ジョバリア Jobaria

名前の由来

トゥアレグ族の民話に登場する幻獣「ジョバル」にちなんで命名された

分類

双弓亜綱、竜盤類、竜脚形類

生息地(発見地)

ニジェール

時代

約1億6400万〜1億6100万年前(ジュラ紀中期)

全長

約21m

体重

約22トン

食性

植物食

解説

かつて緑豊かな森林が広がり、大きな河が流れていたとされるアフリカ大陸。
現在のニジェールに広がる広大なテネレ砂漠(サハラ砂漠の一部)から、ほぼ完全な姿で現代に蘇った巨大な恐竜がいます。
それが、原始的な竜脚形類である「ジョバリア」です。

全長約21mという堂々たる体躯を持ちながら、進化の歴史において古生物学者たちを大いに悩ませる数奇な運命を辿りました。

サハラ砂漠から現れた幻獣と「95%の奇跡」

ジョバリアの化石は1997年の秋、シカゴ大学のポール・セレノ博士率いる調査隊によってニジェールの「ティユラレン累層」から発見されました。

奇跡的な保存状態

約4ヶ月に及ぶ過酷な発掘作業の末、大きさの異なる8体分もの化石が採掘されました。
巨大な草食恐竜である竜脚形類は全身骨格が揃って見つかるのが非常に珍しい中、ジョバリアはなんと全身の約95%の骨格が揃った状態で発掘されました。
これは恐竜研究において「奇跡」とも呼べる大発見です。

名前の由来

周辺に住むトゥアレグ族の民話に登場する幻獣「ジョバル」と、発見地近郊のティグイディの崖にちなみ、1999年に「ジョバリア・ティグイデンシス」と命名されました。

「時代錯誤な恐竜」が引き起こした分類の論争

ほぼ完全な骨格が見つかったものの、その身体構造があまりにも「原始的」であったため、学者たちを深く悩ませることになります。

古い時代特有の原始的な特徴

スプーンに似た形の歯を持ち、首の骨(頸椎)の数が12個と他の竜脚形類に比べて少なく、首も尾も短いのが特徴です。
さらに尾の柔軟性にも乏しく、これらは非常に古い時代の竜脚形類に見られる特徴でした。

地層の年代測定の誤解

化石が発見された地層は、当初「白亜紀前期(比較的新しい時代)」のものと考えられていました。
新しい時代に原始的な特徴を持つ恐竜がいるのは不自然であり、分類位置の特定が難航したのです。

ジュラ紀の恐竜としての決着

近年の地質学的な研究により、発見地の地層は白亜紀ではなく、もっと古い「ジュラ紀中期」のものであることが判明しました。
これにより原始的な特徴を持つことは妥当だと理解されましたが、詳細な分類については今なお議論が続いています。

群れでの生活と「立ち上がる」復元骨格

身を寄せ合う大規模な群れ

発掘現場から大小異なる8個体がまとまって見つかったことから、大規模な群れで生活していた可能性が高いと考えられています。
当時同地域に生息していた肉食恐竜「アフロヴェナトル」などの脅威から身を守るための行動と推測されます。

二本足で立ち上がるダイナミックな姿

ジョバリアの復元骨格は、「太い尾を支えにして後肢だけで高々と立ち上がった姿」がよく知られています。
これは、現世のゾウとの比較分析により、ジョバリアの体重配分が「前肢よりも後肢に大きくかかっていた」ことが判明したためです。

セレノ博士は、この頑丈な後肢と短い尾を活かして、高い木の葉を食べる際などに二本足で立ち上がれたという説を提唱しました。
※ただし、本当にこのポーズができたかについては研究者の間で賛否両論があります

太古の森を闊歩した幻獣

サハラ砂漠の過酷な環境から、奇跡的な保存状態で発掘されたジョバリア。
地層の年代の誤解から一時は「時代錯誤な謎の恐竜」とされましたが、現在ではジュラ紀中期の生態系を物語る極めて重要な標本です。

幻獣の名を与えられたこの巨大な恐竜は、群れで大地を踏み鳴らし、時には二本足で立ち上がって太古のアフリカの森を闊歩していたのかもしれません。

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