ニクトサウルス Nyctosaurus 名前の由来 夜のトカゲ科名 ニクトサウルス科分類 爬虫綱、双弓亜綱、翼竜目生息地(発見地) アメリカ時代 約8200万年前(白亜紀後期)全長 約2.4〜3m(翼幅)体重 約1.86kg食性 魚食解説中生代白亜紀後期の空の支配者といえば、巨大な翼竜「プテラノドン」が有名です。プテラノドンしかし、およそ8200万年前の北アメリカ(現在のカンザス州付近)の空には、プテラノドンによく似た、しかしはるかに奇妙な進化を遂げた翼竜が飛び回っていました。 それが「ニクトサウルス」です。「夜のトカゲ」という意味の名前を持つこの翼竜は、極限まで削ぎ落とされた指や、頭の3倍にも達する摩訶不思議なトサカなど、唯一無二の特徴を持っています。ニクトサウルスとは?プテラノドンとの関係とサイズニクトサウルスは、翼指竜亜目(プテラノドン亜目)ニクトサウルス科に属する翼竜です。 (名前に「夜」と付きますが、実際に夜行性だったかは不明です)同時期・同地域に生息していたプテラノドンとは、共通の祖先から枝分かれしたか、あるいはプテラノドンより後の時代を生きた進化した姿であると推測されています。 華奢な体つきや、歯を持たない鋭いクチバシなど両者には多くの共通点がありますが、決定的に異なるのが「サイズ」です。プテラノドン翼開長(翼を広げた長さ)最大約9mニクトサウルス翼開長 約2.4〜3mプテラノドンに比べると、ニクトサウルスはかなり小型の翼竜でした。独自の進化①:完全に失われた「3本の指」ニクトサウルスを他の翼竜から決定的に区別する特徴の一つ目が、「前肢の指」の構造です。通常の翼竜の翼は長く伸びた「薬指」によって支えられており、翼の中程には木などに掴まるための短い3本の指が残っています。 ところが驚くべきことに、ニクトサウルスは進化の過程で薬指以外の3本の指を完全に失っていました。 数多く存在する翼竜の中でも、前肢の指を翼を支える薬指1本にまで極限まで削ぎ落としたのは、このニクトサウルスだけが持つ唯一無二の特徴です。独自の進化②:頭部の3倍!摩訶不思議な「L字型トサカ」そして最大のキテレツな特徴が、頭部にそびえ立つ「巨大で奇妙なトサカ」です。長い間、ニクトサウルスにはトサカが無い、あるいは非常に短いものだと考えられていました(これらは幼体〜若い個体のものであると後に判明)。 しかし、2003年に発見された化石サンプルにより、成長に伴って頭部の3倍もの長さに及ぶ長大なトサカが発育することが確認され、古生物学界に大きな衝撃を与えました。その形は、頭頂部から真っ直ぐ上へ一本松のように伸びた後、後ろに向かって枝葉を伸ばすように曲がっており、まるで「裏返したチェックマーク」や「L字型」のような形状をしています。巨大トサカの役割とは?3つの有力な仮説この奇妙極まりないトサカを一体何に使っていたのか、明確な答えは未だに出ておらず、学者たちの間でも様々な説が飛び交っています。ディスプレイ(視覚的アピール)説成長に伴って大きくなることから、成体としての証拠として仲間同士を見分けたり、異性の気を惹きつけたりするための視覚的なアピールに使われていたという説です。空力的な機能(尾翼・帆)説南米の翼竜タペジャラ(トゥパンダクティルス)のように、トサカに軟組織の膜(皮膜)が張られており、ヨットの帆のように風の流れを的確に掴む尾翼や帆の役割を果たしていたという推測です。エアブレーキ説海面すれすれを飛んで魚などを捕らえる際に、水中に突っ込んだ下顎にかかる強力な水の抵抗とバランスを取るための「エアブレーキ」として機能していたというユニークな説です。現時点では、トサカに皮膜が張られていたという直接的な化石の証拠はありません。 このL字の骨格がそのまま剥き出しのアンテナのような状態だったのか、巨大な帆の骨組みだったのかは深い謎に包まれています。進化の多様性を体現する翼竜プテラノドンの陰に隠れがちですが、指を失い、頭の3倍もの巨大なトサカを発達させたニクトサウルスは、進化の多様性を体現する非常に魅力的な翼竜です。 彼らがトサカをどのように使い、白亜紀の空を舞っていたのか。 その真実を解き明かすためには、研究者たちによるさらなる化石の発見と活躍が期待されています。 PREV プテラノドン ディモルフォドン NEXT この恐竜を見た人はこんな恐竜も見ています モノニクス Mononykus 分類獣脚類 特徴肉食恐竜羽毛恐竜 時代白亜紀 フクイラプトル Fukuiraptor 分類獣脚類 特徴肉食恐竜 時代白亜紀 プシッタコサウルス Psittacosaurus 分類周飾頭類 特徴草食恐竜 時代白亜紀 アルワルケリア Alwalkeria 分類獣脚類 特徴肉食恐竜草食恐竜雑食恐竜 時代三畳紀 スポンサーリンク スポンサーリンク
