テノントサウルス Tenontosaurus 名前の由来 腱のトカゲ分類 双弓亜綱、鳥盤類、鳥脚類生息地(発見地) アメリカ時代 約1億2200万~1億1000万年前(白亜紀前期)全長 約6.5m体重 約1〜2トン食性 植物食解説白亜紀前期(約1億1000万年前)の北アメリカ大陸。 ティラノサウルスが登場する前のこの時代、最も繁栄し、生態系の底辺を支えていた草食恐竜がいました。その名は「テノントサウルス」。一見すると地味な中型恐竜ですが、彼らは古生物学において極めて重要な存在です。 なぜなら、あの有名な肉食恐竜デイノニクスとの「食うか食われるか」のドラマチックな関係性を示す証拠が数多く発見されているからです。「腱のトカゲ」という名の由来と巨大な尾強靭な腱の束テノントサウルスという学名は、ギリシャ語で「腱(けん)のトカゲ」を意味します。 背骨、特に腰から尾にかけて、骨と筋肉を繋ぐ「腱」の束が網状に発達し、化石として残るほど骨化していたことに由来します。全長の6割を占める尾全長は6.5mほどですが、その6割強を占めているのが「巨大な尾」です。全長の6割を占める尾この尾は単に長いだけでなく、上下に幅広く、腱によってガッチリと補強されていました。 この強靭な尾は、単なるバランサー以上の重要な役割(後述)を持っていたと考えられています。イグアノドンに似て非なる四足歩行者独特なプロポーションかつてはイグアノドンに似ているとされましたが、以下の違いがあります。前肢イグアノドンのようなスパイク状の親指はなく、指は5本あり、前肢自体が長い。首イグアノドンに比べて短い。生活スタイル基本的には長い前肢を地面につけた「四足歩行」で生活していました。 地面近くの草や低い木の葉を主食とし、口先のクチバシで摘み取り、奥歯ですり潰して食べていました。口先のクチバシで摘み取り、奥歯ですり潰して食べていた。彷徨える分類当初は小型のヒプシロフォドン類とされましたが、後にイグアノドン類に近いことが判明。 現在は独自の「テノントサウルス科」や「ラブドドン形類」に分類されることが多く、鳥脚類の進化を知る上で重要な存在です。デイノニクスとの「死闘」と尾の武器白亜紀前期の北米で「最も個体数の多い草食恐竜」だったテノントサウルスは、肉食恐竜にとって格好の獲物でした。デイノニクスとの関係特に有名なのが、小型肉食恐竜「デイノニクス」との関係です。 1頭のテノントサウルスの化石のそばで、複数のデイノニクスの骨が見つかる事例が報告されています。 これは、彼らが日常的に襲撃されていた証拠であり、長らくデイノニクスが「群れで狩り(パックハンティング)をしていた」根拠とされてきました。 ※現在は「死骸に群がった(スカベンジ)」説もありますが、捕食関係にあったことは間違いありません。デイノニクスに日常的に襲撃されていた必殺の「尾の一撃」襲われた際、テノントサウルスはただ逃げるだけではありませんでした。 全長の6割を占める強靭な尾は、強力な筋肉で振るうことで恐るべき「鞭」のような武器となりました。強靭な尾は「鞭」のような武器となった化石と共に発見されたデイノニクスの死骸は、この尾による必殺の一撃を受けて返り討ちにあった不運なハンターだったのかもしれません。生存のための戦略:早熟な成長彼らがこれほど繁栄できた理由の一つに、「成長の早さ」があります。 わずか8歳ほどで性成熟に達していたことが判明しており、多くの捕食者に食べられながらも、それ以上に早く大人になり次世代を残すことで種を存続させていました。「たくさん食べられても、それ以上に増える」。 それが彼らの強さの秘密であり、白亜紀の生態系を支える底力だったのです。 PREV ドリオサウルス タレンカウエン NEXT この恐竜を見た人はこんな恐竜も見ています プロトケラトプス Protoceratops 分類周飾頭類 特徴草食恐竜 時代白亜紀 ミンミ Minmi 分類装盾類 特徴草食恐竜 時代白亜紀 リャオニンゴサウルス Liaoningosaurus 分類装盾類 特徴肉食恐竜 時代白亜紀 ヒラエオサウルス Hylaeosaurus 分類装盾類 特徴草食恐竜 時代白亜紀 スポンサーリンク スポンサーリンク
