恐竜分類の全貌:竜盤類 vs 鳥盤類、その多様な進化と定義

恐竜は、腰の骨である骨盤の形状という決定的な特徴から、大きく竜盤類と鳥盤類の2つのグループに分けられます。
この分類は、恐竜たちの多様な生態や進化の道筋を理解する上で非常に重要です。
恐竜の学名に含まれる「サウルス」は「トカゲ」を意味しますが、学術的には直立歩行という特異な進化を遂げた爬虫類の特定のグループを指します。
第1章:恐竜分類の二大柱「竜盤類」
竜盤類は、トカゲの骨盤に似て、恥骨が前方斜め下に突き出している点が共通の特徴です。
このグループには、肉食のプロフェッショナルと史上最大の巨体が属します。
1. 獣脚類:肉食のプロフェッショナルと鳥類の祖先

代表的な獣脚類の恐竜『ティラノサウルス』
特徴
ティラノサウルス、スピノサウルス、ヴェロキラプトルといった、人気の肉食恐竜が属し、すべての種が基本的に二足歩行を行います。
進化の秘密
獣脚類は、後の時代に鳥類へと進化しました。
その系統では、恥骨が後方斜め下に傾き、鳥の骨盤に似た形状へと変化していきました。
始祖鳥(アーケオプテリクス)もこのグループに含まれます。
食性の多様性
ほとんどは肉食性ですが、近年になってジアンチャンゴサウルスのような植物食恐竜もいることが分かり、食性の多様性が示されています。
知能
ヴェロキラプトルなど一部の種は、高度な知能を持ち、群れで狩りをするなど、社会的な行動を示すことが知られています。
代表的な獣脚類の恐竜
2. 竜脚形類:史上最大の巨体を持つグループ

代表的な竜脚形類の恐竜『ブラキオサウルス』
特徴
ブラキオサウルス、アルゼンチノサウルスなどに代表される、巨大な体躯で四足歩行を行う草食恐竜が含まれます。
史上最大の陸上生物(体長30m超)を含むグループです。
骨格の秘密
巨大化していく過程で、骨に空洞がある含気骨(がんきこつ)を持っていたため、脚への負担が少なかったと考えられています。
長い尾は、体のバランスを保つと同時に、防御のための武器としても機能していました。
進化の過程
祖先であるエオラプトルなどの初期の種は二足歩行でしたが、巨大化に伴い、後に四足歩行が主流となりました。
代表的な竜脚形類の恐竜
第2章:恐竜分類のもう一つの柱「鳥盤類」
鳥盤類は、鳥の骨盤に似て、恥骨が坐骨と平行に後方斜め下へと伸びている点が大きな特徴です。
このグループに属する恐竜は、いずれも草食性で、非常に多様な姿をしています。
1. 鳥脚類:アヒルのクチバシを持つグループ

代表的な鳥脚類の恐竜『イグアノドン』
特徴
イグアノドンや、ハドロサウルス科(カモノハシ恐竜:パラサウロロフス、エドモントサウルスなど)が代表的です。
カモのように長く平たい口(クチバシ)が特徴で、デンタルバッテリーと呼ばれるほおの歯で植物をすりつぶして食べていました。
代表的な鳥脚類の恐竜
2. 周飾頭類:頭部の装飾が特徴のグループ

代表的な周飾頭類の恐竜『トリケラトプス』
角竜類
トリケラトプスに代表され、大きな角とフリル(首の襟飾り)が特徴です。
フリルは敵からの攻撃から首を守る役割も果たしたと考えられています。
堅頭竜類
パキケファロサウルスなど、ドーム状の分厚い頭骨を持つグループです。
代表的な周飾頭類の恐竜
3. 装盾類:鎧とトゲを持つ防御のスペシャリスト

代表的な装盾類の恐竜『ステゴサウルス』
鎧竜類
アンキロサウルスに代表され、尾の先に棍棒を持つなど、防御に特化しています。
剣竜類
ステゴサウルスに代表され、背中に板状の骨(プレート)を持つのが特徴です。
これらの装甲やプレートは、防御や対抗行動に使われたと考えられています。
代表的な装盾類の恐竜
第3章:恐竜の定義と学名・分類の基準
恐竜という言葉は巨大な古代の爬虫類全般を指すと思われがちですが、学術的には非常に厳密です。
1. 学術的な定義と直立歩行
学術的には、恐竜は「鳥とトリケラトプスの直近の共通祖先と、すべての子孫」という定義です。
もっと簡単にまとめると、恐竜とは「直立歩行をする爬虫類」と考えることができます。
例えば、ワニは関節を曲げて歩行しますが、恐竜は関節を曲げず、脚をまっすぐに伸ばすことで、他の爬虫類と分かれる決定的な特徴を持っています。
2. 恐竜と間違えられやすい生物たち
直立歩行の定義に当てはまらない生物は、「恐竜ではない爬虫類」として区別されます。
プテラノドンなどの翼竜は恐竜の姉妹群であり、モササウルスやプレシオサウルスなどの海生爬虫類も恐竜には含まれません。
3. 恐竜の名前の秘密と変動
恐竜の名前の一部に付いている「サウルス」は「トカゲ(爬虫類)」を意味するギリシャ語です。
また、恐竜の研究は常に進んでおり、以前の常識が覆されることがあります。
例えば、別の種類だと思われていた化石が同じだと判明すると、初めに付けられた名前に統一され、名前が取り消されることがあります。
また、恐竜の体長は化石を元にした推測値のため、研究を重ねるごとに数値が変わることがあります。
第4章:恐竜の生き残り「鳥類」という真実
現代の鳥類は、小型の獣脚類から進化した恐竜の直接の子孫です。
現在の分類学では「鳥は恐竜(獣脚類)そのものである」とされており、学術的な定義にも含まれます。
現生の鳥類は約1万種にのぼり、私たち哺乳類(約5千種弱)以上に多種多様で世界中に広く分布しています。
この鳥類の繁栄を見る限り、恐竜類の歴史はいまだに続いていると言えるでしょう。