解説
中生代白亜紀後期の空の支配者といえば、巨大な翼竜「プテラノドン」が有名です。
プテラノドン
しかし、およそ8200万年前の北アメリカ(現在のカンザス州付近)の空には、プテラノドンによく似た、しかしはるかに奇妙な進化を遂げた翼竜が飛び回っていました。
それが「ニクトサウルス」です。
「夜のトカゲ」という意味の名前を持つこの翼竜は、極限まで削ぎ落とされた指や、頭の3倍にも達する摩訶不思議なトサカなど、唯一無二の特徴を持っています。
ニクトサウルスとは?プテラノドンとの関係とサイズ
ニクトサウルスは、翼指竜亜目(プテラノドン亜目)ニクトサウルス科に属する翼竜です。
(名前に「夜」と付きますが、実際に夜行性だったかは不明です)
同時期・同地域に生息していたプテラノドンとは、共通の祖先から枝分かれしたか、あるいはプテラノドンより後の時代を生きた進化した姿であると推測されています。
華奢な体つきや、歯を持たない鋭いクチバシなど両者には多くの共通点がありますが、決定的に異なるのが「サイズ」です。
プテラノドン
翼開長(翼を広げた長さ)最大約9m
ニクトサウルス
翼開長 約2.4〜3m
プテラノドンに比べると、ニクトサウルスはかなり小型の翼竜でした。
独自の進化①:完全に失われた「3本の指」
ニクトサウルスを他の翼竜から決定的に区別する特徴の一つ目が、「前肢の指」の構造です。
通常の翼竜の翼は長く伸びた「薬指」によって支えられており、翼の中程には木などに掴まるための短い3本の指が残っています。
ところが驚くべきことに、ニクトサウルスは進化の過程で薬指以外の3本の指を完全に失っていました。
数多く存在する翼竜の中でも、前肢の指を翼を支える薬指1本にまで極限まで削ぎ落としたのは、このニクトサウルスだけが持つ唯一無二の特徴です。
独自の進化②:頭部の3倍!摩訶不思議な「L字型トサカ」
そして最大のキテレツな特徴が、頭部にそびえ立つ「巨大で奇妙なトサカ」です。
長い間、ニクトサウルスにはトサカが無い、あるいは非常に短いものだと考えられていました(これらは幼体〜若い個体のものであると後に判明)。
しかし、2003年に発見された化石サンプルにより、成長に伴って頭部の3倍もの長さに及ぶ長大なトサカが発育することが確認され、古生物学界に大きな衝撃を与えました。
その形は、頭頂部から真っ直ぐ上へ一本松のように伸びた後、後ろに向かって枝葉を伸ばすように曲がっており、まるで「裏返したチェックマーク」や「L字型」のような形状をしています。
巨大トサカの役割とは?3つの有力な仮説
この奇妙極まりないトサカを一体何に使っていたのか、明確な答えは未だに出ておらず、学者たちの間でも様々な説が飛び交っています。
ディスプレイ(視覚的アピール)説
成長に伴って大きくなることから、成体としての証拠として仲間同士を見分けたり、異性の気を惹きつけたりするための視覚的なアピールに使われていたという説です。
空力的な機能(尾翼・帆)説
南米の翼竜タペジャラ(トゥパンダクティルス)のように、トサカに軟組織の膜(皮膜)が張られており、ヨットの帆のように風の流れを的確に掴む尾翼や帆の役割を果たしていたという推測です。
エアブレーキ説
海面すれすれを飛んで魚などを捕らえる際に、水中に突っ込んだ下顎にかかる強力な水の抵抗とバランスを取るための「エアブレーキ」として機能していたというユニークな説です。
現時点では、トサカに皮膜が張られていたという直接的な化石の証拠はありません。
このL字の骨格がそのまま剥き出しのアンテナのような状態だったのか、巨大な帆の骨組みだったのかは深い謎に包まれています。
進化の多様性を体現する翼竜
プテラノドンの陰に隠れがちですが、指を失い、頭の3倍もの巨大なトサカを発達させたニクトサウルスは、進化の多様性を体現する非常に魅力的な翼竜です。
彼らがトサカをどのように使い、白亜紀の空を舞っていたのか。
その真実を解き明かすためには、研究者たちによるさらなる化石の発見と活躍が期待されています。