解説
白亜紀前期(約1億1000万年前)の北アメリカ大陸。
ティラノサウルスが登場する前のこの時代、最も繁栄し、生態系の底辺を支えていた草食恐竜がいました。
その名は「テノントサウルス」。
一見すると地味な中型恐竜ですが、彼らは古生物学において極めて重要な存在です。
なぜなら、あの有名な肉食恐竜デイノニクスとの「食うか食われるか」のドラマチックな関係性を示す証拠が数多く発見されているからです。
「腱のトカゲ」という名の由来と巨大な尾
強靭な腱の束
テノントサウルスという学名は、ギリシャ語で「腱(けん)のトカゲ」を意味します。
背骨、特に腰から尾にかけて、骨と筋肉を繋ぐ「腱」の束が網状に発達し、化石として残るほど骨化していたことに由来します。
全長の6割を占める尾
全長は6.5mほどですが、その6割強を占めているのが「巨大な尾」です。
全長の6割を占める尾
この尾は単に長いだけでなく、上下に幅広く、腱によってガッチリと補強されていました。
この強靭な尾は、単なるバランサー以上の重要な役割(後述)を持っていたと考えられています。
イグアノドンに似て非なる四足歩行者
独特なプロポーション
かつてはイグアノドンに似ているとされましたが、以下の違いがあります。
前肢
イグアノドンのようなスパイク状の親指はなく、指は5本あり、前肢自体が長い。
首
イグアノドンに比べて短い。
生活スタイル
基本的には長い前肢を地面につけた「四足歩行」で生活していました。
地面近くの草や低い木の葉を主食とし、口先のクチバシで摘み取り、奥歯ですり潰して食べていました。
口先のクチバシで摘み取り、奥歯ですり潰して食べていた。
彷徨える分類
当初は小型のヒプシロフォドン類とされましたが、後にイグアノドン類に近いことが判明。
現在は独自の「テノントサウルス科」や「ラブドドン形類」に分類されることが多く、鳥脚類の進化を知る上で重要な存在です。
デイノニクスとの「死闘」と尾の武器
白亜紀前期の北米で「最も個体数の多い草食恐竜」だったテノントサウルスは、肉食恐竜にとって格好の獲物でした。
デイノニクスとの関係
特に有名なのが、小型肉食恐竜「デイノニクス」との関係です。
1頭のテノントサウルスの化石のそばで、複数のデイノニクスの骨が見つかる事例が報告されています。
これは、彼らが日常的に襲撃されていた証拠であり、長らくデイノニクスが「群れで狩り(パックハンティング)をしていた」根拠とされてきました。
※現在は「死骸に群がった(スカベンジ)」説もありますが、捕食関係にあったことは間違いありません。
デイノニクスに日常的に襲撃されていた
必殺の「尾の一撃」
襲われた際、テノントサウルスはただ逃げるだけではありませんでした。
全長の6割を占める強靭な尾は、強力な筋肉で振るうことで恐るべき「鞭」のような武器となりました。
強靭な尾は「鞭」のような武器となった
化石と共に発見されたデイノニクスの死骸は、この尾による必殺の一撃を受けて返り討ちにあった不運なハンターだったのかもしれません。
生存のための戦略:早熟な成長
彼らがこれほど繁栄できた理由の一つに、「成長の早さ」があります。
わずか8歳ほどで性成熟に達していたことが判明しており、多くの捕食者に食べられながらも、それ以上に早く大人になり次世代を残すことで種を存続させていました。
「たくさん食べられても、それ以上に増える」。
それが彼らの強さの秘密であり、白亜紀の生態系を支える底力だったのです。