ランフォリンクス Rhamphorhynchus

名前の由来

クチバシのある鼻

科名

ランフォリンクス科

分類

双弓亜綱、翼竜目

生息地(発見地)

イギリス、ドイツ、タンザニア

時代

約1億6400万~1億5400万年前(ジュラ紀後期)

全長

約1.7m(翼幅)

体重

約4kg

食性

魚食

解説

中生代ジュラ紀後期の空には、現代のカモメほどの大きさで、鋭い牙と長い尻尾を持つ奇妙な翼竜が飛び回っていました。
その名は「ランフォリンクス」。

プテラノドンなどに並んで比較的知名度の高い翼竜ですが、一般的な翼竜のイメージとは少し異なるユニークな生態や身体の構造を持っていました。

水面を切り裂く「夜行性」のハンター

ランフォリンクスの頭部は鳥のように細長く、やや上向きに反ったクチバシ状の口を持っていました。

鳥のように細長く、やや上向きに反ったクチバシ状の口を持っていた。

鳥のように細長く、やや上向きに反ったクチバシ状の口を持っていた。

狩りに特化した「はみ出る牙」

クチバシ自体には歯がありませんが、その奥に「前傾した針のような鋭い牙」が約20本、大きな隙間を空けて生えていました。
彼らは空中から水面スレスレを滑空し、表層を泳ぐ魚をこの牙で突き刺して捕食していたと考えられています。

空中から水面スレスレを滑空し、表層を泳ぐ魚を牙で突き刺して捕食していた。

空中から水面スレスレを滑空し、表層を泳ぐ魚を牙で突き刺して捕食していた。

夜空を舞い、水も泳ぐ

大きな目の構造から、彼らは「夜行性」であったことが判明しています。
日中は現生のコウモリのように木の枝などにぶら下がって休み、夜になると獲物を求めて飛び立っていました。
また、身体の構造が遊泳に最適であったという研究結果もあり、空だけでなく泳ぎも達者であった可能性があります。

舵取りを担う「長すぎる尻尾」

ディモルフォドンなどの初期の翼竜にあったような頭部の「トサカ」を持たない代わりに、ランフォリンクスには胴体の2倍にもなる非常に長い尾がありました。

空中のバランスを保つ「方向舵」

この長い尾は腱(けん)で補強されており、先端には「菱形のヒレ(帆のような軟組織)」がついていました。
このヒレは、夜空を飛び回り水面スレスレを急旋回する際に、空中のバランスをとる「方向舵」として極めて重要な役割を果たしていました。

軟組織まで残る「奇跡の化石」が語る真実

ランフォリンクスの化石はイギリス、ドイツ南部、タンザニアなど世界各地で発見されています。
中でも有名なのが、始祖鳥(アーケオプテリクス)の産出地としても知られるドイツの「ゾルンホーフェン石灰岩採掘場」です。

翼の皮膜構造が判明

ゾルンホーフェンの化石は保存状態が極めて良く、骨だけでなく翼の皮膜や尾のヒレといった「軟組織」の痕跡まで残されていました。
顕微鏡調査により、翼の皮膜は「腕の骨に対して垂直に走る微細な繊維質」で頑丈に補強されていたことが分かっています。

大きさの違いは「成長段階」

かつて、様々な大きさの化石が見つかったことから複数の種が存在すると考えられていましたが、現在ではすべて「同じ種であり、成長段階による大きさの違い」であると結論づけられています。

食べられる瞬間の生々しい化石

「アスピドリンクス」という古代魚に噛み付かれている(捕食される瞬間の)化石も発見されています。
彼らが空のハンターであると同時に、水中の捕食者から狙われる危険な立場にあったことを物語っています。

ジュラ紀後期の夜空を彩る支配者

ランフォリンクスが発見された地層からは、始祖鳥コンプソグナトゥスといった1〜2m程度の小型恐竜ばかりが見つかっており、当時のこの地域には大型種が少なかった可能性が示唆されています。

カモメほどの小さな身体に、魚を突き刺す鋭い牙と、方向舵となる長い尻尾を持っていたランフォリンクス。
彼らは間違いなく、ジュラ紀後期の生態系において奇妙で魅力的な存在感を放っていたことでしょう。

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