アウカサウルス Aucasaurus
名前の由来
アウカ・マウエボのトカゲ
科名
アベリサウルス科
分類
双弓亜綱、竜盤類、獣脚類
生息地(発見地)
アルゼンチン
時代
約8300万〜7500万年前(白亜紀後期)
全長
約5.5〜6m
体重
約700kg
食性
肉食
きょうのクイズ
正解でコイン1枚
アウカサウルスが竜脚形類の卵や幼体を食べていた可能性があるのは、なぜ?

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名前の由来
アウカ・マウエボのトカゲ
科名
アベリサウルス科
分類
双弓亜綱、竜盤類、獣脚類
生息地(発見地)
アルゼンチン
時代
約8300万〜7500万年前(白亜紀後期)
全長
約5.5〜6m
体重
約700kg
食性
肉食
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解説
白亜紀後期の南アメリカ大陸には、独特な身体的特徴を持つ肉食恐竜が数多く生息していました。
その代表的なグループが、短い前肢と頑丈な頭骨を特徴とするアベリサウルス科です。
今回紹介するアウカサウルスも、このアベリサウルス科に属する肉食恐竜です。
極端に小さな前肢と、大きな角を持たない頭部が特徴で、有名なカルノタウルスに近縁な恐竜として知られています。
アウカサウルスが注目される理由は、その独特な体つきだけではありません。
化石が発見されたのは、竜脚形類の卵や胚の化石が大量に見つかることで有名な「アウカ・マウエボ」です。
さらに、頭骨から尾の大部分まで保存された貴重な骨格が発見されており、アベリサウルス科の身体構造を研究するうえでも重要な存在となっています。
アウカサウルスの基本情報
アウカサウルスという名前は、化石が発見された場所にちなむもので、「アウカ・マウエボのトカゲ」という意味を持ちます。
また、種小名の「ガリードイ」は、最初に標本を発見した地質学者アルベルト・ガリード氏に由来しています。
生息していたのは、およそ8300万年前から7500万年前にあたる白亜紀後期のカンパニアン期とされています。
体の大きさは推定方法や資料によって異なりますが、全長約5.5〜6mほどと考えられています。
体重についても推定値には幅があり、約700kgとするものから、さらに重い値を示すものまであります。
全長8〜9mほどに達したとされるカルノタウルスなどと比べると、アウカサウルスは比較的小柄な肉食恐竜だったといえるでしょう。
アウカサウルスの化石はどこで発見された?
アウカサウルスの化石が発見されたのは、アルゼンチンのネウケン盆地に位置する「アウカ・マウエボ」です。
この場所は、恐竜の卵や胚の化石が大量に見つかることで知られ、竜脚形類の営巣地として世界的に有名です。
1999年3月、ロドルフォ・コリア氏やルイス・キアッペ氏らを含む調査隊が現地を調査していた際、保存状態の良い恐竜の骨格が発見されました。
発見者の一人であるアルベルト・ガリード氏が、地面に露出していた骨格を見つけたとされています。
発見された標本は、頭骨から尾の大部分まで保存されていました。
尾の先端部分などは失われていたものの、全身の構造を詳しく調べられる貴重な化石です。
また、多くの骨が関節した状態で残されていたことも、研究上の大きな価値となっています。
その後、2002年にコリア氏、キアッペ氏、ローウェル・ディンガス氏らによって正式な記載論文が発表され、アウカサウルスは新種として命名されました。
アベリサウルス科には、頭骨や体の一部分しか化石が見つかっていない種類も少なくありません。
そのため、アウカサウルスのように全身の構造を広い範囲にわたって確認できる標本は、非常に貴重な研究資料となっています。
頭骨だけでなく、背骨や腰、後肢、足先なども比較できるため、近縁種との違いやアベリサウルス科の進化を研究するうえで重要な手がかりとなりました。
アウカサウルスの特徴① 極端に小さな前肢
アウカサウルスの最も特徴的な部分は、体の大きさに対して極端に小さな前肢です。
体の大きさに対して極端に小さな前肢が特徴
アウカサウルスが属するアベリサウルス科の恐竜は、前肢が短いことで知られています。
なかでもカルノタウルスは非常に小さな腕を持つことで有名ですが、アウカサウルスも同様の特徴を備えており、その前肢はカルノタウルスと比べても、さらに短く退化していたと考えられています。
骨格を詳しく見ると、上腕や前腕の骨は小さく、手首の骨も失われています。
手には指の骨が残っているものの、指によっては先端の骨が欠けていました。
こうした骨格の特徴から、アウカサウルスの前肢は、頑丈な体格に対して非常に小さなものだったことが分かります。
では、これほど小さな腕は、どのような役割を果たしていたのでしょうか。
その具体的な機能は、はっきりとは分かっていません。
獲物を捕まえるための器官としては大きな制約があったと考えられますが、前肢が実際にどの程度使われていたのか、どのような機能が残されていたのかについては、慎重な検討が必要です。
少なくとも、アウカサウルスは小さな前肢だけに頼る体つきではなく、強力な顎や発達した後肢などを備えていました。
