カムイサウルス Kamuysaurus

名前の由来

神トカゲ

科名

ハドロサウルス科

分類

双弓亜綱、鳥盤類、鳥脚類

生息地(発見地)

日本

時代

約7200万年前(白亜紀後期)

全長

約8m

体重

約4〜5.3トン

食性

植物食

解説

1億8600万年間も続いた恐竜時代、大部分が深い海の底であった日本列島において「陸上の恐竜化石の発見は非常に難しい」というのが長年の常識でした。

しかし、その常識を完全に覆す大発見が北海道むかわ町(旧穂別町地区)で起こります。
後期白亜紀の海の地層から発見された「カムイサウルス・ジャポニクス(通称:むかわ竜)」です。

収蔵庫の眠りから世界的発見へ!奇跡のストーリー

カムイサウルスが世に出るまでの道のりは、まさにドラマの連続でした。

2003年〜2004年:7年間の眠り

化石愛好家が奇妙な化石を発見し、穂別博物館へ寄贈。
ワニや「首長竜の化石」と判断され、展示されることなく館内の収蔵庫で7年間眠り続けることになります。

2011年:専門家の慧眼と予言

首長竜の専門家である佐藤たまき准教授がクリーニング中に「首長竜の骨ではない」と気づきます。
連絡を受けた北海道大学の小林快次准教授(現教授)が「恐竜のしっぽ」であると断言。
「津波などで海に流され、食べ尽くされる前に海底の泥に埋もれた可能性が高い。このまま掘り進めば全身が出るはずだ」と予言しました。

2013年〜2014年:全身骨格の発掘

この歴史的可能性に賭けたむかわ町は、総額6000万円の発掘費を用意。
小林氏をリーダーとする発掘調査の結果、見事に予言が的中し、総体積の約80%にも及ぶ全身骨格(日本史上最高の完成度)が発掘されました。

化石が語る「カモノハシ竜」の素顔と生態

発見された全身骨格から、カムイサウルスの詳細な姿が明らかになっています。

スマートな体格と歩行スタイル

全長約8mとハドロサウルス科では平均的ですが、全体的に体が細い特徴を持ちます。
がっしりとした首や胴体を持ち、長いしっぽでバランスをとりながら基本的には四足歩行で移動していました(二足歩行も可能)。

植物食に適した平たい口

カモノハシ竜の特徴である「平たいクチバシのような口」を持ち、水辺の植物を効率よくかき集めて食べていました。

独自の骨格構造

成体(大人)でありながら頭骨が比較的高く、頭の頂上には平たい「トサカ」が存在した可能性があります。
また、第6・第12胴椎の神経棘が「前傾」するという独自の特徴や、細い前肢を持っていました。

骨の年輪で判明した「むかわ竜」の一生

驚くべきことに、骨の内部構造からこの個体の一生が読み解かれています。

脛骨(すねの骨)の断面を調べたところ、樹木の年輪のような「成長停止線」が9本確認されました。
消失した分を加味して計算した結果、死亡時の年齢は12〜13歳と推定されています。
また、3〜4歳で急成長を遂げ、7〜8歳で成長が低下して大人になったことも判明しました。

「日本の竜の神」命名の由来と地元の想い

2019年9月、北海道の先住民アイヌの言葉で神を意味する「カムイ」を取り入れ、「カムイサウルス・ジャポニクス(日本の竜の神)」と正式に命名されました。

一方で「むかわ竜」という通称を巡っては、発掘地である旧穂別町出身者の会から「旧町名にちなんで改名すべきだ」と3029人分の署名が提出されるなど、複雑な議論もありました。
最終的にむかわ町長が「むかわ竜」の継続を決定。
町は商標登録を完了させ、使用料を徴収する条例を試行するなど、この大発見が地元にとって巨大な財産であることを物語っています。

日本の恐竜研究の歴史を変えた意味

カムイサウルスの全身骨格発見は、「日本で恐竜の全身化石を見つけるのは難しい」という定説を完全に覆しました。

陸上に住んでいた恐竜が海の地層から見つかったことは、「死骸が海に流されて化石化する可能性」を明確に証明するものです。
波にさらわれ海底に沈んだ一頭の命は、7000万年以上の時を超え、今後の日本における世紀の大発見の可能性を力強く語りかけています。

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