期の種は二足歩行でしたが、肉食恐竜が大型化するにつれて、装盾類も大型化し、体重を支えるため四足歩行へと変化していきました。
成長速度と生息環境
他のほとんどの恐竜と比べ、成長速度は比較的遅かったとされています。
生息環境は砂漠から湿潤な森林まで、あらゆる環境に適応していました。
謎の解明:発見と研究の歴史
装盾類の歴史は古く、恐竜という言葉が生まれる前から研究されてきました。
ヨーロッパでの初期発見
装盾類の最古の化石は、1832年にイギリスで発見されたヒラエオサウルスです。
ヒラエオサウルスは、イグアノドンやメガロサウルスとともに、1842年にリチャード・オーウェンが「恐竜(Dinosauria)」という言葉を作った動物の一つでした。
しかし、ヒラエオサウルスの発見は非常に不完全なものでした。
1874年頃には、明らかにスパイクを備えた大型の草食動物の広範な化石がイギリスで発見され、ここから剣竜類の本格的な研究が始まりました。
剣竜類と曲竜類の全貌
より完全な化石の発見は、20世紀に入って加速しました。
曲竜類(アンキロサウルス類)は、第二次世界大戦後に、アジアや北アメリカで完全な化石が発見されるようになり、その外見がより正確に識別できるようになりました。
1980年代には、オーストラリア大陸初の曲竜類であるミンミと、南極大陸初の曲竜類であるアンタークトペルタが発見されました。
1990年代以降は、中国や北アフリカなど世界各地で、進化史にとって重要な基盤的な装盾類の化石(スケリドサウルス、スクテロサウルスなど)が発見され、その多様な分類の全体像が明らかになっていきました。