極端に短い前肢は、アウカサウルスの姿を特徴づけるだけでなく、アベリサウルス科の恐竜が持つ独特な身体構造を理解するうえでも重要なポイントです。
アウカサウルスの特徴② 角のない頭部
アウカサウルスは、頭部にも特徴があります。
それは、カルノタウルスなどに見られる大きな角を持っていないことです。
カルノタウルスなどに見られる大きな角を持っていない
アベリサウルス科には、頭部に目立つ突起を備えた恐竜が存在します。
たとえば、アベリサウルスは目の上に一対の大きな角を持ち、マジュンガサウルスにも角状の突起が見られます。
一方、アウカサウルスには、こうした恐竜のような大きな角はありません。
その代わり、目の上にあたる部分には低い隆起があり、頭骨にも独特の形状が見られます。
頭部は比較的頑丈なつくりをしていますが、カルノタウルスなどと同じ特徴をすべて備えているわけではありません。
同じアベリサウルス科に属する恐竜であっても、頭骨の形や突起の発達具合には違いがあります。
こうした特徴は、それぞれの種類を見分け、近縁種同士の関係を比較するうえで重要な手がかりとなります。
アウカサウルスは、極端に小さな前肢だけでなく、大きな角を持たない頭部によっても、近縁種とは異なる特徴を示しているのです。
アウカサウルスの特徴③ 発達した後肢
小さな前肢とは対照的に、アウカサウルスは体を支えて移動するための後肢を備えていました。
アウカサウルスは、二本の後肢で歩行する獣脚類です。
前肢が極端に小さい一方で、後肢を使って体を支え、移動していたと考えられます。
近縁のカルノタウルスでは、尾の付け根にある骨の構造から、後肢を動かす大きな筋肉が発達していたことが分かっています。
アウカサウルスにも関連する特徴が見られることから、後肢の筋力を生かして移動していた可能性があります。
ただし、こうした骨格の特徴だけから、実際の走行速度や運動能力を正確に知ることは簡単ではありません。
極端に小さな前肢と発達した後肢を組み合わせた体つきは、アウカサウルスが属するアベリサウルス科の特徴をよく表しています。
アウカサウルスは竜脚形類の卵や幼体を食べていた?
アウカサウルスの食性を考えるうえで重要なのが、化石が発見されたアウカ・マウエボの環境です。
この場所では、ティタノサウルス類に属する竜脚形類の卵の化石が数多く見つかっています。
さらに、卵の内部にあった胚や、孵化前後の個体に関係する化石も発見されており、竜脚形類が集団で繁殖していた場所だったと考えられています。
巨大な体を持つ成体の竜脚形類は、アウカサウルスにとって簡単に倒せる相手ではなかったでしょう。
しかし、卵や孵化したばかりの幼体であれば、成体よりも捕食しやすかった可能性があります。
実際に、竜脚形類の卵が見つかる地層からは、アウカサウルスの歯の化石も発見されています。
このことから、アウカサウルスが営巣地を訪れ、卵や幼体を餌にしていたのではないかと考えられています。
繁殖期の営巣地は、卵や幼い恐竜などの小さな獲物を得られる場所だった可能性があります。
その一方で、成体の竜脚形類が周囲を守っていたとすれば、捕食者にとって危険な場所でもあったでしょう。
ただし、アウカサウルスが実際にどのような獲物を捕食していたのかは、完全には明らかになっていません。
卵や幼体を食べていたという説は、化石が発見された場所や産出状況から導かれた仮説です。
日常的に何を食べていたのか、繁殖期以外にはどのような獲物を狙っていたのかについては、まだ不明な点が残されています。
アウカサウルスの頭骨に残された外傷
アウカサウルスの化石では、頭骨の損傷や外傷の痕跡も報告されています。
こうした痕跡は、当時の生活環境や、ほかの動物との関係を考えるうえで興味深い手がかりです。
一部の研究者は、アウカサウルスが営巣地で卵や幼体を狙った際、親の竜脚形類から反撃を受けた可能性を指摘しています。
もしこの説が正しければ、アウカサウルスは獲物を得るために、危険を伴う行動を取っていたのかもしれません。
また、外傷のなかには、生前に受けた傷がその後に治癒したとみられるものもあります。
こうした痕跡は、負傷しながらも生き延びた個体がいた可能性を示しています。
ただし、骨に残された傷だけで、その原因を一つに特定することはできません。
ほかの恐竜との争いや事故など、複数の可能性が考えられます。
親の竜脚形類との戦いが実際に起きたのか、また、その出来事がアウカサウルスの死に関係していたのかについては、慎重に判断する必要があります。
アウカサウルスとアベリサウルスの関係
アウカサウルスは独立した恐竜の種類として記載されていますが、近縁のアベリサウルスとの関係については、研究上の議論が残されています。
化石の特徴がよく似ていることから、アウカサウルスをアベリサウルスと同じ種類に含めるべきではないか、という見解もあります。
仮に分類が見直されれば、それぞれの恐竜の特徴や進化の過程について、これまでの理解が変わる可能性があります。
恐竜の分類は、新しい化石の発見や、すでに知られている標本の再調査によって変化することがあります。
アウカサウルスについても、今後の研究によって、その分類上の位置づけや近縁種との関係がさらに明らかになるかもしれません。