キアンゾウサウルス Qianzhousaurus 名前の由来 贛州(地名:がんしゅう)のトカゲ科名 ティラノサウルス科分類 双弓亜綱、竜盤類、獣脚類生息地(発見地) 中国時代 約6600万年前(白亜紀後期)全長 約7.5〜9m体重 約1トン食性 肉食解説約6600万年前の白亜紀後期、中国南部に生息していた獣脚類の恐竜「キアンゾウサウルス」。ティラノサウルス科に属しながらも、極端に細長い鼻先を持ち、童話のキャラクターにちなんだ「ピノキオ・レックス」という愛称で親しまれています。最大の特徴!「ピノキオ」のような細長い鼻先この恐竜を最も特徴づけているのが、極端に細長い吻部(鼻先から口先にかけての部分)です。 そのユニークな形状から、嘘をついて鼻が伸びてしまった童話の主人公を連想させ、「ピノキオ・レックス」と呼ばれています。長さ90cmにも達する口吻頭骨の口吻部分は、高さ25cm、幅20cmに対して、長さが90cmにも達します。 さらに、その上面には小さく短い角が並んでいました。長く薄い「浅い歯」ティラノサウルス類の歯といえば、骨を力強く噛み砕くために太く強靭で顎の奥深くに収まっているのが通常です。 しかしキアンゾウサウルスの場合は、「長く薄い歯が浅く収まっている」という対照的な特徴を持っていました。華奢な体格とニッチを突いた「特殊な食性」キアンゾウサウルスの体型は、ティラノサウルスやタルボサウルスといった同系統の大型種と比べると非常に華奢で小柄であり、一見すると大型種の幼体(子ども)のようなスマートな姿をしていました。記載当初は全長約6.3m、体重約757kgと推定されていましたが、2019年の研究では最大で全長7.5〜9m、体重1トンに達した可能性も指摘されています。大型種との競争を避ける食性細長い口吻と薄い歯という特徴から、大型の獲物を力任せに倒すことには向いていませんでした。 そのため、以下のような獲物を狙う特殊な食性を持っていたと考えられています。スピノサウルスのように魚食性に長けていた同じ地層から発見されている「コリトラプトル」などの小型恐竜(オヴィラプトロサウルス類)や小動物を狙っていた同時期のアジアにはタルボサウルスやズケンティラヌスといった強力な大型ティラノサウルス類が生息していましたが、キアンゾウサウルスは狙う獲物を変えることで、彼らとの直接的な生存競争を避けていたと推測されます。進化の謎を解き明かす「成体」の化石分類上、キアンゾウサウルスは近縁の「アリオラムス」とともに「アリオラムス族」というグループを構成しています。 実は彼らの発見は、長年の進化の謎を解き明かす重要なものでした。「細長い鼻は子供だけ」という説を覆すキアンゾウサウルスが発見されるまで、同じように細長い口吻を持つティラノサウルス類はアリオラムスしか見つかっていませんでした。 しかもアリオラムスの化石は亜成体(大人になりかけ)ばかりだったため、「細長い鼻先は幼体特有の特徴にすぎない」という説がありました。 しかし、発見されたキアンゾウサウルスの骨格は明らかに「成体(大人)」であり、大人になっても細長い口吻を維持していたことが見事に証明されたのです。顔つきが変わらない?2022年の頭蓋解剖学の研究においても、彼らは他のティラノサウルス科に見られるような、成長に伴って顔つきがゴツく変化する「二次変態」を経験しなかった可能性が指摘されています。巨大化・重武装化していったティラノサウルス科の中で、あえてスマートな体型と特殊な食性を維持し続けたキアンゾウサウルス。 彼らは、恐竜の多様な進化の形を現代に物語る、非常に重要な存在と言えます。このページをシェアする PREV ギガノトサウルス カンクウルウ NEXT この恐竜を見た人はこんな恐竜も見ています トゥオジアンゴサウルス Tuojiangosaurus 分類装盾類 特徴草食恐竜 時代ジュラ紀 ハドロサウルス Hadrosaurus 分類鳥脚類 特徴草食恐竜 時代白亜紀 ミクロラプトル Microraptor 分類獣脚類 特徴肉食恐竜羽毛恐竜 時代白亜紀 カスモサウルス Chasmosaurus 分類周飾頭類 特徴草食恐竜 時代白亜紀
解説
約6600万年前の白亜紀後期、中国南部に生息していた獣脚類の恐竜「キアンゾウサウルス」。
ティラノサウルス科に属しながらも、極端に細長い鼻先を持ち、童話のキャラクターにちなんだ「ピノキオ・レックス」という愛称で親しまれています。
最大の特徴!「ピノキオ」のような細長い鼻先
この恐竜を最も特徴づけているのが、極端に細長い吻部(鼻先から口先にかけての部分)です。
そのユニークな形状から、嘘をついて鼻が伸びてしまった童話の主人公を連想させ、「ピノキオ・レックス」と呼ばれています。
長さ90cmにも達する口吻
頭骨の口吻部分は、高さ25cm、幅20cmに対して、長さが90cmにも達します。
さらに、その上面には小さく短い角が並んでいました。
長く薄い「浅い歯」
ティラノサウルス類の歯といえば、骨を力強く噛み砕くために太く強靭で顎の奥深くに収まっているのが通常です。
しかしキアンゾウサウルスの場合は、「長く薄い歯が浅く収まっている」という対照的な特徴を持っていました。
華奢な体格とニッチを突いた「特殊な食性」
キアンゾウサウルスの体型は、ティラノサウルスやタルボサウルスといった同系統の大型種と比べると非常に華奢で小柄であり、一見すると大型種の幼体(子ども)のようなスマートな姿をしていました。
記載当初は全長約6.3m、体重約757kgと推定されていましたが、2019年の研究では最大で全長7.5〜9m、体重1トンに達した可能性も指摘されています。
大型種との競争を避ける食性
細長い口吻と薄い歯という特徴から、大型の獲物を力任せに倒すことには向いていませんでした。
そのため、以下のような獲物を狙う特殊な食性を持っていたと考えられています。
同時期のアジアにはタルボサウルスやズケンティラヌスといった強力な大型ティラノサウルス類が生息していましたが、キアンゾウサウルスは狙う獲物を変えることで、彼らとの直接的な生存競争を避けていたと推測されます。
進化の謎を解き明かす「成体」の化石
分類上、キアンゾウサウルスは近縁の「アリオラムス」とともに「アリオラムス族」というグループを構成しています。
実は彼らの発見は、長年の進化の謎を解き明かす重要なものでした。
「細長い鼻は子供だけ」という説を覆す
キアンゾウサウルスが発見されるまで、同じように細長い口吻を持つティラノサウルス類はアリオラムスしか見つかっていませんでした。
しかもアリオラムスの化石は亜成体(大人になりかけ)ばかりだったため、「細長い鼻先は幼体特有の特徴にすぎない」という説がありました。
しかし、発見されたキアンゾウサウルスの骨格は明らかに「成体(大人)」であり、大人になっても細長い口吻を維持していたことが見事に証明されたのです。
顔つきが変わらない?
2022年の頭蓋解剖学の研究においても、彼らは他のティラノサウルス科に見られるような、成長に伴って顔つきがゴツく変化する「二次変態」を経験しなかった可能性が指摘されています。
巨大化・重武装化していったティラノサウルス科の中で、あえてスマートな体型と特殊な食性を維持し続けたキアンゾウサウルス。
彼らは、恐竜の多様な進化の形を現代に物語る、非常に重要な存在と言えます。