テスケロサウルス Thescelosaurus

名前の由来

驚異のトカゲ

科名

パルクソサウルス科

分類

双弓亜綱、鳥盤類

生息地(発見地)

アメリカ、カナダ

時代

約7500万〜6500万年前(白亜紀後期)

全長

約3〜4m

体重

約300kg

食性

植物食

解説

中生代白亜紀後期の北アメリカに生息していた小型の植物食恐竜「テスケロサウルス」。

約7500万年前から6500万年前(マーストリヒチアン期)の時代に生き、ティラノサウルストリケラトプスらと同時代を過ごしたのち、白亜紀第三紀の大量絶滅で姿を消した恐竜です。

バックヤードで眠っていた「驚異のトカゲ」

テスケロサウルスという属名は、「驚異のトカゲ」という少し変わった意味を持っています。

これには、彼らの不遇な研究史が背景にあります。
最初の化石が収集されてからおよそ100年近くもの間、博物館のバックヤードで眠ったままになっており、数十年間は固有の新種であると認識されていませんでした。
後に化石を”再発見”した学者たちが驚嘆したことに因んで、この名前が付けられたのです。

重量感のある体と「土を掘る」ための手足

ヒプシロフォドンの仲間(全長1〜2m)と比較すると倍近くあり、その中では最も大型の部類に入ります。

重量感のある体形

体の幅が広く、重量感のある体形をしていました。
基本的には2本の足で移動し、長い尻尾でバランスをとって走る直立ランナーです。

力強く太い手足

前肢・後肢ともに短めですが、太くたくましい力強い造りをしていました。
早く走ることよりも、力強くゆっくり動くことに適した構造だったようです。

土を掘る習性があった?

地表で生活し低地の植物を主食としていましたが、近縁種「オリクトドロメウス」の研究をきっかけに、太い前肢は「土を掘るための適応」ではないかという説が提唱されています。
採餌のために植物の根を掘り出したり、身を隠す巣穴を掘ったりするのに役立てていたと考えられます。

頭部と装甲

頭骨は小さくて長く、上クチバシが下にカーブしていました。
また、背中には骨質のビョウが並んでおり、外敵から身を守っていたと考えられています。

学会を揺るがした標本「ウィロ」の「心臓」

テスケロサウルスを世間一般に最も有名にしたのは、1993年に発掘された「ウィロ(Willo)」という愛称で呼ばれる標本です。
この化石からは、本来であれば絶対に残らないはずの内臓、すなわち「化石化した心臓」と思しき部位が発見され、大きな注目を浴びました。

一部の専門家は、この心臓に大動脈が残されており、哺乳類や鳥類と同じ「2心房2心室(4室)」に分かれていると指摘。
これにより以下の仮説を裏付ける大発見として期待されました。

  • ワニ目の爬虫類と鳥類の進化を繋ぐリンクである。
  • 恐竜は変温動物ではなく、鳥や哺乳動物に近い「恒温動物」であり、活発な生物であった。

「心臓の化石」をめぐる論争の結末

しかし、この発見には異論を唱える専門家も多く、長年多くの議論が交わされました。

実際にCTスキャンなどの最新技術を通して詳しく調べた結果、内臓に存在するはずの組織が一切見受けられなかったなどのデータが報告されています。
現在では、心臓と呼ばれたものは本物の内臓ではなく、「ノジュール(カルシウムや鉄分などが石のように固まったもの)が、胃石と混ざって固まっただけのもの」ではないかという見方が有力になっています。

まとめ

「無視されたトカゲ」としての長い空白期間を持ちながらも、後に「心臓の化石」というセンセーショナルな話題で一躍有名になったテスケロサウルス。

心臓の真偽については否定的な見解が強まっていますが、太く力強い足で大地を踏みしめ、巣穴を掘っていたかもしれない彼らの独自の生態は、白亜紀後期の恐竜たちの多様性を今に伝える貴重なピースとなっています。

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